異世界は現実だ!

竹華 彗美

知らない秘密で味方なのだ!

 第五章
 第109話、 知らない秘密で味方なのだ!


 僕の頭は混乱状態だ。"魔族の敵か味方か、第三勢力なのか?""魔族が活発になったのは自分のせい?"
 意味がわからない。だが今はそんなことをほざいている場合ではない。あと三十分であれが爆発してしまう。そうなれば誰も助からない。僕だけじゃない。ガガさんもアバットさんも、カルナさんも、ダニー兄さんも……。僕は周りを見渡す。

「あきら、すまんの。こうなったのもわしらの責任もある。意味がわからないと思うが今はあのでかぶつを止めてはくれないか?わしらはカプスの力で動くことすらままにならん。今ここで動けるのはあきらだけなんじゃ。転移魔法も解除魔法も使えないとなるとわし達もお手上げじゃ。もしわしらを助けられなくてもお前だけは生き残れ。お前が生き残ればあいつらを潰すこともできるであろうからな。頼む。あきら。早く行ってくれ。」
「ガガさんの通りです。僕も黙っていました。こうなったのも僕たちのせいです。なぜあなたにそこまで魔族が寄ってくるのか、その時点で真実を話していればこんなことにはならなかった。だから君だけでも逃げてください。僕たちはいいです。だからなるべく早めに逃げてください。」

 皆口揃えていうのは僕に逃げて欲しいということだった。僕の頭は真っ白だ。メンメル側の人たちはみんななにかを知っているようだった。カプスが言っていたことを知っていて理解し同情していた。トミル側の人たちもおおよそは分かっていたようだ。何を隠していたのか。わかることは僕がなぜ異世界ここに飛ばされたのかの鍵に思えた。

「僕だけ知らない。皆さんは知ってる、僕の秘密。」
「ああ、そうじゃ。わし達だけじゃない。この出来事は各国の代表、上級貴族以上の階級者、などに既に伝わっていること。お前さんかいやお前さんが起こした魔法陣。あの日からの出来事。それはこの世界の住人なら誰もが見たものなんじゃ。それをお前さんは知らんかった。だから秘密にしてきたんじゃ。無理に広げる必要はないからな。」
「悪意があって?」
「別に悪意はなかった。わし達はただあきらを疑いたくなかった!!!だから…」
「じゃあ、僕を守るためにやったこと。僕を自分自身が壊さないように秘密にしてくれたこと。気遣ってくれたの?」
「まあ、そういうことになってしまうのかのー。」
「そういうことなら僕は皆さんを信じます!僕は皆さんにいっぱいお世話になりました。皆さんは僕を信じて本当はそうかもしれないことを黙っててくれた。ならば僕が責め立て、一人逃げなんてするなんてそんなことありません!それに最初から僕は皆さんを見捨てる気なんてありません!僕は僕の大事な人たちを汚す強魔族は許せない!最初から皆さんの味方ですよ!!」
「あきらッ!!!!」
「アバットさん、回復魔法と"マジックアップ"使えますか?」
「はい…そのぐらいなら…。」
「じゃあ僕にお願いします。こんなことでもう十五分も使ってしまった。一発で終わらせます!」

 僕はアバットさんの援護を受け、僕は羽靴を履き"フライ"でカプスまで飛んでいく。カプスの話では転移魔法は使えない。強力な結界が張ってある。僕以外の人は動けない。カプスはアンラ・マンユの僕。あちらの世界と同じだとすると奴は"支配"の悪魔だ。人を動けなくするのもそういうことなのかもしれない。
 僕はカプスのもとに着くとその場で待機。残り時間がなくなるのを待った。

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