安全地帯〜死すべき者と生きるべき者〜

夜月 綺麗

新しい道


 "カツコツ カツコツ"

扉の中に入ってどのぐらい歩いただろうか。扉の中は薄暗く、一本道だけがずっと続いている。

「なぁ、まだつかねーのかよ」

俺はユダに聞いた。だが、ユダは返事をしない。

「ったく、、」

そして、それからしばらく歩いていると前の方に光がみえた。

「着きましたわ」

ユダの言葉は通常に戻っている。扉を抜けた先には何があるのだろう。どのような光景、どのような空気があるのだろうか。俺はそんな事を思い光の中へと進んで行った。

扉を抜けた瞬間あまりの眩しさに手を目にかざした。そして、10秒ほど経過し手を下ろした。手を下ろし俺の目に写っていたのは大きな奇抜な都市だった。

「え!?ここどこだ!!」

「SAFTYの拠点でもあり、能力者が生活する町『禁断の都市』この都市には貴方のような能力者しかいません。アア"?」

「いやぁ、、すげーーーな!まるで外国の街並みだぁ」

俺はそう言いながら町を見渡した。赤煉瓦造りの建物や市場らしきものもある。そして、人が大勢いる。

「では、まず住まいから見ますか?それともお母様にお会いしますかアア"?」

ユダは俺に聞いてくる。

「住まい?」

「はい。今後こちらの町で住まなきゃならないのでアア"?」

なるほど、もう俺はあの家には帰ることはないんだな。もしあの町に帰ることがあるとすれば世界の危機の時だ。

「あと、私はこれから少し用事があるので失礼するので後のことは、、」

ユダがなにかを言いかけてたその時、ユダの隣の空間が渦を巻きそこから、猫耳のフードを被った少女がでてきた。

「後のことは任せたよカイン。アア"」

ユダが少女の方を向かず目をつぶりながら少女に言う。
少女はフードの猫耳をピクピク動かしながら俺の方を向いた。てか、その耳動くのかよ。

「こんにちわお兄ちゃん!僕の名前はカイン=アルベルト。好きな食べ物はリンゴ!嫌いな食べ物はセロリ、、だぁ!!!!」

カインはそういうと大きく両手を上に上げて俺を威嚇するフリをした。可愛い。おっと、決して俺がロリを好きってことじゃないぞ!これはだな、、、とにかく可愛いいんだ!人間としての本望だ!それより、また変わった子だな、女の子なのに僕なんて、、

「これからカインが全て案内や説明してくれるはずなので何か質問等あればカインに、それでは私はこれで」

ユダはそういうと空間に渦を作りまた闇の中へと消えていった。

俺はこの少女と二人きりで残された。なにを話したら、、と考えてる時

「アダム君!こっちこっち!」

後ろでカインの声がした。振り返るとカインがだいぶ離れたところに手を振って立っていた。

「住居!みるでしょ!」

「おう!見る!」

俺はカインの方へ走り出した。カインのところに着き一緒に歩きながら気になる事を質問した。

「そういえばカイン=アルベルトって名前、外国の名前みたいだけど、カインちゃんって外国からきたのか?」

「うん!そうだよ!イギリスからきたの!」

「何でここに?」

「実はね、、僕達のママやパパはアップルに殺されたんだ、、その時まだ小さかったから僕は何もできなかった。パパとママから妹を守って逃げてくれって言われて、、妹を守る事で精一杯だった、、」

カインの顔から笑顔が消え、声のトーンも下がり、寂しそうな顔をみせた。

「そんな行き場所がない僕らを助けてくれたのが、この     
TRAITORの創設者であり僕らの総司令官マルティエック=イエス隊長だったんだ!」

「そうだったのか、、、」

「うん!それから僕は能力に目覚めて今ではそのおかげでTRランキング5位なんだ!」

「TRランキング?」

「そう!TRランキング!イエス隊長の弟子12人の中のランキング」

「ほお、、」

カインは猫耳をピコピコさせながら楽しげに語り出した。

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