安全地帯〜死すべき者と生きるべき者〜

夜月 綺麗

選択

俺の能力は想像したものが実現する能力なんだ。なら、
どんなに強い奴でも対抗できる!

「ほお、、基本的な能力は使えるのかアァァ"?」

女は剣を片手に俺に言う。

「さぁ、、次はお前の番だ」

この勝負もらった。俺の勝ちだ。俺の能力は最強だ。一発でこいつをノックアウトさせるには、、

「 『金の金槌』」

俺は母さんが使っていた技を思い出し、見よう見まねで母さんと同じ動作をとってみた。しかし、、

「あ、、れ?」

なにも起こらない。

「は?え、、あれ?なんで?」

俺の能力は想像したものが実現する能力なはず、、なら母さんと同じ能力を出すこともできるはず

「薫さんと同じ能力を使おうとしたのですか?哀れですね、、アァァ"?」

女は少し笑いながら俺に言う。そして続けて

「能力にはそれぞれ『呪印』(じゅいん)っていう提唱が必要不可欠なのですよ。大概の人は呪印がバレないように心で唱えるのですが、、薫さんだけは特別です。アァァ"」

母さんだけが特別?確かに母さん能力使う前に何か言ってたな、、だが、それを言えば誰でも使えるんじゃ、、

「薫さんは私達にとってゆういつのFAPですから。FAPはそれぞれ個人のみが使える能力があり、その能力は誰にも使われないのです。だから呪印を唱えても能力を真似られることは無いのです、、アァァ"」

そんなことがあるのか、、ちくしょう、なら、他の攻撃ならどうだ。俺は目を閉じ、漫画で出てきそうな攻撃を想像してみた。

「!!?」

なにも起きない。ありえない。シールドは出来たのに、攻撃が、、実現化できない。そんな驚いている俺を眺めていた女が

「どうやら君は『それ』の使い方がまだ理解出来てないみたいだね、、アァァ"!?」

『それ』ってなんだ?能力のことか?俺の能力は想像したものを実現化する能力のはず、、俺はもう一度目を閉じ想像してみた、だが、何も起こらない。そんな俺に呆れてなのか女が溜息を吐いた。

「君、悲憤慷慨(ひふんこうがい)が足りないんじゃない?まぁ、ように哀しみが足りない。君の事は薫さんに聞いたよ。お友達が死んじゃったんだって?アップルの能力で死ぬて事はそいつ過去にどんだけ過ち犯してきたんだよ!ハハッ面白い。そんな事で基礎能力が芽生えて良かったね!いやぁー君は運がいいなぁ〜アァァ"」

そんなこと、、?一瞬だが、高杉の顔が浮かんだ。

「お前があいつを語んなよ」

この女、高杉の人生をまるで見てきたかのように語るから俺はムカついた。

「あいつは確かに罪を犯したのかもしれない。それは償ってもつぐいきれないぐらい重いものなのかもしれない。だが、あいつはそんな罪の重さや後悔を背負いながら生きてきんだ。お前にあいつの気持ちがわかるか?わからねーだろ。なら、あいつの事笑うんじゃねーよ。」

俺が女を睨みながら強い口調で言うと、女の顔が微笑みから険しい顔に変わった。

「あ?おめえアホか?」

女の口調が変わり、さっきとまるで別人のようになった。

「犯罪者は死ぬべきなんだよ!その事だけ考えるとアップルの能力は最高だよ!高杉とやらは死ぬべき存在なんだ!償う?無理無理。何?己は責任や罪悪感の中生きてきたんだ、、ってか?そんなの自己満足だ。本当に罪を償いたいのであれば、己が死ぬべきだ。それでも、遺族はすくわれないだろうが、、、」

女はそういうと少し何かの思い出に浸るかのように空を眺め、深呼吸をしまた俺の方を見た。

「私の名前は、西園寺湯田(さいおんじゆだ)。まぁ気楽にユダとでも呼んでくれ。今回はお前の母親、薫さんの使いだ。お前をこっち側に取り込む」

女はそう言うと後ろを振り返り、校門の方に歩いていく。

「え、ちょ、、」

何言ってんだこいつ。母さんの使い?なら、コイツもTRAITORの一員か?俺の驚きをみてユダは呆れたかのような顔で俺を見る

「聞いてないのか?、、、薫、、。あいつ、、はぁ、、しょうがねーな」

ユダは後ろ髪を手で振り払い、俺の方へ戻ってきた。

「アップル、、ABUSEがお前を狙ってる。だからお前を保護する」

「いやいや、学校あるし!イヴもいる。それより、保護ってどう言う事だよ!お前俺の敵じゃないのかよ!」

「学校なら問題ない。お前みたいな"本当の能力"が目覚めてないが、目覚める要素がある奴が集まる学校があるから明日からそこに通うことになる。イヴ?あーあいつか。ほっとけ。だから言ってんだろ、私はTRAITORの一員。お前の味方だ」

「だけど、さっき攻撃しただろーが!」

「あー、、お前の力がどのぐらいか試してみたが、話に聞いてたより出来損ない過ぎて少しガッカリ」

ユダは肩を落とすかのように肩をすくめてまた溜息を吐いた。

「それより、イヴを置いていくことなんて出来ない」

それだ。俺は他のどんなことよりもその事が気になった。俺はずっとイヴの隣にいたい。そして、イヴを守るんだ

「それは何故だ?イヴの隣にいたいからか?それともその女を守りたいからか?」

本当コイツといい母さんといい、、勘が鋭い。

「ち、、ちげーよ」

「イヴは私達個人が交代制で保護する。そこのところは問題ない。お前がイヴを守りたいのであれば、こっち側に来る事をオススメしよう」

「俺がそっち行ったからってなにがどう変わるんだよ」

「こっちの学校では、実戦実技、など能力の基礎を学べるし、ここでボーとしてるよりためになるとおもうけど?」

確かに、今後俺が強くなるにはコイツらの力が必要となるな、、イヴを守るため。アップルを倒すため。

「わかった。俺をそこに連れてけ」

俺がそう言うと待ってましたかと言うかのようにユダは微笑んだ

「それじゃあ行きましょうか、、アァァ"?」

ユダの前に魔方陣が出現し、その奥には扉が見える。俺は緊張してるのか、それとも少し怖いのかして額に汗をかいていた。とりあえず深呼吸をして、イヴの事を少し考えた。

「すまねぇなイヴ。マカロンとケーキ、、、少し待っといてくれ」

俺は校舎の方に顔を向けて小声で言った。そして、魔方陣の奥の扉へと入って行った。

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