LOVE NEVER FAILS
ジャパニーズスタイル
「おっさんまだ起きてる?」
目を閉じて久しい車掌に話し掛けてみた。
「お前なぁ、誰がおっさんだ。あぁ、ちゃんと聴いてるぞ。それにしても、お前の時代の中学生というのは変態なんだな」
「そうかも――って、そこは否定しないけどさ! エルフに魔界に連れ去られた、なんてこと、信じられるの?」
再び目を閉じながら車掌が答える。
「あぁ、何も不思議なことじゃねぇだろ。日本は古来から精霊信仰に熱心な国だからな。それこそ“ジャパニーズスタイル”だろ?」
「あっそ」
馬鹿にするように笑いかける車掌をひと睨みする。
「鬼や天狗の類いは漂流してきた外国人が正体だろうし、神隠しなんぞは拉致誘拐か野犬の仕業だろう。だがな、“異世界”ってのは十分あり得ると思うぞ。考えてみろよ。宇宙なんてのは適当なんだ。俺らが生きているこの星だって、お前の汚い部屋の押し入れの中の埃の1つかもしれないぜ」
「はぁ? そんな非科学的なことはあり得ないでしょ。それに、汚くないし」
「目の前で魔法を見たんだろ? あぁ、くっそ! 俺もあと少しで魔法使いになれたのによ!」
「魔法使いに!?」
「あぁ、30歳まで童貞を守れば――ってやつだ。男に産まれた以上、チャンスはあったんだが」
昔からあったのかよ、この卑猥な都市伝説は。
「日本に魔法使いなんているわけないだろ!」
「条件が凄まじく難しいからな! 当然、自慰も男色も禁則事項だ!」
それが難しいのかさっぱり分からないけど、この人の話を聴いちゃダメだ。
「これから僕の地獄の日々を最後まで語るから、おっさん、絶対に寝るなよ!」
「あぁ、ここより地獄はないだろうがな。さっさと話せ」
そして、僕は再び回想の世界に潜り込んでいく――。
目を閉じて久しい車掌に話し掛けてみた。
「お前なぁ、誰がおっさんだ。あぁ、ちゃんと聴いてるぞ。それにしても、お前の時代の中学生というのは変態なんだな」
「そうかも――って、そこは否定しないけどさ! エルフに魔界に連れ去られた、なんてこと、信じられるの?」
再び目を閉じながら車掌が答える。
「あぁ、何も不思議なことじゃねぇだろ。日本は古来から精霊信仰に熱心な国だからな。それこそ“ジャパニーズスタイル”だろ?」
「あっそ」
馬鹿にするように笑いかける車掌をひと睨みする。
「鬼や天狗の類いは漂流してきた外国人が正体だろうし、神隠しなんぞは拉致誘拐か野犬の仕業だろう。だがな、“異世界”ってのは十分あり得ると思うぞ。考えてみろよ。宇宙なんてのは適当なんだ。俺らが生きているこの星だって、お前の汚い部屋の押し入れの中の埃の1つかもしれないぜ」
「はぁ? そんな非科学的なことはあり得ないでしょ。それに、汚くないし」
「目の前で魔法を見たんだろ? あぁ、くっそ! 俺もあと少しで魔法使いになれたのによ!」
「魔法使いに!?」
「あぁ、30歳まで童貞を守れば――ってやつだ。男に産まれた以上、チャンスはあったんだが」
昔からあったのかよ、この卑猥な都市伝説は。
「日本に魔法使いなんているわけないだろ!」
「条件が凄まじく難しいからな! 当然、自慰も男色も禁則事項だ!」
それが難しいのかさっぱり分からないけど、この人の話を聴いちゃダメだ。
「これから僕の地獄の日々を最後まで語るから、おっさん、絶対に寝るなよ!」
「あぁ、ここより地獄はないだろうがな。さっさと話せ」
そして、僕は再び回想の世界に潜り込んでいく――。
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