異世界は現実だ!

竹華 彗美

国王の話で紹介文なのだ!

 第六章
 第125話、国王の話で紹介文なのだ!


 屋根作りが終わった翌日、僕を含め男はトミル王国に来ていた。なぜかというと今朝採石場の方から鳥によって手紙が届けられた。その内容は

"あきら様の一団様。
先日の石の件ですが、トミル王国の復興に持っていかれてしまいそちらに石が廻るのはかなりの時間がかかってしまいそうです。私達もなんとかしようと思いトミル王国にこのことを連絡しましたら一度あきら様方に国王がお会いしたいということでしたので交渉していただくことをお勧めします。"

 との内容だった。その後少し五人で話し合った結果、国王と話をしにいきその序でがてらボランティア的な感じで復興を手伝いに行くことにした。ギルドの建立時のお金も頂いたし、色々忙しくてカプス戦から一度もトミルに行ってないこともあって挨拶に行くことにしたというわけだ。
 王都は復興が進んでおり下町のまだ破損が少ない地域に至っては既に人が戻りつつあった。その人達は破損が酷い地域の修復の手伝いをしていたり、また城下町はかなり戦闘の後が残っているのだが他の町に避難していた貴族の方々も戻ってきて平民や兵士らと共に国全体で修復をしているいい雰囲気があった。
 王宮はカプスの何体もの人形爆発によってほぼ全壊状態ではあったが、王は今は倉庫近くの建物にいるみたいだ。倉庫近くはガガさんが戦闘をしていたはずだがそんな気配を全く感じなかった。アバットさんも途中で加勢したらいけどあの二人は戦い方上手いんだな〜と思った。

「国王様!あきら様がいらっしゃいました!」
「通してくれ。」

 兵士がノックすると扉の向こうからは国王の低い高貴な男性の声がする。扉が開かれそこには小さい部屋に机が一つ、それを囲むように五つ椅子が並んでいた。

「国王様!元気そうで何よりです!お呼び頂きありがとうございます!」
「あきら殿、こちらこそお礼を言うのが遅くなってしまって申し訳ない。まぁまずは椅子に座ってくれ。粗末なもので申し訳ないが。」
「滅相もありません!座らせていただきます。」

 僕達は国王と向かい合うように机を挟んで座る。

「あきら殿、この度はお越し頂きありがとう。そして強魔族の件、本当に心から礼を言う!我が国から災厄を追い払って頂き感謝する!この通りだ。」

 国王は机に頭をつける。

「頭を上げてください!国王様!僕はただ単に第一の故郷ふるさとを汚したあいつが許せなかっただけ。だから当たり前のことをしたまでです!それにこちらこそギルド建立のために貴重なものをくださりありがとうございました!あのお金は大事に使わせていただきます。」

 僕も立ち上がり頭を下げる。ダニー兄さんもストジネートくんも同様だ。

「頭を上げてくれ!そんなことをされたらわしが困ってしまう。頭を上げ座って欲しい。」

 僕達は少し長めの礼をした後、向き直り椅子に座る。

「挨拶はここまでにして、今回の本題に行こう。石の話だな?」
「はい。ですがトミルの復興もありますし、僕達は後回しでもよろしいですよ?」
「いや、それは……と言いたい。……わしも言いたいんだが、現実的には難しいものなんだ。……わしは国王だ。国民を守っていかなければいけない立場だ。わしはどこでも住める……しかしわしには大事な国民達が居る。その国民達の命も保証するのがわしの責務だ。だがそうなると国を救ってくれたあきら殿には迷惑をかけてしまう。それはいけないことだ。だからあきら殿にはこの紹介文を渡そう。」
「紹介文とは?」
「今トミル王国は他国に頼らなければ再建が難しい状況だ。そのために石材をメンメル帝国から、木材・金属を南にあるミタンダ王国から分けてもらっている。それは長い付き合いで仲良くしてもらっているからなどの理由からだ。それであきら殿!君にぜひ会いたいという人物がおるんじゃ。その話を聞いたのは昨日。わしに向けてその人物から手紙が届いた。それは"ミルガバード王国国王ミルガ・アトゥクケクス"
だ。ミルガバード王国はトミル王国とは長い付き合いで領土はここら辺の地域の中では狭いものの戦争では負けなし、他国とも交流が深い。あきら殿は今や有名人。決して悪い話じゃないはずだ。だからわしの紹介として、そして今できる最大の恩返しとして行ってはくれないか?」

 王様に言われたら行くしかないだろ?
というより石欲しかっただけなのになんでまた違う王様に会いに行くっていう話になってるんだ?急展開すぎて頭が付いてかない……。
 


 

 

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