勇者の俺が科学の世界に転生した結果
5話 10年
「「「帰って来たーーー!」」」
どうも、皆さん。綾人です。
あの旅立ちの日からなんと、10年が経ちました。今や僕はもう15歳、姉の藍は16歳、妹の海は12歳です。ついでに母の巴は31歳
まあ、母さんの場合、31歳には見えないどころか20歳と言われても余裕で信じるぐらいの若さですが。
それはさておき、あれから10年、僕達家族はいろんな国を転々としました。
そして今、ヤマト国の、それも10年前僕達が住んでいた家に帰ってきました。いや〜懐かしいですね〜。もう移動はしないそうですよ。
そうそう、15歳といえば高校入学の年。僕と姉さんはそれぞれ入学試験と編入試験を受け無事合格した地元の高校に、海は近くの中学校に行くことになるそうです。
この10年間、小学校と中学校で転校を繰り返したおかげで男友達があまり出来ませんでした。(なぜか女性からはよく話しかけられるため、女友達は多い。また、これが男友達が少ないひとつの原因となっていることを、綾人は知るよしもない。)しかし!もう移動はしないそうですから、今度の高校では友達をたくさん作ります!
そして高校入学式の日。
「───と、綾人、起きて。もう朝よ」
う〜ん、まだ眠い。
「………あと5分…」
「あら、早く起きないとお姉さんがイタズラしちゃうかもよ♡」
「よし、今日もいい朝だ!」
ここで起きないと、姉さんならほんとにあんなことやこんなことをしてきそうで怖い。
「綾人、今日は珍しく遅いじゃない。どうしたの?」
「緊張して昨日夜更かししちゃった」
「綾人は可愛いわねぇ〜」
と、そこで腰のあたりが妙に暖かいこと気づく。
「はぁ。今日も入ってきたのか」
そう言って布団をめくる。
「ッ!?」
姉さんが息を呑む音がする。
布団をめくるとそこには────女がいた。
「う、うう、ううう海……あなた、そこで何してるの?」
「ふわぁ〜〜。おはよう、お兄ちゃん…………と、お姉ちゃん。何してるかって、添い寝だけど?」
「そ、そそそ添い寝って……そういえば綾人、あなたさっき『今日も』って言ったわよね!?もってどういうことよ!もって」
「アチャー」
「ま、まさか海!あなた毎日こういうことしてるんじゃないでしょうね!?」
「?そうだけど」
そうなのだ。海は毎日夜、僕の布団に忍び込むのだ。
この前問いただしたところ妹曰く、トイレに行こうとして寝ぼけた結果、迷って僕の布団の中に来てしまったらしい。
毎日僕は1人で早起きするので、今日初めて姉さんが起こしに来るまで、添い寝のことを姉さんは知らなかったのだろう。
そこで黙る姉さん。黙ったのはいいのだが、なんだろうこのオーラは。姉さんから禍々しいオーラが溢れ出ている。
「綾人、私お腹すいちゃった。早く朝ごはん作ってきてくれるかな?」
「で、でも……」
「いいから、早く。私は海とお話することがあるから」
「は、はい!」
こ、これは逆らったらあかんヤツや。逃げよ。
すまない海よ、生きて帰ってきてくれることを願っている。
※
「やっぱり綾人のご飯は美味しいわね〜」
「ありがと、母さん」
「うんうん、やっぱり綾人のご飯は美味しい!」
「姉さんのご飯だって美味しいよ」
「やっぱりお兄ちゃんは美味しい」
「海!?変に略すのやめなさい!」
一時はどうなることかと思ったが、普段どうりの食卓風景で良かった。
「それよりごめんなさいね、あなた達。ママの仕事が忙しくて入学式行けなくて」
「いいよ、母さん。それより仕事頑張ってね」
母さんがなんの仕事をしているか知らないが、結構儲かっているようで家は割と金持ちだ。
「ってもうこんな時間じゃん。姉さん急いで!」
「あ、ほんとだ!早くしないと!」
と急いで椅子からたった姉さんの体が机にあたり、1枚の皿が落ちる………前に僕が取った。
「綾人ごめん、ナイスキャッチ!それじゃあ用意してくる!」
はぁ。この姉、美人で頭も良くて運動も出来るくせにドジだ。はぁ。本当にもったいない。はぁ。
「それじゃあ母さん、海、僕も用意してくるね」
そう言って自分の部屋に戻り、先日届いていた制服を着てリビングに戻ってくる。
「どうかな、母さん、海」
「あ、綾人めちゃめちゃ似合ってるわよ………だめよ巴、綾人は息子綾人は息子」
「お兄ちゃん結婚して」
そう言って熱い視線を向けてくる母と妹。
「ありがとう」
と、そこでリビングにやってくる制服姿の姉さん。
「どう綾人、私も似合ってる?」
「うん、似合ってるよ姉さん」
そう言って笑顔を向けてやると、姉さんは顔を真っ赤にして俯く。
「綾人、その笑顔禁止……」
「全く、この子ったら」
「お兄ちゃん結婚して」
「海、そんな簡単に結婚してなんて言ったらダメだよ。もう中学生なんだし、そんなこと言われて本気だと勘違いする人もいるかもしれないだから」
と、海に注意しておく。うむ、完璧な兄。
「それじゃあ行ってきます」
「い、行ってきます」
どんな高校なのか、今から楽しみだ。そう思いながら僕達は家を出た。
どうも、皆さん。綾人です。
あの旅立ちの日からなんと、10年が経ちました。今や僕はもう15歳、姉の藍は16歳、妹の海は12歳です。ついでに母の巴は31歳
まあ、母さんの場合、31歳には見えないどころか20歳と言われても余裕で信じるぐらいの若さですが。
それはさておき、あれから10年、僕達家族はいろんな国を転々としました。
そして今、ヤマト国の、それも10年前僕達が住んでいた家に帰ってきました。いや〜懐かしいですね〜。もう移動はしないそうですよ。
そうそう、15歳といえば高校入学の年。僕と姉さんはそれぞれ入学試験と編入試験を受け無事合格した地元の高校に、海は近くの中学校に行くことになるそうです。
この10年間、小学校と中学校で転校を繰り返したおかげで男友達があまり出来ませんでした。(なぜか女性からはよく話しかけられるため、女友達は多い。また、これが男友達が少ないひとつの原因となっていることを、綾人は知るよしもない。)しかし!もう移動はしないそうですから、今度の高校では友達をたくさん作ります!
そして高校入学式の日。
「───と、綾人、起きて。もう朝よ」
う〜ん、まだ眠い。
「………あと5分…」
「あら、早く起きないとお姉さんがイタズラしちゃうかもよ♡」
「よし、今日もいい朝だ!」
ここで起きないと、姉さんならほんとにあんなことやこんなことをしてきそうで怖い。
「綾人、今日は珍しく遅いじゃない。どうしたの?」
「緊張して昨日夜更かししちゃった」
「綾人は可愛いわねぇ〜」
と、そこで腰のあたりが妙に暖かいこと気づく。
「はぁ。今日も入ってきたのか」
そう言って布団をめくる。
「ッ!?」
姉さんが息を呑む音がする。
布団をめくるとそこには────女がいた。
「う、うう、ううう海……あなた、そこで何してるの?」
「ふわぁ〜〜。おはよう、お兄ちゃん…………と、お姉ちゃん。何してるかって、添い寝だけど?」
「そ、そそそ添い寝って……そういえば綾人、あなたさっき『今日も』って言ったわよね!?もってどういうことよ!もって」
「アチャー」
「ま、まさか海!あなた毎日こういうことしてるんじゃないでしょうね!?」
「?そうだけど」
そうなのだ。海は毎日夜、僕の布団に忍び込むのだ。
この前問いただしたところ妹曰く、トイレに行こうとして寝ぼけた結果、迷って僕の布団の中に来てしまったらしい。
毎日僕は1人で早起きするので、今日初めて姉さんが起こしに来るまで、添い寝のことを姉さんは知らなかったのだろう。
そこで黙る姉さん。黙ったのはいいのだが、なんだろうこのオーラは。姉さんから禍々しいオーラが溢れ出ている。
「綾人、私お腹すいちゃった。早く朝ごはん作ってきてくれるかな?」
「で、でも……」
「いいから、早く。私は海とお話することがあるから」
「は、はい!」
こ、これは逆らったらあかんヤツや。逃げよ。
すまない海よ、生きて帰ってきてくれることを願っている。
※
「やっぱり綾人のご飯は美味しいわね〜」
「ありがと、母さん」
「うんうん、やっぱり綾人のご飯は美味しい!」
「姉さんのご飯だって美味しいよ」
「やっぱりお兄ちゃんは美味しい」
「海!?変に略すのやめなさい!」
一時はどうなることかと思ったが、普段どうりの食卓風景で良かった。
「それよりごめんなさいね、あなた達。ママの仕事が忙しくて入学式行けなくて」
「いいよ、母さん。それより仕事頑張ってね」
母さんがなんの仕事をしているか知らないが、結構儲かっているようで家は割と金持ちだ。
「ってもうこんな時間じゃん。姉さん急いで!」
「あ、ほんとだ!早くしないと!」
と急いで椅子からたった姉さんの体が机にあたり、1枚の皿が落ちる………前に僕が取った。
「綾人ごめん、ナイスキャッチ!それじゃあ用意してくる!」
はぁ。この姉、美人で頭も良くて運動も出来るくせにドジだ。はぁ。本当にもったいない。はぁ。
「それじゃあ母さん、海、僕も用意してくるね」
そう言って自分の部屋に戻り、先日届いていた制服を着てリビングに戻ってくる。
「どうかな、母さん、海」
「あ、綾人めちゃめちゃ似合ってるわよ………だめよ巴、綾人は息子綾人は息子」
「お兄ちゃん結婚して」
そう言って熱い視線を向けてくる母と妹。
「ありがとう」
と、そこでリビングにやってくる制服姿の姉さん。
「どう綾人、私も似合ってる?」
「うん、似合ってるよ姉さん」
そう言って笑顔を向けてやると、姉さんは顔を真っ赤にして俯く。
「綾人、その笑顔禁止……」
「全く、この子ったら」
「お兄ちゃん結婚して」
「海、そんな簡単に結婚してなんて言ったらダメだよ。もう中学生なんだし、そんなこと言われて本気だと勘違いする人もいるかもしれないだから」
と、海に注意しておく。うむ、完璧な兄。
「それじゃあ行ってきます」
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どんな高校なのか、今から楽しみだ。そう思いながら僕達は家を出た。
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