異世界は現実だ!

竹華 彗美

死刑回避で潜入なのだ!

 第四章
 第79話、死刑回避で潜入なのだ!


 僕達は透明化になったまま街を歩く。道を通る人も僕達には気づいてはいないようだった。
 貧民街が見えてくるとそこは馬小屋よりも酷い家なのかもわからないものが建っていた中には屋根がないまま土にものを置き暮らしていた形跡のある家もあった。貧民街にはほとんど人の気配はなくあるのはゴミやネズミなどの小動物だった。
 そしてカルナさんは目的地に着くと小さな声で地下に入ると通告した。透明化は同じ術者がかけたものならかけられた同士でどこにいるか見える。そして周りの人から見えなくなるが音などはわかってしまう。一応クルルさんが音を小さくする魔法はかかっているがあまりにも大きな音や声は聞こえてしまう。なのでなるべくそーと行かなければならない。そして人にも当たるとわかってしまうので細心の注意が必要だ。
 地下に抜ける道は潜入班が確認したため簡単に見つけられた。敷き畳のような下に地下へ続く階段があった。それを降りると中では男が一人いて見張っていた。短剣持ちだ。コビットを捕まえようとしていた男ではない。その場を静かにクルルさんの元を歩いて行く。とここで思ったのだがこれ着替えた意味あったか?なかったような気もするが今は突っ込まないでおこう。
 男の後ろに道が続いていて男を避けその道をまっすぐ行く。みんな上手いものだ。簡単に避けていった。無論僕もクリアだ。まっすぐ行くとなにか悲鳴のようなものが聞こえた。そこへ向かうと今まさに男性が殺されようとしていた。カルナさんは魔法を発動させようとしたがクルルさんに止められた。僕はその隙に男のところに向かい精神魔法をかけた。

"スリープアウト"

 二人とも眠らせた。一応だ。
 クルルさんには少し怒られたが結果オーライということで許してもらえた。スリープアウトには前後の記憶が少し飛ぶという特性がある。まあそれでなんとかなればよし。ならなくても逃げたということになるだろう。カルナさんは小さなため息をつき被害者の方を透明化させ後で助けるようにその部屋から出し近くの部屋に置いていった。
 それからは道の確認や非常時の確認など事細かく確認した。そしてその後まだ眠っていた被害者をストジネートさんが気をつけながら運び潜入班のリーダーと合流した。

「ここは安全なのですか?」
「はい。私が作った部屋なので全く問題ありません。あと結界も張っていますし外に音漏れなんてこともないです。」
「じゃあこの人のことはお願い。」
「わかりました。拠点まで送り届けておきます。」
「じゃあこれからは別行動に移ります。私とカルナさんはわざと捕まり捕まっている人々に作戦を説明をします。人々が閉じ込められている場所は二箇所なのでそれぞれ違う場所に飛ばされるでしょう。そこで説明を。」
「はい!」
「あきら様とストジネートさんは潜入班と一緒に首謀者の見張りをお願いします。」
「わかりました!」
「承知いたしました。」

 クルルさんの指示の後別々に行動し始める。男班は首謀者五人の中で最も力がありそうなやつの行動を潜入班の方と監視することにした。クルルさんたちは計画通り男の前を通って捕まった。カルナさんは不慣れな感じがあり髪を引っ張られた時に少し殺意が見えたがクルルさんに関しては演技が上手くどう見ても弱い女性にしか見えなかった。その後それぞれ違う場所に飛ばされたとバナックさん経由で通達された。
 僕の監視対象は秘密の入り口(検問所を通らなくても街に入れる道。男達が貧民街に来た初日、何人かの男性を金で釣り作らせた。だがそのお金は払われることなく反抗したものは殺されたらしい。)の監視役の男だった。僕の場合は男だけではなく買いにくる奴らも把握するということだった。
 潜入班の人は慣れたもので微動だにせずうつ伏せで監視していたが、僕は疲れてきてしまったので"透明化"と"気温適応"の結界をはり潜入班の人も入る程度にした。その中で水を飲んだり、運動をしたりする。潜入班の人はうつ伏せがいいらしく結界を張った後もその状態だった。
 裏口からは人は入って来ず僕は彼と話し合い交互で睡眠を取りながら監視することにした。

 潜入ってのも大変なんだと実感した。

 

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