最弱最強の破壊者

うらら

襲撃Part3

走り始めて、5分くらい経った時、またもや前方に黒服の集団を見つけた。一体何人の仲間とともにきたのかと言うくらい、大人数である。そいつらが逃げ遅れた生徒達に攻撃を仕掛けていた。生徒達は必死に魔力障壁を展開し、応戦していたが、いきなりのことで軽いパニックを起こしている人もおり、長くは持たないだろう。俺は、
「クソっ!」
と言うと、体に魔力を込めた。そして、可視化できるように濃密な闘気を見に纏い始めた。
「デビルズサーバントっ!」
その掛け声とともに、闘気のオーラが俺の体を完全に覆い、背中から2つの闘気のオーラが羽のように流れ出す。
身体能力の上がった俺は、その黒い服装の集団に突貫していく。1人を殴り飛ばし、1人を蹴り飛ばしと、肉弾戦に持ち込んだ。本当なら<ウロボロス>で一掃してしまいたいが、逃げ遅れた生徒を巻き込んでしまう可能性があるため、あえて肉弾戦に持ち込んだのだ。しかし、拳圧の余波でまとめて2、3人が吹き飛んでいくため、案外早くに片付きそうだった。だが、そう簡単に行かないのが世の常である。あらかた敵を倒し、講堂へ向かおうとした時だった。目の前に3人の黒い他とは違う服装をした男が現れたのだ。先程見た服装と同じため、能力者であろうと俺は思った。
「この忙しいときにっ!」
と吐き捨てながら、その3人を相手しようと思い、構えた直後だった。あたり一帯に霧が立ち込めた。それとともに、3人のうち右端の男が「ガハッ!」という声ともに吹っ飛んだ。そして、すぐにこの霧の正体と、吹っ飛んだ理由を理解した。霧はジョーカー副隊長の夢さんの能力、<誘いの霧ロストフォッグ>が作り出したものであり、吹っ飛んだのは、ジョーカー隊長の神童さんが殴り飛ばしたのだろう。結構見ていた技のため、わかった。そう思っていると、後ろから声がかけられた。
「久しぶりだな、新九郎!」
「久しぶりね、新九郎君!」
やはり俺の予想はあっていたようで、声の主は夢さんと神童さんだった。
それに加えて、もう1人聞いたことのある声が聞こえてきた。
「ヤッホー、しんちゃん!」
先ほどまでのキリッとした態度はどこにもなく、無邪気に笑う学園長こと日向光がいたのだった。俺は神童さんつながりで学園長とは何度か話したことがあるため、挨拶をした。
「お久しぶりです、神童さん、夢さん、学園長!」
そういうと、皆笑顔を見せた。しかし、すぐに敵に向き直ると、神童さんが言った。
「新九郎、光から連絡があってな。駆けつけるのが遅くなった、すまない。そのお詫びと言ってはなんだが、ここは俺たちが片付ける。お前はライアンのところに行け!」
そういうと、夢さんも学園長も俺を見て頷いた。俺は、
「ありがとうこざいます。」
と感謝の意を表した。そして、夢さんに、
「<ルシフェル>を使うかもしれませんので、出来れば学校に強力な魔力結界を張ってもらえませんか?」
と尋ねた。夢さんは、
「分かったわ、後は任せて」
と了承してくれた。俺は、
「行ってきます」
というと、神童さんが、
「しっかり決着をつけてこいよっ!」
と、背中をバン!と叩いてきた。俺は頷くと、<デビルズサーバント>のまま再び講堂に向かって飛び出したのだった。それを防ごうと敵の能力者が攻撃しようとしたが、学園長の光の矢によって、妨害はあえなく失敗した。俺は心の中で感謝すると、全力で講堂まで走ったのだった。

飛び出してから3分後くらいで、講堂に着いた。中に入ると沢山の生徒と、ステージの上に立つライアンがいた。ライアンが笑いながら、
「これはこれは、新九郎君、もとい<バーサーカー>ではないか。」
と喋った。周りを見渡すと、恐怖に怯えた顔で座っている生徒が多くいたが、怪我人は誰もいなかった。
「大丈夫、君をやった後、ゆっくりやるつもりだからね?誰も傷つけてはいない。」
と神経を逆なでするような声を発する。俺は頭に血が上り、
「ライアンっ!!!」
と声を荒げると、拳に魔力をため、ライアンとの距離を一気に詰め、正拳突きを放った。しかし、当たる直前で、ライアンが笑いながら、
「イージス」
というとともに、目の前に大きな盾が出現。俺の拳はその盾に直撃し、盾ごとライアンを吹き飛ばし、講堂の壁をぶち抜いて、ライアンを外に追い出した。しかし、当のライアンは無傷であり、綺麗に着地した。俺が後を追うと、
「いやいや、怖い目だ。まるで獣が獲物を狩る時のようなね。だが、狩るのは俺の方だ。顕現せよ、<エクスカリバー>!」
ライアンが聖剣の名を口にすると、ライアンの右手から両刃の禍々しいオーラを放つ金色の剣が現れた。それには俺も驚き、
「何?お前の能力である、<ファブリケウティ>は一度目で見た道具しか作れないはず。なぜ、伝説の剣が作れる?」
そう俺が問いただすと、ライアンは楽しそうに答えた。
「君の能力が<エクストラデーモン>の亜種であるように、俺の能力も<ファブリケウティ>の亜種なのさ。俺の能力は想像したものを自在に生み出せる能力と言うべきかな。」
そう答えた。俺は奴の能力を一度見たものだけしか生み出せないと思っていたため、最悪だと思った。つまり、奴はこの世にない道具でも想像さえできればなんでも生み出せるのだ。そうこうしてるうちに、ライアンが、
「今度はこちらからいくぞーっ!」
と言いながら、手に持ったエクスカリバーで攻撃を仕掛けてきた。だが、常人の攻撃とは思えないくらいの高速の剣戟を放ってきたため、俺はうまく捌ききれず、何発かかすった。さらにまともに受けると聖剣の波動の余波でもダメージを受けるため、捌くほかなく、苦戦を強いられた。多分自分の着ているものも奴が想像して生み出したものだろう。そのため身体能力が著しく上がっていた。俺は一旦距離を取ろうとして、バックステップの要領で後ろに思いっきり下がった。だが、ライアンはそれを待っていたかのごとく、口の端を吊り上げながら、
「ミョルニル」
と呟き、電気をまとったハンマーを左手に生み出し、こちらに向かって投げてきた。俺でも知っている。雷神トールの武器であり、投げたら必ず相手に当たるハンマーだ。これはまずい。そう思い、俺は右手に魔力を込め、闘気に変換、
「穿て!ウロボロスっ!」
という声とともに、正拳突きの要領で拳を突き出した。拳から莫大な量の闘気が龍の形となってミョルニルを巻き込み、ライアンめがけて飛び出した!

〜Part4へ続く〜

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