異世界は現実だ!

竹華 彗美

直属家来で特殊スキルなのだ!

 第五章
 第102話、直属家来で特殊スキルなのだ!


 僕たちは痛みよりもその光景に目を奪われた。人の中から人形が出てくるという現象に信じられなかったのだ。

「ふふふーん!新しいお人形さんだ〜!このお人形さんはどのくらい働いてくれるのかな〜?さてさてそこで倒れてるお兄さん、お姉さん方〜。もうおねんねの時間は終わりですよ〜。起きてね〜!」

 僕は全員にヒールをかける。応急処置だ。

「そんなさ。回復魔法かけるほどのこと?私そんなに強く打った記憶ないよ! 軽くやっただけなのに〜。」
「お前は何者なのかね?おそらくだがその気配、今回の事件の首謀者であることは間違いないけど。」
「あ、起きた起きた!おはようございま〜す。他の皆さんもおはようね〜!私が何者か。え〜教えたくない〜。…なになに、ふむふむぷっちゃんも聞きたい?うーん。照れるなぁ〜。じゃあしょうがない!教えてあげよう!私の名前はカプル・フェニキトス、通称カプちゃんだよ〜ん!おじさんの答えはあってるよ!今回この人間の国を今も乗っ取ってる犯人は〜!私で〜す!よくできました!パチパチパチ!」
「じゃあ、お前は強魔族なのか?」
「ん?あー、人間の国では私達のことそう呼ぶんだっけ?…そうだよ?私は魔王様に使える十四人の部下の一人、アンリ・マンユ様の直属の家来だよ〜!!!」
「直属家来だと!?」
「ダニー兄さん、直属家来って?」
「十四傑に認められた直属の家来たちだ。強魔族の中では魔王、十四傑の次に強い奴らのことだ。それが本当だとしたら俺たちじゃとても勝てないぞ!」
「私も一人アスモデウス直属のやつと戦ったことはあるけど、あの時は百人以上で挑んだ。結果は八十五人死亡。一五人だけ生き残り、討伐は完了できた。大きな損害だったね。」
「ん?ねえねえ、お姉さん。あいつならまだ生きてるよ。だって一年前あったもん。そのことを話してたよ!なかなか良かったって。良かったじゃん!」
「え?そんなこと!だってあの時は首を跳ねて心臓も潰したのよ!死なないはずが!」
「それじゃあいつには勝てないよ!あいつを殺すには潰す順番が肝心!…まあこんな話しはどうでもいいけど。私がこの国をこんな風にした理由は、一つしかないの。それは〜そこにいるかわごえ あきら!あなたと戦ってみたかったからなんだぁ!でも今のあなたを間近で見る限り私は楽しめそうにないから、彼の方のお土産になるように、新入りのカルちゃんの相手をしてもらいまーす!もちろんあきらくんとカルちゃんの一対一。あとは豚ちゃん?回復終わった?」

 グビー!!!

「あいつ確かに切り刻んだはずなのに!」
「ふふふーんだ!私達十四傑直属家来から上の強魔族にはそれぞれ特殊スキルというのがありまーす。それは独特のもので私しか持ってない特殊能力。私のは[生物人形化ドールプロ]。生物の感情を全て私に支配させ魂を抜き取り人形化するという能力。まあ要は特定の条件が揃えば生物なら人形化できるってこと。あ、でも勘違いしちゃいけないのはこれは生きている動物しか使うことができないの。だから人形は生きてるの!だ、か、ら!私を倒せば人形は元の殻に戻り感情を持つ生物に生き返る。でも私を倒す前にその人形を倒しちゃうとその生物は死んでしまって生き返ることはない。なので、あきらくんがカルちゃんを倒してしまえば元の人間は同時に死ぬ。私を倒せれば生き返る。まあ!私を倒すなんて無理だけどね〜!今回はカルちゃんとあきらくんの一対一だし、私は参加しないし〜。もし私のところに来れたとしても、私には最強の護衛のぷっちゃんがいるし。だから!"仲間同士で殺し合いして私を精々楽しませろ!人間!!!"」

 そうカプルはゲスい笑いを浮かべていた。

 

 

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