異世界は現実だ!

竹華 彗美

メイドで帝宮内説明なのだ!

 第四章
 第86話、メイドで帝宮内説明なのだ!


 僕が起きたのはゲートで帝都にみんなを送った日の夜だった。十二時間弱は経過しただろうか。今までにないふかふかしたベッドで横になっていた。魔力はほとんど戻ったようで疲労は感じない。体力も戻っていた。部屋には誰もいなく高級感が溢れていた。僕はベッドから起き扉を開け長い廊下に出る。人を探すが見つからず部屋に戻った。

「みなさんどこに行ったんだろう?寝てるのか?」

 独り言のように喋る。もう一回扉を開け廊下を見てみるが誰も歩いていない。そして扉の後ろを見てみると両引きのメルヘンな窓があったので開けてみる。
 そこには町が広がっていた。僕は自分が帝宮にいることが分かった。ここからの景色だと三階、いや四階ぐらい。高台に立っているので遠くまでよく見渡せる。真下を見てみると門があり馬車が夜なのに行き交っている。まあ夜とは言っても少し薄暗いだけだが。僕が初めて帝宮に来た時もあそこから入ってきた。
 ふと王室に行けば人がいるのか?と思ったがいきなり王室は失礼と判断した。そう思いながら心地よい風に当たっているとドアが開き聞き覚えのない声が後ろから聞こえた。

「失礼します。様子を見に来させて……起きられてますね。」
「こんにちは、あなたは?」
「あ、わたしはこの帝宮内でメイドをしているものです。今人を呼んで来ますね!」
「あ、はい。」

 メイドって……。この世界にもいるのね。アニメの異世界ファンタジーと混ざるわー。
 髪は薄い緑色、目は眼帯だったけど…よくある魔眼設定?年齢は中学生ぐらいで少しタレ目なところが印象的な女の子だった。服はもちろん黒と白のメイド服。だいたい想像していたものと同じだな。
 あーいかんいかん。初メイドにエルフの時以来に興奮してしまった。気持ちを落ち着かせて……。
注意:別に僕は恋愛対象がそっち系ではありません。
 そう自分の中で言い聞かせると今度は聞きなれた声が聞こえる。

「あきらさん!起きたんですね!」
「あ、はい。おかげさまで。ありがとうございます!」
「いえいえ、ここまではストジネートさんが全部。帝王様にも掛け合って頂いて、部屋をわたしの分まで貸してもらえたんです!」
「そうなんですか。あ!それでストジネートさん達は?」
「あ、それが……。帝宮についても何やら忙しいらしく今はここには……。わたしも休ませてもらっちゃって。それでわたしとあきらさんの面倒を見てくれたのがこのイオちゃん!まだ若いのに食事から洗濯、わたしたちの部屋の掃除!それに庭の手入れもやっているらしいです!」
「ご挨拶遅れてすみません、あきら様。わたしはこのメンメル帝国帝宮四番メイドイオと申します。王の命令でお二人方の看病を任されております。よろしくお願いします。突然ですがお二人起きられましたので簡単にここの説明をさせていただきます。帝宮内はとても入り組んでおり迷いやすいので迷った場合は近くの方に"イオの客"とおっしゃっていただければお迎えにあがりますのでお願いします。そして王からは最低一週間の看病とお伺いしております。料金はあきら様とカルナ様のご活躍で全額免除するということで決定しております。」
「え!?そんないいんですか?僕そんなに活躍していないけど……。」
「今後のご活躍もということです。それにこれは王が命令したものですのでわたしには取り消しはできません。さて生活面ですがお食事は朝八時、昼十二時、夜六時となっております。開始から二時間経ちますと下げてしまいますのでなるべく開始の時間にお越しください。場所は後で一括にご案内申し上げます。お風呂は大浴場がございます。王や大臣も入られるのでご承知を。洗濯はお風呂場に投げ捨てておけば洗っておきますので問題ありません。部屋のお掃除はお二人が夕食を取られている時にしますのであまり心配せず。洗面所も後でご案内いたします。ほかにご質問あればなんなりとおっしゃって下さい。ではお食事の会場に向かいます。」

 すごいな、この子。僕が何か言おうとするとその隙間を埋めて話してたな。というよりも帝宮二回目でまさかの宿になってしまうとは。展開早くないですか?

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