喫茶店プルタブ

ふくちゃん

自分の運命は自分で決めろっていうけどそうしたらニートまっしぐらな気がする


夏の暑さが和らぎ始めた時期
そしてこれから訪れる寒い冬に備える時期

外は雨が降っている。
雨によって湿度があるが暑くはない。
むしろ雨に加えて風もあるので少し寒い。
教室には傘を忘れた生徒がいる訳でもなく
この教室には僕ひとりだけ。
教室に響く時計の針が動く音。
一定のリズムを着々と刻む。
遮るものはあまりなくよく響いている。
時計の針が示す時間は17時頃。
今の時間は放課後ではあるので
正直この教室に残る意味は無い。
それでも僕は残っている。
雨のにおいを楽しんでいる。
それだけではあるが僕からしたら
雨が降った時の恒例行事。
そういう時間はね、誰にも邪魔されず 
自由でなんというか
救われてなきゃあダメなんだ。


「あれ?居残り?」


僕だけだったはずの空間に響く声。
クラスメイトが恒例行事を邪魔する。


「いや、ちょっとね」
「やっぱ居残りでしょ」
「ある意味居残りではあるかもしれないけどスズキさんの想像している居残りとは違う」
「じゃあ居残りだね」
「なにを想像していたの?全然違うよ」
「なんにしてもこの時間まで残ってるなら居残りでいいんじゃない?」
「部活をやっている生徒に謝るんだね」
「帰宅部にも謝れって言うの?」
「あれは部活なんかじゃないよ」
「じゃあなに?」
「ただの無所属」
「まぁそうかもしれないけどね」
「それにスズキさんも部活やってないのに残ってるじゃん」
「うちは居残りじゃなくてタケダ先生の明日の授業の準備を手伝ってたの」
「それを居残りとも言う気がするけど、またあの理科の先生は生徒に授業の準備手伝わせてたのか」
「うちが自主的にやってるようなものだけどね」


素晴らしい。
なんて育ちの良さそうな子なんだ。
とても同級生とは思えない。
スズキさんは僕のクラスメイトなのは
今の会話で分かってくれただろうか。
そしてこんなにも僕に話しかけてくれる。
暇なのだろうか。
まぁスズキさんとは同じ保健委員という
ある程度緩い委員会に所属している。


※作者です※
※作者は保健委員をやった事がなく※
※あくまで学生時代の印象だけです※
※作者の通っていた学校の保健委員が※
※特別緩いだけだったかもしれません※
※本当は緩くないとは思いますが※
※今回は緩いという事にして下さい※


正直接点はそれぐらいしかないけど
スズキさんは保健委員以外でも
色々と僕を気にかけてくれている。
この間はシャーペンをくれた。
なんでか聞いたら
「クル○ガ集めてるんでしょ?
それ地域限定のデザインだったから
お土産に買ってきてあげたよ」
と誰にも公表していないはずの
ク○トガ収集を手伝ってくれていた。
なんで知ってんのかはプライベートが
脅かされそうで怖くて聞けなかった。
そういえば1週間前は夜ご飯を当ててた。
クリームコロッケカレーだぞ。
普通の人間は食べなさそうな組み合わせを
「おはよ!昨日のクリームコロッケカレー
3杯目いけなくて残念だったね!」
とか言っていた。
次の日盗聴器を部屋中探した。


「じゃうち帰るね!」
「うっすお疲ればいびー」
「じゃねー!」


扉を閉める音が響く。
いつもの恒例行事を邪魔されたとはいえ
実際会話が楽しかったという気持ちが
心のどこかにあるのを感じる。
異性と話せる事が楽しいという訳ではなく
単純に誰かと会話するのが楽しいのか。
僕に問いかけたら「そうだよー!(裏声)」
と言っていたので楽しいのだろう。
視線を黒板横のドアから窓に移す。
先程降っていた雨は止んでいた。
においに慣れたのかわからないが
雨のにおいは感じなかった。
僕は開けていた窓を閉めてから
身支度をして足早に教室を出た。
なんとなく
スズキさんの靴紐をほどいといた。
昨日のお返しだ。

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