異世界は現実だ!

竹華 彗美

注目で生還なのだ!

 第六章
 第111話、注目で生還なのだ!


 トミル王国奪還作戦はかなりの被害を出したものの主犯であったカプスは自爆し、ひと段落がついた。あきらの活躍はすでに他の国の王等に伝わっていた。強魔族はカプスという大きな戦力が失われたことにあきらへの眼差しを一層強く向ける。



「アンリ・マンユ様!カプス様が!」
「もう知ってるわ。あの子が死んだって。なんで自爆なんて。なにもそこまでしなくてもいいんじゃなかったのかしら。……まあいいわ!あきらとかいったかしら?今回あの子を殺したのは!?」
「はい!その通りです!」
「絶対許さないわ!彼の方もなぜあんなに警戒するのか。」
「ですがあの伝承にある通りですと…」
「黙りなさい!!!」
「ッッッ!!!???」
「私に口答えするつもり?」
「そんなことは……」
「まあいいわ、そのまま私の足を舐めてなさい!ーーかわごえあきら、私が全て支配してやるわ!!!」



 あきら達はカプス戦の後、過度の疲れによりその場で倒れてしまった。トミルの損害は激しく爆発により城下町はほぼ焼け落ち、王宮も半壊状態だった。そんな状況の中トミル王国、メンメル帝国の特秘隊の活躍がありカプス自爆後三時間で消火活動が終了。まだ被害が少ない下町へと生き残っている兵士を避難させた。その戦闘指揮はらクルルであった。あきらやガガ達も下町に避難させられ手当てを受けた。
 しかしわずか百五十人余りで負傷者約九百人近くの手当てをするのは困難であった。そんな中助けになったのはカプス戦から約八時間後、トミル王都で医師、看護師をしていた人々がトミル王の命令によって救援の駆けつけたことだった。医療専門者が五十人程度増えたことにより大幅に処置の精度・速さが上昇した。回復部隊を特に丁寧に処置したことにより、回復魔法などの処置が行われカプス戦終了から一五時間後には九百人中約七百人が回復した。アバット、ガガ、ダニオン、トナップ、クレオ等もここで回復し、アバットとクレオ、ダニオンは回復した兵士を連れタダンダルに帰還した。その後タダンダルに帰還した兵士達はトミルとメンメルの国に別れそれぞれ帰っていく。
 しかし未だに目を覚まさない二百名はいずれも重傷であった。医師や看護師、回復部隊が必死に治療を行うがカプス戦の翌日、死亡者は二十名にも達した。その多くが煙を吸い込み肺が焼けてしまっていた。
 


"アキラ…クン。"
「ん?ここは…どこなんだ?」
"キ、キミヲ、オクリコン、ダ、ダノハ…マチガエデハ、ナ、ナカッタヨウ…。」
「何を…言って?……体が動か……」
"キ、キミナラ、デキル"『あきら』
「だから何を…言って……」
『あきー!」
"ス、スクッテクレ…ワ、ワタシ…チ…"
『あきら!!』

「あきら!!!!」
「ん……?」
「あきら大丈夫か?」
「ガガ…さん?」
「あきら…あきら!!!みんな!あきらが起きたぞ!」
「おお!あきら様!起きられましたか?」
「ここは…?」
「ここはの。トミル王都の下町じゃ。お前はな。トミルとわし達を守れたんじゃ!」
「みんな……よかった。」

 僕はとてもホッとしていた。


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