家族になって1ヶ月の妹に誘われたVRMMOで俺はゆるくやるつもりがいつの間にかトッププレイヤーの仲間入りをしていた
第9話 情報収集
ポータルキーを使ってセントラルエリアに戻ってきた俺達はすぐに冒険者会館へと向かった。
するとそこには多くのプレイヤーが集まっていた。目的はきっと例のワールドクエストに関する情報を手に入れることだろう。
なんせワールドクエストについて分かっていることは大量のスライムが出てきたことと、バンバルドの森のどこかにカイゼルスライムというモンスターが居ることの二点だけだ。他には何も分からない。
なので少しでも更なる情報が欲しいのだが、下手にログアウトしてネットサーフィンとしゃれ込むよりも簡単に済ませられる方法がある。それは直接聞くことだ。この方法ならまだネットに出回っていない情報も手に入るかもしれない。
このABVRはVRMMO、つまりは多くの人間が同時にプレイしているゲームだ。つまり他のプレイヤーの生の声がゲームの中でも聞くことが出来る。そして多くの人間が集まれば手に入る情報量も自然と莫大なものとなる。
なので誰も彼もがこの場所に集ったわけだがいかんせん話し合いなど出来ないレベルでパニックに陥った。
「なんだあの大量のスライム!」
「いきなり出てきて轢き殺された!」
「せっかく集めたアイテムが全部無くなった!」
その光景はまさに阿鼻叫喚。たしか町の外でやられたプレイヤーは最後に立ち寄った町に強制送還されるというルールだったはずなので、ここに居るプレイヤーの殆どは一度殺されて帰ってきたプレイヤーということになるのだろう。
相当パニックに陥っているのかNPCの受付嬢に詰め寄ったりしている。
「ああいうのは全て無視。こういうときは情報を持ってそうなプレイヤーにピンポイントで聞くに限るわ」
「それってどんな人?」
「強そうな人。更に言えば多少は場数を踏んでいるβテスターに聞くのがベストよ。初心者じゃあるまいし冷静にスライムを処理してある程度の情報を集めていてもおかしくは無いわ」
「なるほど。じゃあさっそく誰か見つけて……あ、あの人が良いかも」
俺は周りを見渡してその中でも強そうな人を見つけた。早速声をかけに行こうとしたらすぐさまカノンに止められた。しかもやたらと首を振っているし。
「え、なんでわざわざあのカタギじゃ無さそうな人の所に行くのよ!」
「いやでも強そうだし、それに多分あの人達きっと優しいって」
「どこ見たらそうなるのよ!」
それはもはや絶叫に等しい叫びっぷりだったが、俺は構わず目をつけた人たちの元へ。
そこに居たのは男の3人組だ。確かに少し強面だがそこまで悪い人には見えなかった。レベルも34と結構高いし。
「すみません、一つ教えて欲しいんですけど」
「なんだ兄ちゃん、見ない顔だな。βテストには居なかったろ」
「あ、はい。俺は妹に誘われて今日から始めたクチで。だから色々と教えてもらおうと思ってたんです」
「妹? あの金髪のがそうか?」
少し後ろに下がって見ていたカノンを指さしながら男は言った。元々血が繋がっているわけでも無いし、それ以上にアバターなので余計に兄妹とは分かりづらいはずなのだがどういうわけかこの男は一瞬で気付いてしまった。
「何、そう難しいことでも無いさ。ウチらと話すあんたを心配してる嬢ちゃん見てたら誰でも分かる」
「すいません、ちょっと心配性みたいで」
「いや気にはしてない。リアルでもゲームの中でも良くあることや」
「そう言ってくれるとありがたいです」
そこまで俺が言うと男は耐えきれなくなったように笑い始めた。
「いやスマンスマン。こんな堂々と話かけてくるようなヤツはなかなか見ないもんやから笑ってもうた。で、こんな条件で世間話ってワケじゃ無いんだろ? 何が聞きたい?」
「ワールドクエストについて知っていることを教えて欲しくて」
「ほう?」
男の目の色が変わったことを俺は見逃さなかった。けれど俺はそのことを特に指摘したりしない。ここは変に突っ込む所では無いと思ったからだ。
「いきなり聞きにくいことを聞いてくる男だ。大した根性しとる」
このゲームにたばこなんてアイテムがあるならこの人は間違い無く吸っているだろうなというそんな確信を持てるような雰囲気だった。ちなみにABVRは全年齢対象のゲームなので酒やたばこなどは手に入らない。
本来はゲームでそんなことを気にしていても過剰な規制にしか感じないのだが、なまじ五感に左右し、ゲーム内で味覚なんかを感じるからたばこなどは子供が味を覚えてしまうからNGなのだとか。まあそれは仕方ない。
ともかく、俺はそんな点からこの人がリアルでも大人なんだろうなと勝手に思ってしまっていた。
「別におしえたってもええけどただでとはいかんな。そりゃなあ、俺らが持ってる情報をくれてやる代わりに今度でええから言うこと一つ聞いてくれ。まあ貸し一つ作るっちゅうことやな」
「それだけで良いんですか?」
「それだけ言うても、今度何頼むか分からんねんで。それこそ持ってる銭と荷物全部置いてけ言うたりやな」
「でもわざわざ言ってくれるってことはやっぱりいい人じゃ無いですか。本当に悪い人には悪いことしてるって自覚さえ無いんだし。俺は信じますよ。あなたの良心ってヤツ」
それを聞いて男はさっきまで以上の声を上げて笑い始めた。もうひっくり返るような勢いだ。そして一頻り笑って俺の目を見てこう言う。
「気に入ったわ。ならこっちの情報を教えたる。そっちのお嬢ちゃんも手ぇ出さへんからこっち来い」
こうして俺達はカイゼルスライムの情報を手に入れたがカノンはずっと首を傾げていた。
するとそこには多くのプレイヤーが集まっていた。目的はきっと例のワールドクエストに関する情報を手に入れることだろう。
なんせワールドクエストについて分かっていることは大量のスライムが出てきたことと、バンバルドの森のどこかにカイゼルスライムというモンスターが居ることの二点だけだ。他には何も分からない。
なので少しでも更なる情報が欲しいのだが、下手にログアウトしてネットサーフィンとしゃれ込むよりも簡単に済ませられる方法がある。それは直接聞くことだ。この方法ならまだネットに出回っていない情報も手に入るかもしれない。
このABVRはVRMMO、つまりは多くの人間が同時にプレイしているゲームだ。つまり他のプレイヤーの生の声がゲームの中でも聞くことが出来る。そして多くの人間が集まれば手に入る情報量も自然と莫大なものとなる。
なので誰も彼もがこの場所に集ったわけだがいかんせん話し合いなど出来ないレベルでパニックに陥った。
「なんだあの大量のスライム!」
「いきなり出てきて轢き殺された!」
「せっかく集めたアイテムが全部無くなった!」
その光景はまさに阿鼻叫喚。たしか町の外でやられたプレイヤーは最後に立ち寄った町に強制送還されるというルールだったはずなので、ここに居るプレイヤーの殆どは一度殺されて帰ってきたプレイヤーということになるのだろう。
相当パニックに陥っているのかNPCの受付嬢に詰め寄ったりしている。
「ああいうのは全て無視。こういうときは情報を持ってそうなプレイヤーにピンポイントで聞くに限るわ」
「それってどんな人?」
「強そうな人。更に言えば多少は場数を踏んでいるβテスターに聞くのがベストよ。初心者じゃあるまいし冷静にスライムを処理してある程度の情報を集めていてもおかしくは無いわ」
「なるほど。じゃあさっそく誰か見つけて……あ、あの人が良いかも」
俺は周りを見渡してその中でも強そうな人を見つけた。早速声をかけに行こうとしたらすぐさまカノンに止められた。しかもやたらと首を振っているし。
「え、なんでわざわざあのカタギじゃ無さそうな人の所に行くのよ!」
「いやでも強そうだし、それに多分あの人達きっと優しいって」
「どこ見たらそうなるのよ!」
それはもはや絶叫に等しい叫びっぷりだったが、俺は構わず目をつけた人たちの元へ。
そこに居たのは男の3人組だ。確かに少し強面だがそこまで悪い人には見えなかった。レベルも34と結構高いし。
「すみません、一つ教えて欲しいんですけど」
「なんだ兄ちゃん、見ない顔だな。βテストには居なかったろ」
「あ、はい。俺は妹に誘われて今日から始めたクチで。だから色々と教えてもらおうと思ってたんです」
「妹? あの金髪のがそうか?」
少し後ろに下がって見ていたカノンを指さしながら男は言った。元々血が繋がっているわけでも無いし、それ以上にアバターなので余計に兄妹とは分かりづらいはずなのだがどういうわけかこの男は一瞬で気付いてしまった。
「何、そう難しいことでも無いさ。ウチらと話すあんたを心配してる嬢ちゃん見てたら誰でも分かる」
「すいません、ちょっと心配性みたいで」
「いや気にはしてない。リアルでもゲームの中でも良くあることや」
「そう言ってくれるとありがたいです」
そこまで俺が言うと男は耐えきれなくなったように笑い始めた。
「いやスマンスマン。こんな堂々と話かけてくるようなヤツはなかなか見ないもんやから笑ってもうた。で、こんな条件で世間話ってワケじゃ無いんだろ? 何が聞きたい?」
「ワールドクエストについて知っていることを教えて欲しくて」
「ほう?」
男の目の色が変わったことを俺は見逃さなかった。けれど俺はそのことを特に指摘したりしない。ここは変に突っ込む所では無いと思ったからだ。
「いきなり聞きにくいことを聞いてくる男だ。大した根性しとる」
このゲームにたばこなんてアイテムがあるならこの人は間違い無く吸っているだろうなというそんな確信を持てるような雰囲気だった。ちなみにABVRは全年齢対象のゲームなので酒やたばこなどは手に入らない。
本来はゲームでそんなことを気にしていても過剰な規制にしか感じないのだが、なまじ五感に左右し、ゲーム内で味覚なんかを感じるからたばこなどは子供が味を覚えてしまうからNGなのだとか。まあそれは仕方ない。
ともかく、俺はそんな点からこの人がリアルでも大人なんだろうなと勝手に思ってしまっていた。
「別におしえたってもええけどただでとはいかんな。そりゃなあ、俺らが持ってる情報をくれてやる代わりに今度でええから言うこと一つ聞いてくれ。まあ貸し一つ作るっちゅうことやな」
「それだけで良いんですか?」
「それだけ言うても、今度何頼むか分からんねんで。それこそ持ってる銭と荷物全部置いてけ言うたりやな」
「でもわざわざ言ってくれるってことはやっぱりいい人じゃ無いですか。本当に悪い人には悪いことしてるって自覚さえ無いんだし。俺は信じますよ。あなたの良心ってヤツ」
それを聞いて男はさっきまで以上の声を上げて笑い始めた。もうひっくり返るような勢いだ。そして一頻り笑って俺の目を見てこう言う。
「気に入ったわ。ならこっちの情報を教えたる。そっちのお嬢ちゃんも手ぇ出さへんからこっち来い」
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コメント
ベノ
更新期待してます
黒音
更新はよー