安全地帯〜死すべき者と生きるべき者〜

夜月 綺麗

初登校の朝


またあの夢を見た。母さんと女の子と一緒に食事をしている。これは過去の記憶?小さい頃の記憶なのか?小さい頃の俺が2人と食事をしている光景を俺が見ている。

「ねぇねぇ!母さん!今日の夜ご飯はなに?」

母さんはこの時タバコを吸っていなかった。そして、いつもより更に若く見えた。

「アダムったらご飯中なのにもう夜ご飯の話をするのかい?面白い子だねぇ」

「えー!だって気になるんだもん!ハンバーグ!ハンバーグがいい!なぁ?●●?」

小さい頃の俺は隣の女の子に声をかけてるが大事なところが抜けている。もう少し、もう少し前に行ければ顔がみれる。前に進むにつれて体が重たくなり動けなくなる。

「ちくしょ!顔がみえねー!!もっと前に、、前に行ければ!!」

『ハハハハハハ!!』

母さんと小さい頃の俺と女の子は楽しそうに食事をしている。

「おい!天草仇夢!!隣の女の名前を教えろ!!そいつの、、、!名前!!名前は!!」

あまりの体の重さで俺は地面に倒れて這いつくばっていた。すると、そんな俺に気づいたかのように少女は俺の方を見て微笑む。

「くそっ!」

顔にモザイクみたいなのがかかってて誰なのかわからねー!

そして、時間が来たかのように三人は椅子から立ち上がり更に遠くへ遠くへと歩いていった。

「頼む!待ってくれ!」

(アダム君、、、、!)

俺が追いかけようとすると何処からか俺を呼ぶ声が聞こえる。

(あーだーむーくーん!おーきーてー!)

「アダム君てば!学校おくれるよぉ!ほらぁ!」

目を開けると窓から差し込む光と同時にカインの顔があった。

「あ、、あぁ、、おはようカイン」

俺はゆっくり胴体をベッドから起こしカインに挨拶をした。

「もうっ!今日から学校だよ!早く起きて!」

俺が起きたのを確認するとカインはドアの方へ歩いていく。

「わかった、、」

またあの夢か、、その時俺はある事に気付いた

「学校!!?」

確かユダがなんか言ってた気がする、、学校で学べやどうたらと。

「なぁカインちゃん?学校って、、普通の?」

カインはドアを開けて俺が寝室を後にするのを待っていた。そして俺に言う。

「簡単に言うと専門学校みたいなもんだよ!最初は僕も付き添う事になってるんだ!」

「専門学校、、か」

ベッドから立ち上がり部屋にベッドのきしむ音が鳴り響く。

「まぁ行けばわかるよ!リビングに制服とご飯用意してるから行こ!」

カインは嬉しそうに猫耳をピコピコ動かしながら俺に言う。俺はカインの方へ歩き

「だな。行くかっ」

とため息混じりに言って部屋を出た。リビングに行くと真っ黒い服が置いてあった。

「これが制服か?」

俺は制服を手に持ちカインに尋ねた。カインは朝食を食卓に並べながら

「そだよ!」

と言う。

黒のワイシャツに青のネクタイ。そして、腹ぐらいまでの短い紺のブレザー。俺はとりあえず着てみた。

「おおお!かっこいい!アダム君!」

カインは目を輝かせながら俺のところへ来て足にへばりついた。

「なんか、どっかのライトノベルとかに出てくる主人公が来てそうな制服だな、、」

まぁ制服なんぞどうでもいいや、、俺は足にへばりついてる幼女を引っ張り剥がし食卓へ向かった。食卓にはパンが沢山置いてあった。

「ほぉ、、パンね。結構俺好きだよ。カインちゃんは朝パン派なのかな?」

俺がそう言いながら後ろを振り返ると

『カシャ』

そこにはカメラを構えて何処ぞのカメラマンに変装したカインの姿があった。一回のシャッター音の後部屋に沈黙が起きた。

「あっ、、」

最初に口を開いたのはカインだ。明らかに動揺してる。目は泳ぎまくって足は震えてる。

「こ、これは、その、、思い出!そう!思い出の記念の一枚だよ!」

思い出?とりあえず俺はカインが持っているカメラを取り上げデータを確認してみた。俺はその中身を見た瞬間言葉が出なかった。だが、しばらくしてようやく言葉が出た。

「これ、なに?」

俺は写真に目をやりながらカインを威圧的に質問する。カインら俺の態度の異変を察したのか

「ボクニホンゴワカラナイ」

そう。データの中は全て俺の写真だったのだ。しかも、俺の知らないうちに撮られたものばかりだ。寝てる時テレビ見てる時お風呂に浸ってる時。こいつ変態なのか?

「あ!アダム君!早く学校いかなきゃ!遅刻遅刻!」

「おい?目が泳いでるぞ。何か悪いことしたって自覚あるんじゃないのか?」

オドオドするカインの肩を掴み顔を極限まで近づけ威圧した。

「だけど、まぁ本当に遅刻しそうだな。何時から学校始まるんだ?」

俺はすに戻り食卓の上にあるパンを掴み口に入れた。

「あと五分で始まる、、よ」

カインはブルブル震えながら言う。

「くそっ!時間無駄にしたな。行くぞカインちゃん」

パンを一つ食べコーヒーを喉に流し込み玄関の方へ向かった。

「うん!」

カインも元に戻り俺の後をついてきた。




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