安全地帯〜死すべき者と生きるべき者〜

夜月 綺麗

TRランキング


「『TRランキング』それは、マルティエック=イエスが弟子の中でも最も優秀な逸材を12人選びその中でランキング付けされたものである。 ランキングが更新されるのは弟子の中の模擬戦で勝つ事。また、この12人に選ばれた人は隊長格に認定され、精鋭の部隊を任され
る、、、、という感じ!」

「へぇー、、俺もそのランキングに参加とかする事出来るの?」

「今のところは無理だね!まずはTR試験、実技に合格してそれでようやく弟子入りできる!けど、この試験かなりキツくてね、、前回なんて100人受けて4人しか受からなかったからね、、」

「はぁ!!?無理じゃん!」

「大丈夫大丈夫!そのための学校なんだから!学校でそこらへんは教えてくれるし大丈夫!」

本当に大丈夫なのか、、?それより、その試験に落ちた奴はどうなったんだ、、、俺がそんな事を思っているときカインは俺の顔を見て

「ニャヒ」

と声に出して笑った。

「なんだよ」

「今、他のやつらどうなったのか気になったんでしょ!大丈夫だにゃ!この町はそういった組織だけではなく、商人、医療、や他にも様々な機関があるからこの試験に落ちた人は各自のやりたい事をしてるよ!逆にいうならば、去年は少し人数多かったぐらいだよ!普通、死ぬかもしれない闘いとかしたくないじゃない?だからこのTR試験を受けて闘おうとする人は少ないんだよ」

「少ないなら尚更人をとるべきなんじゃ、、」

俺がそらを言った瞬間カインの目つきが一気に変わり、ギロリと俺の方を睨んで言った。

『生死がかかってるんですよ?』

木がざわめき、鳥が飛び立った。俺もその言葉重みとカインの目つきで足が動かなかった。これ以上軽率な言動をしてはいけないと、俺の体の細胞が言っている。

「わ、わかったわかった!俺が悪かった!」

俺が慌ててカインに謝ると少しの間まだ殺気を出したままだったが

「ニャハ」

と笑い、話を続けた

「それで、明日からアダム君には学校に通ってもらうわけですが、、どうですか?今のお気持ちは」

「いや、、まぁ、、どうかな。緊張や不安だらけだよ。今にでも吐きそうだ」

「そうですか、でも他の生徒さんも多分アダム君と同じだと思うよ!」

「どういうことだ?カインちゃん」

「まぁ行ってからのお楽しみ!さ!そんな話してるうちに、着きましたよ!」

カインは駆け足で走り出し、ある一軒の建物の前で止まった。

そこは、他の建物に比べてかなり古いものだった。

「ここがアダム君の家です!前もって薫ちゃんに言われていた予算に合わせての物件なのでこんなのしか、、まぁなんとかなるよ!多分」

カインは俺に目を合わせようとしない。俺がカインと目を合わせようとするとカインの目が横に行く。

「な、なにかご不満でも、、?」

カインの声がどこか震えてる。

「いや、不満だらけだよ!みて!なんか屋根から落ちてきた!」

「すぐ慣れるよ!中は綺麗だから!」

カインは慌てた様子で俺の手の袖を引っ張り俺を家の中へと連れて行った。

案の定俺が想像したとおり部屋の中は荒れ果てていた。俺がその光景を見て呆れた顔をしていると、、

「うう、、」

カインは泣きじゃくっていた。

「おいおい、、何も泣かなくても!」

俺は慌てて丸まって座っているカインの背中をさすった。するとカインは顔を上げ、綺麗な青い瞳を俺に向けた。黄色い猫耳フードをゆっくりぬぎ、その中からはサラサラの金の髪が出てきた。

「だって、だって薫さんがぁ、、綺麗だって、、綺麗だって言ったんだもん!!」

再びカインは泣き出した

「わーた!わーた!母さんが言ったのね!わかった!カインちゃんのせいじゃない!」

俺がまたも慌てて言ったとたん

「あ!よかったぁ!」

カインは、パッと顔を上げ猫耳フードを被り立ち上がった。

「さ!掃除しよ!薫さんからアダム君の荷物は受け取っています!」

カインは空間に魔法陣を発生させ沢山の段ボール箱を床に落とした。

「やるよ『お兄ちゃん』!」

なんだいなんだい、切り替えはえーな、、、ってか

「お兄ちゃん!!?」

俺が驚いてるうちにカインはエプロン、マスク、はたきを装備していた。やる気満々すぎだろ、、


「うん!お兄ちゃん!何故なら、、これ、、」

カインはある一つの段ボール箱から本を取り出した、、俺は気づいてしまった。本の端が段ボール箱から出ただけで。『それ』はいけない。見てはいけない。見してはいけない。ましてや、カインみたいな子供には。俺はカインが『それ』を取り出す前にカインから段ボール箱を奪った。

「あ」

カインは唖然としている。それより、カインはこれを見たんだよな?見たからお兄ちゃんって言い出したんだよな?ならいいのでは、、いや!ダメだ!ましてやまだ子供だ!ここは大人の対応で対処するしか

「こ、これはな、、カインちゃん。君にはまだ早い、、よ!」

俺は『これ』を部屋の片隅に置いてカインに言った。

「えー、、たかが、、、」

カインがその禁句を言う前に俺はカインの口を手で塞いだ。カインは俺の手をどかし

「わかったよお兄ちゃん!」

とニコニコして言う。だが、普通のニコニコではない、どこかしら裏があるようなニコニコだ。それより、母さんめ!!こんなものを!!誰にもバレないとこに隠してたのに!何故!?

「さぁ、片付けるぞカインちゃん」

俺はそういうと山の段ボール箱を片っ端から開けた。後で『あれ』はカインちゃんの届かないところに隠そう。



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