チートなダンジョン運営〜No.1目指します〜

ロータス

ダンジョンオープン前日

 俺は、リーダーを任せていたゴブリンに名前をつけた。

「今から君の名前はギル“だ。」

 すると名前をつけた途端、そのゴブリンが光り出した。数秒後光りが収まるとそこにはさっきとは全く違うゴブリンがいた。
 身長は120センチぐらいだったゴブリンが俺より少し低い170センチぐらいになり、ひどかった顔も人間にかなり近いた。

「マスター、私なんかのために大事な運営費用を使ってまで名前をつけていただきありがとうございます。この身が果てるまであなたに忠誠を誓います。」

「そんな気にするなギル。俺のわがままで名前をつけてしまった部分もある。これから俺たちは一緒にダンジョンを守る仲間だ。そう気負いすぎるなよ。」

「わかりました。これからよろしくお願いしますマスター。」

「おう、よろしくな。早速だが、明日から探索者がこのダンジョンに来ることになる。そこで、ギルにはここの暗殺ゴブリン以外のゴブリンと一緒に最終防衛つまりここのボス部屋を守ってもらいたいと思っている。」

「了解しました。必ずや守ってみせます。」

「ここが突破されれば俺たちは終わりだ。大変な仕事だが、頑張ってくれ。みんなも頼んだぞ。」

「はい!」

「「「「「ゴブ!」」」」」

 明日はいよいよ ダンジョンがオープンする。正直、こっちの探索者がどれぐらいのレベルなのか全然予想できない。こちらよりはるかに強い探索者が来た場合いくら俺がチートといってもひとたまりもないだろう。

 もっと魔物を召喚して数を増やしておけば良かったか?
もっと緻密な計算をして罠や通路を配置すれば良かったのか?もっと自分を鍛えれば良かったのか?考え出せばきりがない。
 俺がやれることはやっつもりだ。これで負けても悔いはない。明日はやれることは全てしよう。

「みんな、俺たちはNo.1ダンジョンになるこのダンジョンの最初のメンバーだ。絶対生き残るぞ。」

 改めて決意を新たにし、俺たちは明日に備えて眠った。


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 ダンジョンが開始する日の前日この世界にいた全人類の元に神様うんえいから神託が降りた。

「この世界に住む諸君、世界神だ。諸君には1ヶ月前に知らせたと思うがもう一度伝えておこう。明日からこの世界の食材から調味料、素材、鉱石などあらゆるものが消える。それらを確保するために1000個のダンジョンを設置することにした。
 明日から君たちの生活に必要なもの全てダンジョンの魔物を倒し魔物の落とすドロップになる。
 ダンジョンには生活に必要なもの以外にも高価なアイテムや武器が手に入る可能性があり、ダンジョンを攻略すると奪えるダンジョンコアはとても高純度の魔力を秘めておりかなり高額で取引されることになるだろう。
 そしてここから特に重要なことになるが、今までレベルを上げて強くなってきた冒険者の諸君、ダンジョンは出来たばかりで全てのダンジョンがまだ未熟だ。そこで、全人類のレベルを強制的に50下げることにした。その代わりスキルはそのままにしておくから頑張ってくれ。
 明日、あらゆる場所にダンジョンベースにつながるゲートが出現する。そのダンジョンベースにある探索者ギルドで探索者として登録し直しダンジョンに挑んでくれ。細かいことはギルドに聞いてくれ。では、明日からの新生活頑張ってくれ。」

 1ヶ月前、神様うんえいはダンジョンができることをもう伝えてあったのだ。この世界の住人たちは元々ゲームの住民だったわけで特に混乱が起きないよう運営側見設定していた。これで明日からほぼスムーズにダンジョン攻略が始まるだろう。

 リュウは知らない、レベル50マイナスされたいまの冒険者たちほとんどの実力は普通のダンジョンの最弱の魔物より少し強いくらいのレベルだということを。もちろんそれでも強い冒険者はいるが。

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 いよいよ今日ダンジョンがスタートする。俺は、今残っているお金約100万円のうち60万を使ってゴブリンスポナーを3つ購入した。スポナーとはその魔物1体の値段の1000倍を払うことにより、常に1つのスポナーにつき100体魔物が出ている状態に自動でしてくれる便利な機能だ。しかし、これも無限ではなく1000体分出し切ったら消滅するようになっているため、手動が自動になって楽になるというだけの機能だ。
 つまり今俺のダンジョンには常に300体のゴブリンがいることになる。

「さあ、いよいよ今日探索者たちがこのダンジョンにやってくる日だ。気を引き締めて油断せずいこう。」

「はい!」

「「「「「ゴブ!」」」」」


 2時間ほど待ち、今午前10時過ぎだ。

「こないなー。」

 俺はコアルームにあるモニターを眺めながら待機していた。コアルームにはダンジョンの中とゲートの前が見えるモニターが設置されているのだ。

「マスター、本当に来るのでしょうか?」

ギルが聞いてきた。ギルには俺の話し相手兼一緒に対策を練る要員として一緒にコアルームにいてもらっている。

「うーん、一応今日からダンジョンオープンの日だから来るはずだ。昨日ギルドにも確認したしな。」

 俺は、無魔法の身体強化でスキルレベルアップを図りながら待機していた。最近、どの魔法を使っても全魔法のレベルが上がることに気づき出来るだけ魔法を使うようにしている。万が一ギルがやられれば俺がダンジョンを守らないといけないからな。

 それからギルと今後のダンジョンについて話していると、

「きました!」

 ギルがモニターを指差し俺に教えてくれた。

「来たか!人数は4人か。」

 俺は、モニター越しに鑑定をした。

「ギル、お前が出るまでもなさそうだ。」

「では、鑑定は成功したのですね?」

「ああ、みんなレベルは1で、ステータスもほとんどがGで所々にFがあるくらいだ。でも、少しおかしい点がある。」

「なんでしょう?ステータスを聞いたかぎりゴブリン1体にすら負けるレベルだと思いますが?」

「たしかに、指揮強化によってオールEのゴブリンならこれぐらい余裕だろう。しかしスキルがおかしんだ。レベルは1なのに、スキルのレベルが3か4がほとんどで3人とも3つはスキルを持っている。」

「ふむ、確かにおかしいですね。しかし、私たちのように一度も敵を倒さずスキルだけ磨いていたのではないでしょうか?」

 確かにギルたちもすでにスキルレベルは3に達している。そこまでおかしくないのか?ちなみにスキルのレベルは10がMAXだ。

「そうだな、まあ考えすぎても仕方ない。とりあえず様子を見よう。」



 





 *ギルのステータス
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     名前: ギル
     種族: ゴブリン
  レベル:  1
     
     体力: D  (G)
     魔力: E  (G)
     攻撃: D  (G) 
     耐久: E  (G)
     速さ: D  (G)
     魔攻: E  (G)
     魔防: E  (G)
     器用: D  (G)
     運   :  D  (G)

  <ノーマルスキル>
        剣術Lv3、統率Lv3、回避Lv2、
  威圧Lv1

  <ユニークスキル>
        なし

  <称号>
       初めての名前魔物ネームドモンスター

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 統率・・・仲間の指揮を執り連携がうまくいくようになる。

 回避・・・回避行動が上手くなる。

 威圧・・・敵を一瞬怯ませることができる。力量の差が大きいほど効きやすい。

 初めての名前魔物・・・初めてダンジョンマスターに名前をもらった魔物。成長率大Up

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