異世界は現実だ!

竹華 彗美

報酬金でパンなのだ!

 第3章
 第52話、報酬金でパンなのだ!


 大臣さんの読んだ手紙を要約すると、ガガさんは何かの理由でニアーの町に行っているらしい。その任務があるのでまだ帝都には帰れない。とのことだ。その任務内容は帝王陛下にもわからないらしい。そして手紙の後には元帝王陛下のことも書いてあった。
 手紙を大臣が読み終わるとメンさんが話し始める。

「やはりダメだったようですね。」
「そうですねっ。説得は難しいとっ。」
「あの方に来てもらわなければ次は危ないというのに……。」

 そう大臣が言うと一同は静かになる。僕もさすがにムズムズする静けさだった。
 しばらくするとメルさんが沈黙を破り話し始める。

「すみませんっ。あきら様っ。ここまで来てくださったのにっ。こんな状態でっ。手紙配達のお礼なのですが、」
「いえいえ、そんなものいりませんよ!」
「いや、そういうわけにもいきません。せめてこれだけはもらってください。」

 袋を渡される。金だろう。なんども断ったが一応客人に荷物運びをさせてしまったしガガさんの認められた3人目の方ということで押し通され、頂いてしまった。
 僕は余計なことは言わないことにした。今は客人扱いだ。まだいろんなことを話してくれそうな状況ではない。ガガさんも手紙を届けろとしか言ってなかったしな。
 僕はその後は大臣さんも退席されるということだったので僕も一緒に退席した。少し用があると言うと(どうという用は全くないが)、また寄ってください的なことを言われ帝宮を後にする。
 僕はその後は帝都の散策をすることにした。城下町を見て回ったがトミルと同じ感じで高級な服や高級レストランがメインとなっていた。帝王陛下からもらった袋の中を覗くとそこには金貨がびっしりと入っていた。最低でも銀貨100枚はありそうだった(日本円でいくと10万円である)。流石に郵便配達ではもらいすぎではないかと帝宮に戻ろうとしたが押し通され追い返されるのが目に見えたので、これからの資金ということでも快くもらっておくことにした。帝国にも借りができてしまったな〜。
 僕は城下町を降り下町へと入った。これだけ金があったとしても、今は高級レストランでご飯を食べるくらいなら武器などで金を回したいので高級なものの買い物は控えることにした。それに下町の方が僕は好きだ。庶民的な方が合っているのかもしれない。
 時間的にはお昼を過ぎていた。緊張もしたのでお腹も空いている。まずは腹ごしらえしてから行きたい店を探すことにした。メイン通りは市場のようになっていて、さまざまなジャンルの露店が道の左右に並んでいた。僕はその中でパンらしきものと横にあった木の実のジャムを買った。銅貨で300枚だ。食べてみるとしっかりとしたフランスパンだった。木の実のジャムは青紫色の見た目だったがラズベリーのような味といったらわかりやすいだろうか。酸味と甘みがあり美味しい。僕はそれを近くにあったベンチに座りながら美味しく食べた。ふと気付いたのだがなぜか人々の顔が暗い気がした。何かに怯えているような……まあ気のせいだろうが。
 食べた後、帝都を散策し始めた。

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