安全地帯〜死すべき者と生きるべき者〜

夜月 綺麗

過去


それから数十分経ち男は目を覚ました。

「うっ、、」

「おい、まだ動くな。お前道端で倒れたんだ。」

銀髪の綺麗な髪が公園の電灯の光に照らされてる。緑色の瞳は何処か遠くを見ているようで少し恐怖を感じた。何か物凄く重たい過去を体験したかのような、、あと、この腰にぶら下げててた刀みたいなのも気になる。


「恐らく貧血か何かだと思う。睡眠や食事ちゃんと取ってねーだろ。今応援呼ぶから少し待っててくれ」

「うるせー、、黙れよ、」

男はそう言ってフラフラの状態で立ち上がった。

「、、、。」

「名前はなんて言うんだ?家はこの近くか?」

「うるせーて言ってんだろ」

ち、なんだコイツ。

「お前を家まで送りたいけど俺今日越してきたばかりだからまだ街のこと分からない。だから今家にいる仲間に連絡取って手伝ってもらうから」

俺も俺で俺らしくない。目立ちたくないはずだったのに人を助けるなんて。これもイヴに出会ったせいだ。アイツの性格がうつっちまった。

「いらねーってんだろ、、ここまで運んでくれたことには感謝するが俺に関わるな消えろ、、、」

「、、、。」


『ドサッ』

男はフラフラの状態で少し歩いてまた倒れた。
もう助けない。勝手にしろ。そう思って出口の方へ歩き出すと、頭の中でイヴの姿が横切る。

「〜〜アァァ!!!くそ!!わーた!これも全部イヴのせいだ!」

俺はもう一度戻り倒れてる男をベンチに寝かした。


「て、、め。構うなっ、、て言っただ、、ろ。」

「うるせーんだよボケ!文句あるなら俺をこういう性格にしたアイツに言え!」


「で名前は?」


「、、、、宮本忠継」


「忠継か。俺は天草仇夢。普段アダムって呼ばれてるから忠継もそう呼んでくれ」

「馴れ馴れしくすんな」

「はいはい。それより、気になってたんだけどその刀みたいなのはなんなんだ?」

「お前には関係ない」

「剣道か何かしてんのか?」

「うるせー。」

忠継はベンチから立ち上がった。

「大丈夫なのか?」

「もう大丈夫だ。治った」

「そうか、良かった」

忠継は一瞬横目でアダムの事を見て出口へ行きそのまま帰って行った。

「さて、俺も帰らなきゃカインが怒るな」

俺も忠継の後を追うかのように公園を後にした。

家に着くとカインが玄関先で立っていた。


「アダム君!何してたの!遅いよ!チーかまなくなったよ!」

「わりーわりー、人が倒れて面倒みてたんだ」

「まぁ取り敢えず家に入って!部屋片付いたから!」

「お、そうか」

俺はカインの頭を撫でて家に入る。

「おおおお!」

最初来た時と全然違った。なんということでしょう、初めは汚かった床が今ではピッカピカです。そして、新しい家具の匂い。

「綺麗になったもんだなー!」


「でしょ!家の外壁とかの掃除はまた空いてる日にやろう!」


「そうだな!」

俺がテーブルの椅子に腰をかけるとカインはキッチンに向かった。

「ところでアダム君!どんな子を助けたのさ?」

「ん?あー、、顔立ち整った銀髪の男の子。名前は宮本忠継って子」


『ガシャーン』


何かが割れる音が家中に響いた。


「おい、どうした」

音の鳴ったキッチンの方へ向かうとカインが蒼ざめた顔をして立ちすくんでいた。

「お、、おい。おーい。カインちゃーん?」

俺はカインの身長に合わせしゃがみ顔の前で手を振った。

「あ、、アダム君、、その子は本当に宮本忠継って言ったの、、、?」

「え?そうだけど?」

「あ、、ありえない、、ありえない」

「は?忠継がどうしたんだ」

「まず、本部にれ、、連絡を」

カインの言動が明らかにおかしい。

「おい!カイン!しっかりしろ!忠継がなんなんだ!」

俺はカインの肩を掴み言った。最初は言うか言わないか迷っているように見えたが決心がついたのか、カインは目を閉じ深呼吸をして俺に言った。

「宮本忠継、、魔刀『蘿衷(かげうち)』を愛刀とし『二天一流』を使用する剣豪なんだけど、、」

「?」

「数ヶ月前に思い病にかかって死んだらしいんだ、、、」

一瞬カインが何を言ってるのかが理解出来なかった。

「は、、え、、?どういう、、それはつまり」

「アダム君の言うことが正しければアダム君が助けたのは亡霊だ」




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