激痛でヒールなのだ！

　第三章
　第38話、激痛でヒールなのだ！


　石が砂漠の砂の上に落ちる。そしてその瞬間、僕の腹には激痛が走っていた。

「グァァァァ！！！！」

　口から血の塊が出てくる。何が起こったのか、そんなことすぐにわかる。
　ガガさんの杖が僕の腹にヒットした。その出来事は一瞬、まばたきの速度よりもはるかに早くガガさんは動き杖を振ったのだ。
　僕は痛みに耐えきれずその場に崩れ落ちた。

「大丈夫か？若僧！わしも一発目から本気でやってしまったの〜。無理だったら無理と言えよ。」

　僕はシチホダ戦の時の鞭に叩かれて気を失いかけていた自分を思い出していた。あの時も痛かった。死ぬかと思った。でも僕は諦めない。どんな強い相手だろうと諦めるわけにはいかない！前の世界で諦めたようにはならないんだ！！
　僕は尋常じゃない痛みを必死にこらえながら言った。

「こんなことで負けません！僕はまだこれからです！」
「わかったぞ！その心意気感じ取った！！」

　その言葉の後、僕はかすむ視界ながらもガガさんが杖を構え直してるのが見えた。

「ファイヤーエレメンタル！」

　ファイヤーエレメンタルを二体召喚する。木の棒ならば火が一番いいだろう。砂漠で乾燥もしてるから燃えやすい。ガガさんには全く効かないだろうが回復の間の時間稼ぎだ。

「ヒール！」

　ヒールはレベル1だがそれなりに使える。庶民的魔法らしく、魔力3で体力を5回復する。5回復するだけでもありがたい。
　僕は回復しつつ、ガガさんがファイヤーエレメンタルと戦っているのを見る。杖を振り回し風を起こし少しづつ火の規模を小さくしていく。そして僕がヒールをし終えた頃には片付いていた。

「ファイヤーエレメンタルか。初級魔法にしては極めてあってなかなかいい相手じゃったの〜。その間にお前さんは少しだけでも回復した。なるほど、お前さんは一回わしと互角又はそれ以上の敵と戦っておるみたいじゃな。だが、その戦いでお前さんは形だけでも勝った。本当の負けはまだ経験していないな〜。」
「確かに僕は前の村で強魔族と戦ってきました。僕は負けた。でも誰かが助けてくれた。生きることができた、自分に勝った。などとは思いました。」
「なるほどな、強魔族と戦って負けた、でも最終的には人の手を借りてでも勝てた。それは一回敗北したとしても生きている喜びの方が強く敗北を忘れて勝利と思ってしまう。だから中途半端な目をしてたんだな。」

　ガガさんはそう言った。杖を構えながら真っ直ぐと僕を見ながら。

「では続けるとしよう。」

　そう言い一瞬で僕の後ろに回り杖を振ってくる。
　今度は僕もちゃんと防御を貼っといた。

"ファイヤーウォール"

　杖が僕の背中を捉え、触ると杖は少し焦げる。僕も少しダメージを受けるがそこまでではない。体力が10ぐらい減るだけだ。さっき腹から受けた時は100一気に減った。10分の1だな。

「火の鎧か。厄介だ。わしの杖が焦げてしまった。あまり攻撃すると炭になりそうだな。」

　ガガさんはそう言いまた杖を構えた。