異世界は現実だ!

竹華 彗美

荒野で称号様々なのだ!

 第三章
 第45話、荒野で称号様々なのだ!


 僕は小休止を取った後また歩き出す。マラソンランナーの称号が追加されたからか普通に歩くスピードは速くなった気がする。だが自分の足で移動するのは疲れる。召喚術のテストも兼ねた実験を近日中にやるとしよう。ドラゴンなどを使役できれば戦闘などでも使えていいんだがな〜。魔力がなくなるのも考えるとな。最低でも馬は欲しいところだ。
 僕はまだ経験が浅いしこの異世界になれた訳ではないが、前の世界よりは断然良いと考えられるようなった。それは戦闘であんな痛みを味わうのは嫌だが、それでも親に殴られ、学校に行けばいじめられる。そんな絶望に浸り続けなければならない元の世界とは違い、辛いことはこっちの世界でも多いが、僕を認めてくれる人がいることは僕の中でも生きがいになっていた。今ではあのふざけた闇サイトを感謝している。  
 元の世界では到底変えることのできなかったこの弱い存在を転移して強くしていってくれている。本当感謝だな。
 僕はまだ見えぬ目的に向かって胸を張り歩き続けた。
一時間、ニ時間、三時間……。

「今日はこの辺で夜営するか。」

 ここに来て変わったことが二つある。ニアーの町からは十時間ほど今日は歩いて来たのだが、ニアーの町周辺に張られた結界を抜けた先には砂漠とは違う、荒野が広がっていた。確かに砂漠と同じで乾燥しているが、少しずつ木々が生えてきた。サボテンとは違う乾燥に強いと思われる木々だ。
 そして太陽も白夜状態ではなくなり太陽が西に傾き少し暗くなってきた。昼の日差しも少しばかり弱くなった気がする。
 ということは確実に前には進めているということだろう。まだ何も見えないが明日にはなんらかの町や村に行き着くかもしれない。マップを見るとニアーの町からはこの地点までもう八十キロとなっていた。(今気づいたのだがマップでは右上にある"運動"というところをタップすると今日進んだ時間、距離が計測されるようになっていた)
 人間は小休止を取りながら八時間歩くと三十キロぐらいは歩けるらしい。僕は十時間で八十キロ。僕のステータス上の素早さは3。つまり素早さアップ称号のおかげだ。もう普通の人の二倍も歩くスピードが速いとは……称号様々だ。
 僕は木陰に腰を下ろし僕が立って寝れるぐらいの大きさの結界を作り、町の皆さんからもらった非常食をバックから取り出し食べた。この結界は魔力5で発動し、十時間ほど続く、睡眠のための結界だ。外からの防音と気温が氷点下を下回らなければ結界内は一定気温(大体二十五度)と湿度(大体五十%)を保ってくれる優れものだ。氷点下を下回っても十五度ぐらいには保ってくれる。
 この世界にも気温や湿度を数値化することができるらしい。魔法の力でだ。
 防音機能が付いているともう小さな家の中だ。寝るときは街中でないのでモンスターなどが襲ってきても気づかない場合があるのでオークを四体ほど召喚し、見張らせる。敵が来た時には自分たちよりも弱い存在であれば戦い、勝る存在であれば結界内に入り僕に伝えるように言ってある。召喚されたオークたちは僕には忠実なので言われたことは必ずこなしてくれる。召喚無料サービス称号様々である。
 そうして帝都に向かう二日目が始まる。

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