安全地帯〜死すべき者と生きるべき者〜

夜月 綺麗

芽生え


 その出来事が起きてから1時間イヴは俺と顔を合わせてくれなかった。

「イヴ、、本当にごめんって!許して、、くれないよな、、、」

 ようやく体が動くようになり、体の熱さもひいてきた。

「もう!本当にさいてー!、、、、それより、もう大丈夫なの?」

イヴは恥じらいながらも俺の事を心配してくれた。

「あぁ大丈夫だ。けどなんか体が軽い気がするんだよな。」

体が軽いというよりも、まるで風船みたいに空中に浮くかのように体の重力を感じない。

「でも、まぁ良かった、、」
 
イヴはホッとした顔で言う

「ほら!もう下に降りよ?ご飯出来てるから!」

「あぁ」

イヴの手料理かぁ、、いやぁ、、クラスの奴みたらなんて言うかな〜、、いや、恐らくボコボコにされるだろうな。そんな時母さんみたいに飛んで逃げれたらな、、ハァ

俺はそんな事を思いながらベッドを降りた


「ア、、アダム君?」

??

あれ?

俺いつのまに身長伸びたんだ?イヴがいつもより小さく見える。

「アダム君、、が、、浮いてる!」


「え、、、?」

足が床についていない。


「ええええええ!!!俺!!浮いてんじゃん!!」

小さな部屋の中の空間で俺は浮いていた。

「ちょ、ちょっとアダムの大丈夫!?」

「え!!いや、、どうやって、、これ、、」

俺は少し焦っていた。
その時ふっと母さんの顔を思い出した。

もし、これが母さんのと同じなら、、

俺は母さんが空を飛ぶ前の仕草を見よう見まねでしてみた。

まずは目を閉じ、、、、恐らく母さんは心の中で飛べって念じたのだろう。なら俺も

「降りろ」

俺がそう言った瞬間、足が床についた。


「アダム君、、どうなってるのこれ?」

イヴが俺に聞いてくるが俺もわからない。

「俺にもわからない、、が恐らくこれの使い方は俺の言葉や心に思った事で生じるらしい。」

でもそれならば、、、

「え、じゃあベッドから降りるとき何か思ったの?」

確かにそうだ、、

あっ、まさかベッドから降りるとき  母さんみたいに飛んで逃げれたらって思ったからか!!


「イヴ、とりあえず朝ごはん食べたら話す」

俺はイヴにそういうと、少し不満そうだったが

「わかったわ。あとでキッチリ説明してもらいますからね!」

イヴはそう言うと部屋を出てリビングに向かった。

俺もそのイヴの後ろ姿を追うようにリビングに向かった。



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