全てに飽きた俺は異世界を廻る
5話『隣の凡人は冒険家』
俺が冒険家になることを宣言した後、受付嬢から、幾分かのお金と謎の道具達にその説明書、ガーネットを引き渡された。
記憶喪失とかいう、いかにも怪しい男に女預けますかね、普通
まぁそれは置いといて、近くの宿を紹介されてそこに泊まる事にした。
もちろんガーネットとは別の部屋だ。
泊まる部屋には机と椅子、ベットとラジオらしきものしか置いてなかった。
「今日は疲れたな...もう寝ちまうか...」
ベットに横になろうとした時、ぐぅと腹がなるのが聴こえる。
「そういえばなんだかんだ言ってこの世界に来てからなんも食ってないなぁ...」
狼みたいな魔物に追われたり、美少女にドキドキしてたり、真面目すぎる検問官の相手してたら腹が空いてる事など忘れてしまっていたようだ。
最もこの世界に来たことが1番の理由だが...
「外に行ってみるかな...」
部屋のドアを開け、外に出る
「あれ? イツキ? 」
「これはこれは泥酔さんじゃないですか...」
ちょうど同じタイミングでガーネットが部屋から出てきたらしい。
「変なあだ名つけないでよ!!」
ガーネットは頬を膨らませる。
おそらくだが、ガーネットの酔いは完璧に覚めたわけじゃないらしい。
まだ足元がおぼついていない。
「悪い悪い。もう寝たと思っていたんだが...どうしたんだ?」
「イツキに何のジョブになったか聞こうと思ってね」
「あぁ、そういう事か。悪い。後でで良いか? 今は何か食べたいんだ。」
「そう。じゃあ私も行くわ。お酒は飲んでたけど何かちゃんと食べてたわけじゃないの。」
まぁ良いか。
俺達は宿屋をでて1番近くの酒場に入った。
それぞれが料理を頼む。俺はステーキを頼んだ。何の肉で出来てるかもわからないが安全そうなのを選んだ。それ以外は俺には挑戦的過ぎた。
ちなみに価格も安全目だ。なぜならガーネットが奢ってくれるからだ。
記憶喪失君はお金を大事にしときなさい、だそうだ。まだ泥酔さんと呼んだのを根に持っているのだろうか。
「で、イツキは何のジョブについたの?」
不思議な野菜を頬張りながらガーネットは俺に尋ねる。
「『冒険家』...だけど」
「冒険家!? あの冒険家!?」
なんだ急に。珍しいのか?
「どうしたんだ?」
「ちょうど良いわ!! チームを組みましょう。」
「えぇっと...チームってのは?」
まーた新しい言葉が出てきやがってくれた。
「チームっていうのは、戦闘職や一部の特別職の人達で一緒にクエストに行けるようになったり...まぁ色々あるのよ!!」
興奮からか適当な説明になってる。しかも超早口で少し怖いんだが...
「で、なんで俺と?」
戦闘とかならどう考えても他の職の人達にするはずだ。何か特別な理由でもあるのだろうか。
「冒険家とチームを組むとね、冒険家の対象の責務に協力するだけで自分の責務も無くなるの!! 」
...?  サボりたいだけか...?
「今サボりたいだけ、とか失礼な事考えたでしょ。でもそうじゃないのよ。」
読まれてる。
ガーネットのドヤ顔を見ながら質問する。
 
注文していたステーキが届き、一口目をいただく。
「他に何かあるとか?」
ステーキが美味いなぁ...
何の肉かわからないけど。
「冒険家の責務って未開拓の地とかの探索でしょ? 私色々な所へ行く旅がしたいのよ。」
「そうか、でも別に俺じゃなくて良くないか?」
「何言ってるのよ!! 冒険家なんて珍しい職業そうそういないのよ。居たとしても、みんな冒険家とチームを組みたいから私なんて組める訳ないし。」
そういうものなのか..?
「へぇー。じゃあお前はなんで冒険家と組みたいんだ?」
ん?
ガーネットの目から一瞬光が消えた気がした。
「私はね、今のジョブ、なりたくてなった訳じゃないのよ。」
なるほど...?
おそらくだが、何らかの事情があるのだろう。ガーネットはそれ以上聞かれたくなさそうなので黙って話を聞いておく。
「戦うのも、命をかけているとはいえ、魔法を使うだけ、責務だって適当にこなせばいいもの。」
「んー...そうか...」
別にガーネットがパーティに加わるのが嫌なわけじゃない。
記憶喪失というのがギルド通っている以上、ガーネットはパーティに入れると助かる。魔法も使えるみたいだし。
しかし面倒事に巻き込まれる気がするんだよなぁ。
渋っている俺を見かねたのか、
「私、『飽きた』のよ。名誉だとか面倒臭い事を背負って生きていくのは。だからパーティに入れて。お願い。」
ガーネットの姿は何故だかあっちの世界で過ごしていた俺の姿に重なる。
名誉とかそんな事なんて気にしたことがなかったが。
「名誉もあだ名もそんな変わんないんだな」
笑ってみせる。
「え...? 急にどうしたのよ。」
「思い出したんだよ。俺の昔のあだ名。」
「あだ名? 思い出したの?」
「万能凡人」
ぷぷっと、ガーネットが吹き出す。
「何よそれ、なんでそんなあだ名になったの?」
どうやら万能凡人はガーネットのツボに入ったらしく、ずっと笑っている。
「さぁ? なんでだっけかな。」
ハッキリと覚えている。
何をやっても基本出来るから。
でも、何をやっても凡人レベルだから。
万能な凡人じゃない。
万能にしかなれなかった凡人。
「でさ、私をパーティに入れてくれるの?」
「あぁ。よろしくな。」
ガーネットが嬉しそうにしている。
「じゃあ明日はギルドに言って、パーティ申請しましょう。」
申請とか必要なのか。
そりゃそうか、責務がどうたらこうたら言ってたしな。
「わかった。じゃあそろそろ宿に戻ろう。」
会計をガーネットに任せて外に出る。
1人目の仲間...かな...?
「じゃあまた明日」
「うん。私が起きても、イツキが起きて無かったら起こしに行くからね。早く寝なさいよ?」
「はいはい」
ガーネットのお母さんみたいな発言を適当に流し部屋に入る。
部屋に戻ったら速攻で寝よう。と思っていたが、ギルドから渡された謎の道具達とその説明書を確認しとこう。
「なになに...こっちは簡易式連絡灯。そんでこっちが探索特殊道具セット。」
簡易式連絡灯は通称、パックと呼ばれるらしい。
どちらも中々コンパクトでかさばることは無いだろう。
「まずはこっちか」
簡易式連絡灯の説明書を手に取る。
簡易式連絡灯は、中が様々な色で光るようになっており、ギルドからの連絡で使用するようだ。何もない時は光らない。青が呼び出し。緑が安全確認。こちらは返せるようになっている。最後が赤で、緊急招集。どんなに離れてても本体が無事な限り大丈夫。
説明書の要約はこんな感じだ。
続いて探索特殊セットの説明書をとるが、
耐熱防具、耐寒防具、強化ロープ、特殊採集キット、とか色々あります。
受け取った時は気づかなかったが、これ、手書きだ。
ざっくりした説明だったが、便利な事はわかった。
使わない時以外はとても小さくなる。書いてる絵とセットへの収まり具合で質量的に疑いたくなるが多分大丈夫だろう。
「んーもう寝るか。」
意外と時間が経っていたようなのでベットへ横になる。
この世界に来てやっとちゃんとした休息を取れる。
「まったくなんでこんな忙しいんだよ。」
何も考えなくなってから眠りに落ちるまでは一瞬も存在し無かった。
ガーネットはもうすでに寝ていた、
涙を流しながら、
幸せそうに。
記憶喪失とかいう、いかにも怪しい男に女預けますかね、普通
まぁそれは置いといて、近くの宿を紹介されてそこに泊まる事にした。
もちろんガーネットとは別の部屋だ。
泊まる部屋には机と椅子、ベットとラジオらしきものしか置いてなかった。
「今日は疲れたな...もう寝ちまうか...」
ベットに横になろうとした時、ぐぅと腹がなるのが聴こえる。
「そういえばなんだかんだ言ってこの世界に来てからなんも食ってないなぁ...」
狼みたいな魔物に追われたり、美少女にドキドキしてたり、真面目すぎる検問官の相手してたら腹が空いてる事など忘れてしまっていたようだ。
最もこの世界に来たことが1番の理由だが...
「外に行ってみるかな...」
部屋のドアを開け、外に出る
「あれ? イツキ? 」
「これはこれは泥酔さんじゃないですか...」
ちょうど同じタイミングでガーネットが部屋から出てきたらしい。
「変なあだ名つけないでよ!!」
ガーネットは頬を膨らませる。
おそらくだが、ガーネットの酔いは完璧に覚めたわけじゃないらしい。
まだ足元がおぼついていない。
「悪い悪い。もう寝たと思っていたんだが...どうしたんだ?」
「イツキに何のジョブになったか聞こうと思ってね」
「あぁ、そういう事か。悪い。後でで良いか? 今は何か食べたいんだ。」
「そう。じゃあ私も行くわ。お酒は飲んでたけど何かちゃんと食べてたわけじゃないの。」
まぁ良いか。
俺達は宿屋をでて1番近くの酒場に入った。
それぞれが料理を頼む。俺はステーキを頼んだ。何の肉で出来てるかもわからないが安全そうなのを選んだ。それ以外は俺には挑戦的過ぎた。
ちなみに価格も安全目だ。なぜならガーネットが奢ってくれるからだ。
記憶喪失君はお金を大事にしときなさい、だそうだ。まだ泥酔さんと呼んだのを根に持っているのだろうか。
「で、イツキは何のジョブについたの?」
不思議な野菜を頬張りながらガーネットは俺に尋ねる。
「『冒険家』...だけど」
「冒険家!? あの冒険家!?」
なんだ急に。珍しいのか?
「どうしたんだ?」
「ちょうど良いわ!! チームを組みましょう。」
「えぇっと...チームってのは?」
まーた新しい言葉が出てきやがってくれた。
「チームっていうのは、戦闘職や一部の特別職の人達で一緒にクエストに行けるようになったり...まぁ色々あるのよ!!」
興奮からか適当な説明になってる。しかも超早口で少し怖いんだが...
「で、なんで俺と?」
戦闘とかならどう考えても他の職の人達にするはずだ。何か特別な理由でもあるのだろうか。
「冒険家とチームを組むとね、冒険家の対象の責務に協力するだけで自分の責務も無くなるの!! 」
...?  サボりたいだけか...?
「今サボりたいだけ、とか失礼な事考えたでしょ。でもそうじゃないのよ。」
読まれてる。
ガーネットのドヤ顔を見ながら質問する。
 
注文していたステーキが届き、一口目をいただく。
「他に何かあるとか?」
ステーキが美味いなぁ...
何の肉かわからないけど。
「冒険家の責務って未開拓の地とかの探索でしょ? 私色々な所へ行く旅がしたいのよ。」
「そうか、でも別に俺じゃなくて良くないか?」
「何言ってるのよ!! 冒険家なんて珍しい職業そうそういないのよ。居たとしても、みんな冒険家とチームを組みたいから私なんて組める訳ないし。」
そういうものなのか..?
「へぇー。じゃあお前はなんで冒険家と組みたいんだ?」
ん?
ガーネットの目から一瞬光が消えた気がした。
「私はね、今のジョブ、なりたくてなった訳じゃないのよ。」
なるほど...?
おそらくだが、何らかの事情があるのだろう。ガーネットはそれ以上聞かれたくなさそうなので黙って話を聞いておく。
「戦うのも、命をかけているとはいえ、魔法を使うだけ、責務だって適当にこなせばいいもの。」
「んー...そうか...」
別にガーネットがパーティに加わるのが嫌なわけじゃない。
記憶喪失というのがギルド通っている以上、ガーネットはパーティに入れると助かる。魔法も使えるみたいだし。
しかし面倒事に巻き込まれる気がするんだよなぁ。
渋っている俺を見かねたのか、
「私、『飽きた』のよ。名誉だとか面倒臭い事を背負って生きていくのは。だからパーティに入れて。お願い。」
ガーネットの姿は何故だかあっちの世界で過ごしていた俺の姿に重なる。
名誉とかそんな事なんて気にしたことがなかったが。
「名誉もあだ名もそんな変わんないんだな」
笑ってみせる。
「え...? 急にどうしたのよ。」
「思い出したんだよ。俺の昔のあだ名。」
「あだ名? 思い出したの?」
「万能凡人」
ぷぷっと、ガーネットが吹き出す。
「何よそれ、なんでそんなあだ名になったの?」
どうやら万能凡人はガーネットのツボに入ったらしく、ずっと笑っている。
「さぁ? なんでだっけかな。」
ハッキリと覚えている。
何をやっても基本出来るから。
でも、何をやっても凡人レベルだから。
万能な凡人じゃない。
万能にしかなれなかった凡人。
「でさ、私をパーティに入れてくれるの?」
「あぁ。よろしくな。」
ガーネットが嬉しそうにしている。
「じゃあ明日はギルドに言って、パーティ申請しましょう。」
申請とか必要なのか。
そりゃそうか、責務がどうたらこうたら言ってたしな。
「わかった。じゃあそろそろ宿に戻ろう。」
会計をガーネットに任せて外に出る。
1人目の仲間...かな...?
「じゃあまた明日」
「うん。私が起きても、イツキが起きて無かったら起こしに行くからね。早く寝なさいよ?」
「はいはい」
ガーネットのお母さんみたいな発言を適当に流し部屋に入る。
部屋に戻ったら速攻で寝よう。と思っていたが、ギルドから渡された謎の道具達とその説明書を確認しとこう。
「なになに...こっちは簡易式連絡灯。そんでこっちが探索特殊道具セット。」
簡易式連絡灯は通称、パックと呼ばれるらしい。
どちらも中々コンパクトでかさばることは無いだろう。
「まずはこっちか」
簡易式連絡灯の説明書を手に取る。
簡易式連絡灯は、中が様々な色で光るようになっており、ギルドからの連絡で使用するようだ。何もない時は光らない。青が呼び出し。緑が安全確認。こちらは返せるようになっている。最後が赤で、緊急招集。どんなに離れてても本体が無事な限り大丈夫。
説明書の要約はこんな感じだ。
続いて探索特殊セットの説明書をとるが、
耐熱防具、耐寒防具、強化ロープ、特殊採集キット、とか色々あります。
受け取った時は気づかなかったが、これ、手書きだ。
ざっくりした説明だったが、便利な事はわかった。
使わない時以外はとても小さくなる。書いてる絵とセットへの収まり具合で質量的に疑いたくなるが多分大丈夫だろう。
「んーもう寝るか。」
意外と時間が経っていたようなのでベットへ横になる。
この世界に来てやっとちゃんとした休息を取れる。
「まったくなんでこんな忙しいんだよ。」
何も考えなくなってから眠りに落ちるまでは一瞬も存在し無かった。
ガーネットはもうすでに寝ていた、
涙を流しながら、
幸せそうに。
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