異世界は現実だ!

竹華 彗美

フルカス戦②で仮説なのだ!

 第3章
 第61話、フルカス戦②で仮説なのだ!


 僕らはかなり押されていた。まだまだ序盤だと言うのに息が上がり、足も重くなっている気がする。一方フルカスはまだ余裕の態度でこちらを見てくる。僕はコートを着ているからわからないが他のみんなは気温も高くてかなり体力を消耗している。あまり長期戦はよくないと思うもののあの破壊力なので、一発でも当たれば死ぬという恐怖で動こうにも動けなかった。
 そして次も先に動いたのはフルカスだった。槍を片手で振り回してきたため、メルダルさんが一撃一撃を確実に盾でガードする。片手での槍攻撃ならばメルダルさんも防ぐことはできる。しかし両手で槍攻撃をしてきたときにどう動くか、これが鍵となりそうだ。メルダルさんが防いでいる間にアドメラさんはメルダルさんの体力支援に回りバリルさんは隙を見計らっては様々な角度で攻撃、僕とカルナさんは光属性遠距離魔法を中心に打ち込んだ。だがバリルさんの攻撃も魔法攻撃もあまり効果はない。全て槍や鎧で防がれる。そして突然片手攻撃から両手で槍を持つとメルダルさんの盾の目の前で横引きに槍を振るう。僕は咄嗟に結界を作り先程と同じような状況になった。
 流石は強魔族だ。一撃の重みがガガさんとは比べ物にならないくらい重い。それにシチホダとレベル6ぐらいしか違わないのに攻撃力は倍以上だ。そんなことを考えているうちにも容赦ないフルカスの攻撃は続く。槍を使って陣形を崩してくる。両手で槍攻撃をしてくるときは僕が結界を作って守る。
 そしてそんな片手、両手の組み合わせ槍攻撃が8分ほど続いた頃僕はふと思う。

「こいつ、さっきから物理攻撃しかしてないんじゃないか?魔法を全く使ってこない?いや使えないのか!?」

 そう。最初の攻撃から今の今まで一度たりとも援助やら回復やら、ましてや攻撃魔法さえも使ってこない。それにシチホダとレベル6違わないのに対し物理攻撃に関しては二倍以上の重みがある。僕の頭には一つの仮説が思い浮かんだ。
 "魔法が使えない代わりに身体能力を向上させているのではないか?"と言う仮説だ。そして光属性魔法を打ち続け手は攻撃が飛んできたときには回避している、カルナさん、主にメルダルさんの回復を行うアドメラさんの顔にも疑問の顔が浮かんでいる。バリルさんとメルダルさんの顔はこの位置では見えないがみんな気づき始めているのだろう。なぜ魔法を使ってこないのか?ということを。そしてもし仮にフルカスが身体能力のみを高めているとすれば体力もそれなりにつけているということなので、長期戦になっても対応可能。一方灼熱の砂漠の上で僕たちを照りつける太陽、それに乾燥しきった空気。僕たちの方が圧倒的に長期戦には不利なのは明確だ。強魔族で身体能力極に人間とエルフの体力が勝てるわけないのだ。どんなにアドメラさんが回復させたとしてもだ。
 そして今この状況、この仮説が正しいのならばフルカスは長期戦を望んでいるに違いないだろう。転移先が砂漠なのはあまりよくなかったみたいだ。でも今さらそんなことを考えていてもどうにもならない。ならば少し僕は賭けに出てみることにした。フルカスが魔法を使えるのか使えないのかという実験だ。

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