チートな俺の異世界生活

日ノ丸太郎

7話チートな俺の初のクエスト?

あの後健太達は無事宿を見つけ日をこすことができた。

(あーあれは夢だったのか? いや、夢じゃない現実だったな…起きるか)

健太は体を起こすと、その後1度頬を軽く叩きベッドから腰をあげる。

「ん…今は何時だろうなってこの世界には時計がないのか? いや、存在してるがここにはないだけか?」

「お、やっと起きやがったな」

豚男達は健太より早く起きていた。というよりもシングルベッドに二人で寝ていたため、まともに寝れていなかった。

「お、よく寝れたか?」

「寝れてねぇわ!!」

「おいおい、朝からそんな怒鳴るな隣に迷惑だ」

豚男が上から降りてくる。 それに続き高太も降りてくる。
健太達の部屋は6畳くらいの広さ。健太達は二段ベッドで、健太は下、豚男たちは上で寝ていた。

「はぁ で、今日はどうするんだよ」

豚男は、腰に手をあてそう言った。

「それは朝食を食べながら話そう」

健太はそう言うと部屋の鍵を開け、部屋から出る。
豚男達はそれに続いた。

宿の一階に降りると机と椅子がいくつかあり、受付のカウンターと思われる場所には暇そうにしている女性が一人いた。

健太達がてきとうに席に座るとその女性が席まできた。

(確か、名前はシェミルだったか? まぁいいか)

「今日のメニューはパンとシチューとミルクですが、どうしますか?」

「いただこう」

そう言うとシェミルはカウンターの方へ行き朝食3つ! と調理場にいると思われる人物にそう言った。

「ということで、待っている間に今日やることを発表していこう」

「おう」

「はい」

「今日はまず武器屋に行き武器を買う。 その後冒険者ギルドに行き早速クエストを受けたいと思う」

「わかった」

「了解っす」

と、健太が一日の説明を終えたところで朝食が都合よく運ばれてくるということはなく、 それから少ししてから順に運ばれた。




(この世界にもパンがあったことは驚きだな。 もしかしたら野菜とかそこら辺はあっちとあまり変わらないのかもしれないな)

何てことを思いながら歩き続けること30分未だに武器屋は見つかっていない。

「おい、主…武器屋? ってのはこうも見つからないものか?」

流石に疑問に思ったらしく豚男がそう言った。

「いや、普通ならすぐ見つかると思うが、この街案外広いからな」

「いや、確かにそうだけどよ」

【ハマジリの街】

前に説明があったかもしれないが、
この街は誰しもがまた新しく、もしくはこれから新しく仕事を始めることを目的とした街。なので、いろんな店がたくさんある。

それこそあんなものから、こんなものまでといった曖昧な説明になってしまうほど。

「そろそろ冒険者ギルドの近くだな」

「ん? あそこのあれ剣じゃね?」

そう言ったのは豚男。

「ん? あ、マジだ でかしたぞ! 豚男!」

健太達はようやく武器屋を見つけたのだった。

だが、健太はそれと同時にあるものを目にする。

店の前には十代前半と思われるボサボサの白髪の少女が体育座りをしていた。

(この子は、これは何かありそうだな)

豚男もその子に気づく。

健太はドンドン近づいていく。

そして……

「どうした。そんなところに座って」

少女からの返事はない。

「白髪の少女、君に言っているのだが、顔を上げてはくれぬか?」

少女は顔をあげる。

顔は整っているものの、その顔は痩せ細って見える。

(これは、ここ最近何も食べていないのか)

ぎゅっと健太の胸を何かが締める。

「どうした そんなところに座って」

少女は健太を睨みつける。

「けほ、けほ…」

(病気とわかったら去るでしょ)

少女は咳をした。

すると健太は、少女のおでこに手をあてた。

(つめた!なんなのこの男)

(熱がだいぶあるな…風邪か?)

少女は健太の手をはらう。

「な、何する…けほけほ…の」

「いや、熱があると思ってな」

「私、病気…けほけほ…だから」

と言うと少女は再び元の体勢に戻る。

「家は、両親はいないのか?」

(ほんと、何なの…)

「ない。 この後ろにある家の人が私を買ったけど……」

少女は黙りこんでしまった。

「どうした?」

「……頭痛いからもう喋りたくない」

「そうか、わかった。じゃ最後にお兄さんの願い聞いてくれないか?」

少女は少し頭を上げた。

そこには背を向け屈んでる健太がいた。

「何してるの」

「お兄さんからの最後の願い、お兄さん達と一緒に旅をしてくれないか?」

(え…旅? なんで病気だって言ってるのに…何でいや、どうせそう言って売るんだ…私は知ってる私が奴隷だってこと…)

「もし、来てくれるのならこの背に乗っかってくれ」

(行くはずない…私はここで死ぬって決めたから…もう希望なんて見ない)

「駄目…か…」

健太は立ち上がり

「ならばしかたない」

健太は少女の両脇を掴みあげてそのままお姫様抱っこした。

「な、何するの! …けほけほ」

少女の顔は熱のせいか、この状況からか、どちらかはわからないが赤い。

「うん? お願いが聞いてもらえなかったから無理矢理連れていくことにした」

(はぁ!? )

「は、離せ! お前達どうせ私を売るのだろ!知っている!」

「売るわけないだろ胸ぐそ悪い。と言っても今のお前には信じてもらえないと思うがな」

(駄目だもう暴れる力も残ってない)

「暴れる力も残ってないってところか丁度いい」

健太は武器屋に入ろうとしたがあることに気づく。

「すまないが豚男この扉を開けてくれないか?」

「わかったよ」

豚男は武器屋の扉をあける。

「いらっしゃい」

店の奥から店主と思われる男の声が聞こえてきた。

「どうもはじめまして」

この少女を病気になったからといって外に放置したであろう犯人であると思われる男に健太は社会人スマイルで店主と思われる男にそう言った。

「ん? おいにいちゃんそいつは俺が外に出したものじゃねぇか」

「あぁそうだこの少女いらないなら俺が貰っていいか?」

「は?」

「ん? どうかしたか?」

「別にいいが、そいつは今病気だし、もうそのままじゃ長くもたねぇぞ?」 

一瞬健太の目付きがいっそう険しく鋭いものになった気がした。

「店主、剣なんて持ってどうした?」

店主の手には無意識のうちに握っていたと思われる剣があった。

(な、なんだ今の…死ぬかと思った…)

「いや、すまないなにいちゃん。 あと、『それ』貰ってくれるなら好きな剣3本持ってっていいぞ。 処分に困ってたんだ」

「そうか、わかったありがたく受け取っとくことにしよう」

健太は手早く剣を選び、豚男に取らせると入る時と同じように店を出た。

「うんで、どうすんだ主っておい! どこ行くんだよ!」

出た瞬間に健太は何も言わずやや早足でもときた道を戻り始めた。

「宿に戻る。 今日は緊急だ、なしだ」

「はぁ、わぁーたよ」

10分くらいで健太は宿についた。

「あれお客さんクエスト受けに行ったんじゃ…ってその子どうしたの!?」

「話しは後だ」

健太は昨夜泊まった部屋の鍵をあけ、そして鍵を閉めた。

少し後からついてきていた豚男と高田だが、部屋についていくことはなく、今朝食事をとった場所と同じ席に座った。






健太は白髪の少女をベットに下ろす。

「さて、俺ならきっとできるしやるか」

健太が今しようとしているものそう、この少女の病気を消す方法。

『聖属性魔法』である。

おもに呪いを治す魔法であるが、病気とかも治すこと、消すことができる。だが、多くの聖属性をもつ者は教会のものであるが、戦闘も何も基本的に祈ることしかしていないため魔力量が乏しく、風邪や擦り傷と言ったものしか基本治せない。

健太は少女の方に開いた手を向け、目を閉じた。

「この少女の病気を消せ…」

『ケアロ』

健太がそう言ったとたん少女の下と健太の手の先に白い魔法陣が出現した。

(あれ、体が暖かい。 それにどんどん楽になってく。 何か…眠く………)

3分くらいだろうか、白い魔法陣は突然消滅した。

(どうやら、成功したようだな)

健太は一息つく。

(にしても、俺が聖属性もちだとはな…まぁ、あるとはわかっていたがな)

健太は一度少女の頭を撫でると、部屋に置いてあるイスをベットの近くまで持っていき腰をおろした。




その瞬間、健太は電源が切れたかのように深く眠ってしまった。


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