かわいい俺は世界最強〜俺tueeeeではなく俺moeeeeを目指します〜
9話 聞き込みです
さて、メトカーフ家でのアレンとのお茶会も無事済んだところで、新たな問題というよりは、元あった問題が明確になってそれでややこしくなった。何言ってるか自分でもよくわからん。
しばらく、まあせいぜい3日ほどなのだがアレンとは会わない事になった。というのもフィアナという架空の人物も理想のとしてそれを演じちゃったからには生活面もあるわけで、フィアナの見た目は余裕で成人を迎えた二十代半ば、働いてないとおかしい。というわけであらかじめ用意しておいた設定(協会運営の換金所の事務員)に基づいた理由をでっち上げた。
アレンの方にも当然予定はあり、だからなるべく最短で会えるようアレンの都合を聞き出してからフィアナの都合を伝えた。それが3日後であり、その日はデートをする事になった。
そして話は戻る。
恰好の機会。デートをするにあたり、このままではアレンを攻略出来ないのではないという問題が出たのだ。
「あのボンボン、めんどくさいなぁ」
「カナデちゃん、口が悪くなってるよ……。何かあったの?」
夜、メトカーフ家から帰宅した私はリビングでグダっとだらけながら悪態をついていた。フィアナへの理想変化は解いている。なんだかフィアナを演じた分だけ素が出ている気がする。疲れているんだろうか? 
まあこのくらいで愛想を尽いてしまう程度だったら、俺もまだまだだという事だが、その心配もいらなそうだ。むしろのめり込んできている気がする。……リディアさん、癒しがどれだけ足りなかったの?
「リディアさん、アシュレイって女性知ってますか? アレンの亡くなった母親らしいんですけど」
「ああ、アシュレイ様か……。坊ちゃんと関わってたら自然と聞くよね」
あれ? やっぱり知ってた感じ?
「そういえば、フィアナちゃんの時の姿ってアシュレイ様に似てるね」
「あ、はい。エルバードさんにも言われました」
「エルバードさんか。懐かしい名前をよく聞くなぁ」
「リディアさんは、アシュレイさんとエルバードさんと知り合いなんですか?」
「え? ああ、知り合いっていうよりは一方的に知ってるっだけだよ。エルバードさんはアレンお付きの執事だから、仕事でたまに会うくらいだけど」
エルバードさんについては納得だ。今回の作成の発端となったあの日、エルバードさんはアレンお付きの執事として当然お供していたからだ。しかしだ、一介の市民が、というか当時はリディアさんも幼かったはずだから、子供が領主の妻を知るというのは、懐かしむというのはどういうことなのだろうか。一方的に知っているだけという割に思い入れがあるように見えるのは、果たして深読みのし過ぎだろうか?
「アシュレイ様は、ね。憧れだったんだ」
「え?」
「優しくて、愛されて、綺麗で。この街の女の子、全員の憧れだったんじゃないかな」
やっぱり、深読みのし過ぎじゃない。これは、聞く価値ありだな。
「アシュレイさんって、どんな人だったんですか?」
「アシュレイ様は元々、平民の子だったの。農家の一人娘でね」
アシュレイ様は、と。
リディアさんは楽しそうに語ってくれた。
まとめてしまうと、アシュレイさんはエルバードさんから聞いていた通り、やはり清楚な人だったらしい。近くにいる執事から見た印象とリディアさんから見た印象が一緒、というのも気になるところではあるが。
しかしそれはそれとして、聞けば聞くほどアシュレイさんは人格者であったようなのだ。それこそ理想の存在と言えるほどにだ。
俺はフィアナという理想を演じる時にはかなり気を使うし、疲れる。だからそれが演技ではなく、つまりキャラというそのままの性格だとしたら、凄い。
聖人君子と言われる人は多いけれど、それだって聞けば我欲がないわけじゃない。なのにだ、アシュレイさんにはそれがない。理想そのまま現実に映し出されたと言われても信じてしまえる。だって、それほど綺麗な話だったから。
「荷が重くなるばかりだな」
「どうして? アシュレイ様はアシュレイ様だよ? 」
「そうなんですけど、ね。フィアナの姿、だけじゃなくて性格までアシュレイさんに似てるとなると、ベースはアシュレイさんにあるってことじゃないですか」
「うん」
「人の理想ってその人の経験から、色々な人の色々な部分を少しずつとって出来たりするものだと思うんです。きっと無意識にでしょうけど。
だけどアレンの場合、大部分がアシュレイさんにあります。それって比較対象があるってことじゃないですか。つまり、誤魔化しが効かないってことですよ」
「そっか」
そうなんですよね。ああしんどい。
俺だって比較対象のある人に萌えを仕掛けたことはない。だって地球での俺は『ロリっ子』ていう属性の元に偶像的に萌えを振りまいていたというだけなのだ。
対個人の『理想的萌え』と対集団の『偶像的萌え』は似ているようで、決定的な差があるのだ。
はあしんどい。
「もう少しアシュレイさんについて聞きたいんですよね……」
「アシュレイ様なら街の人に聞けばわかると思うけど」
「なら決まりですね。アレンとのデートまでに、アシュレイさんについては調べましょう。少しでも情報が必要です」
「うん」
この3日で決まる。この3日でアレン攻略の筋書きを見つけなくちゃ、やばい。タイムリミットだってある。明日からは大変だ。
ということで、
「ふぁあ……。ねむい。もう寝ますね」
「あ、なら私も寝るね。さあ行こっ」
やけに積極的だが、俺がアレンと会っていた分だけ不満がたまっているらしい。というのも事前に言われていたからで、約束もした。
「カナデちゃん抱き心地がいいんだよね」
「さいですか」
やや硬めのベットへと向かう。それも、まあ、リディアさんの柔らかいモノで気にならないのだけど。……はい、既に何回か抱き枕になってました。
***
聞き込み初日。
「アシュレイ様かい? 懐かしい名前を聞くねぇ」「アシュレイ様か。綺麗な人だったよ。もちろん心もね」「今でも私の目標なんです」「かわいい子だったよぉ。だからあの事件は残念だった」
出るわ出るわアシュレイ様褒め隊。訓練された兵士が如く褒めるわ褒めるわ。なんなの、洗脳でもされてんのか? 引くわ、マジ引くわ。
おしゃれして街へと繰り出せばアシュレイさんを知っている人はたくさんいて、聞き込み内容からも、本当に愛されていたことがわかった。
だから、怖い。
聞き込み2日目。
「ああ、覚えてるともさ。女神とはアシュレイ様のようななのだろうな」「ペロペロしたい」
……褒めた讃えるもの、だった。いや、犯罪起こしそうなやつもいたけど、全力で逃げたけど、憲兵に突き出したけど。本当に怖い。
初日とは違い食事処等の店内での聞き込みをした2日目も、やはり同じような声が聞けた。本当にアシュレイさんは超人だ。
慣れない聞き込みに身体も疲れた3日目。明日はデート、疲れを残すわけにもいかず早く切り上げようとしていた。
聞き込んだ量に対して得られた情報は少なく、あえて言うなら一面性しかない人だったと言うことだった。
だから次でラストにしようと、リディアさんとも相談して声をかけたのは商人。この街を拠点に活動していた身なりの小綺麗な商人だった。それが、運命の分岐点だった。
「俺なんかに聞くより、もっと知ってる人がいるよ嬢ちゃん」
「本当ですか? 結構聞き込みしたんですけど……」
演技ではない疲れを浮かべる。すると商人には二カリと笑うと荷車に乗るよう指を指してきた。
「連れてってやるよ、アシュレイ様の両親の場所に。適任だろう?」
「えっ……」
「これから仕入れに行くんだよ。夕方には帰ってこられる」
「つ、連れてってくださいっ!」
これは、最大最高のチャンスでは? というかなんで今まで思いつかなかったんだよ俺! 本当に馬鹿だな俺! けどチャンス来たからナイス俺! 本当にオレッ!
このままサンバを踊るか? という勢いでテンションが上がり、即決で行くことを決めた。リディアさんも憧れのアシュレイ様の両親に会えるとのことで、やや興奮気味だ。
「じゃあよろしくお願いします、オジサン」
「お兄さんと呼びなさい」
そのこだわりはなんだのだろうか、オジサン……。
しばらく、まあせいぜい3日ほどなのだがアレンとは会わない事になった。というのもフィアナという架空の人物も理想のとしてそれを演じちゃったからには生活面もあるわけで、フィアナの見た目は余裕で成人を迎えた二十代半ば、働いてないとおかしい。というわけであらかじめ用意しておいた設定(協会運営の換金所の事務員)に基づいた理由をでっち上げた。
アレンの方にも当然予定はあり、だからなるべく最短で会えるようアレンの都合を聞き出してからフィアナの都合を伝えた。それが3日後であり、その日はデートをする事になった。
そして話は戻る。
恰好の機会。デートをするにあたり、このままではアレンを攻略出来ないのではないという問題が出たのだ。
「あのボンボン、めんどくさいなぁ」
「カナデちゃん、口が悪くなってるよ……。何かあったの?」
夜、メトカーフ家から帰宅した私はリビングでグダっとだらけながら悪態をついていた。フィアナへの理想変化は解いている。なんだかフィアナを演じた分だけ素が出ている気がする。疲れているんだろうか? 
まあこのくらいで愛想を尽いてしまう程度だったら、俺もまだまだだという事だが、その心配もいらなそうだ。むしろのめり込んできている気がする。……リディアさん、癒しがどれだけ足りなかったの?
「リディアさん、アシュレイって女性知ってますか? アレンの亡くなった母親らしいんですけど」
「ああ、アシュレイ様か……。坊ちゃんと関わってたら自然と聞くよね」
あれ? やっぱり知ってた感じ?
「そういえば、フィアナちゃんの時の姿ってアシュレイ様に似てるね」
「あ、はい。エルバードさんにも言われました」
「エルバードさんか。懐かしい名前をよく聞くなぁ」
「リディアさんは、アシュレイさんとエルバードさんと知り合いなんですか?」
「え? ああ、知り合いっていうよりは一方的に知ってるっだけだよ。エルバードさんはアレンお付きの執事だから、仕事でたまに会うくらいだけど」
エルバードさんについては納得だ。今回の作成の発端となったあの日、エルバードさんはアレンお付きの執事として当然お供していたからだ。しかしだ、一介の市民が、というか当時はリディアさんも幼かったはずだから、子供が領主の妻を知るというのは、懐かしむというのはどういうことなのだろうか。一方的に知っているだけという割に思い入れがあるように見えるのは、果たして深読みのし過ぎだろうか?
「アシュレイ様は、ね。憧れだったんだ」
「え?」
「優しくて、愛されて、綺麗で。この街の女の子、全員の憧れだったんじゃないかな」
やっぱり、深読みのし過ぎじゃない。これは、聞く価値ありだな。
「アシュレイさんって、どんな人だったんですか?」
「アシュレイ様は元々、平民の子だったの。農家の一人娘でね」
アシュレイ様は、と。
リディアさんは楽しそうに語ってくれた。
まとめてしまうと、アシュレイさんはエルバードさんから聞いていた通り、やはり清楚な人だったらしい。近くにいる執事から見た印象とリディアさんから見た印象が一緒、というのも気になるところではあるが。
しかしそれはそれとして、聞けば聞くほどアシュレイさんは人格者であったようなのだ。それこそ理想の存在と言えるほどにだ。
俺はフィアナという理想を演じる時にはかなり気を使うし、疲れる。だからそれが演技ではなく、つまりキャラというそのままの性格だとしたら、凄い。
聖人君子と言われる人は多いけれど、それだって聞けば我欲がないわけじゃない。なのにだ、アシュレイさんにはそれがない。理想そのまま現実に映し出されたと言われても信じてしまえる。だって、それほど綺麗な話だったから。
「荷が重くなるばかりだな」
「どうして? アシュレイ様はアシュレイ様だよ? 」
「そうなんですけど、ね。フィアナの姿、だけじゃなくて性格までアシュレイさんに似てるとなると、ベースはアシュレイさんにあるってことじゃないですか」
「うん」
「人の理想ってその人の経験から、色々な人の色々な部分を少しずつとって出来たりするものだと思うんです。きっと無意識にでしょうけど。
だけどアレンの場合、大部分がアシュレイさんにあります。それって比較対象があるってことじゃないですか。つまり、誤魔化しが効かないってことですよ」
「そっか」
そうなんですよね。ああしんどい。
俺だって比較対象のある人に萌えを仕掛けたことはない。だって地球での俺は『ロリっ子』ていう属性の元に偶像的に萌えを振りまいていたというだけなのだ。
対個人の『理想的萌え』と対集団の『偶像的萌え』は似ているようで、決定的な差があるのだ。
はあしんどい。
「もう少しアシュレイさんについて聞きたいんですよね……」
「アシュレイ様なら街の人に聞けばわかると思うけど」
「なら決まりですね。アレンとのデートまでに、アシュレイさんについては調べましょう。少しでも情報が必要です」
「うん」
この3日で決まる。この3日でアレン攻略の筋書きを見つけなくちゃ、やばい。タイムリミットだってある。明日からは大変だ。
ということで、
「ふぁあ……。ねむい。もう寝ますね」
「あ、なら私も寝るね。さあ行こっ」
やけに積極的だが、俺がアレンと会っていた分だけ不満がたまっているらしい。というのも事前に言われていたからで、約束もした。
「カナデちゃん抱き心地がいいんだよね」
「さいですか」
やや硬めのベットへと向かう。それも、まあ、リディアさんの柔らかいモノで気にならないのだけど。……はい、既に何回か抱き枕になってました。
***
聞き込み初日。
「アシュレイ様かい? 懐かしい名前を聞くねぇ」「アシュレイ様か。綺麗な人だったよ。もちろん心もね」「今でも私の目標なんです」「かわいい子だったよぉ。だからあの事件は残念だった」
出るわ出るわアシュレイ様褒め隊。訓練された兵士が如く褒めるわ褒めるわ。なんなの、洗脳でもされてんのか? 引くわ、マジ引くわ。
おしゃれして街へと繰り出せばアシュレイさんを知っている人はたくさんいて、聞き込み内容からも、本当に愛されていたことがわかった。
だから、怖い。
聞き込み2日目。
「ああ、覚えてるともさ。女神とはアシュレイ様のようななのだろうな」「ペロペロしたい」
……褒めた讃えるもの、だった。いや、犯罪起こしそうなやつもいたけど、全力で逃げたけど、憲兵に突き出したけど。本当に怖い。
初日とは違い食事処等の店内での聞き込みをした2日目も、やはり同じような声が聞けた。本当にアシュレイさんは超人だ。
慣れない聞き込みに身体も疲れた3日目。明日はデート、疲れを残すわけにもいかず早く切り上げようとしていた。
聞き込んだ量に対して得られた情報は少なく、あえて言うなら一面性しかない人だったと言うことだった。
だから次でラストにしようと、リディアさんとも相談して声をかけたのは商人。この街を拠点に活動していた身なりの小綺麗な商人だった。それが、運命の分岐点だった。
「俺なんかに聞くより、もっと知ってる人がいるよ嬢ちゃん」
「本当ですか? 結構聞き込みしたんですけど……」
演技ではない疲れを浮かべる。すると商人には二カリと笑うと荷車に乗るよう指を指してきた。
「連れてってやるよ、アシュレイ様の両親の場所に。適任だろう?」
「えっ……」
「これから仕入れに行くんだよ。夕方には帰ってこられる」
「つ、連れてってくださいっ!」
これは、最大最高のチャンスでは? というかなんで今まで思いつかなかったんだよ俺! 本当に馬鹿だな俺! けどチャンス来たからナイス俺! 本当にオレッ!
このままサンバを踊るか? という勢いでテンションが上がり、即決で行くことを決めた。リディアさんも憧れのアシュレイ様の両親に会えるとのことで、やや興奮気味だ。
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