Little Red Riding Hood
二章「林檎畑にて(1)」
吹雪が弱まった昼過ぎ。
赤ずきんの頭上に厚い雲で隠れていた太陽が顔を出した。
鬱蒼と草木が生い茂る林の中、赤ずきんは獣道らしき細い道を見付けた。
「こんな草ぼうぼうの道を歩いてたら、折角お婆さんから頂いたフードがボロボロになってしまうわ。それに、あちらこちらで虫がうじゃうじゃ湧いていて気持ち悪いし」
獣道を歩き続けると赤ずきんは不意に地べたに転がっている林檎を見付けた。
「これは‥‥まだ腐ってない。」
前かがみになりながら赤ずきんはその林檎を手に取ると、ふと、頭上を見上げた。
「林檎の樹‥‥」
数多もの草木に囲まれながらその異様な存在を放つただ一本の林檎の樹。
長期に渡り手入れをされてないせいか、心做しか枝という枝が伸びてしまっている印象を受ける。
「此処‥‥ほんとに誰もいないのかしら‥‥  フフッ」
悪知恵が働いたのか、赤ずきんは自分の身辺にある林檎の実を一つ毟り、果実を右手で擦りながら少しの間眺めていた。
「一つ位‥‥別に良いわよね‥‥。バレなきゃ犯罪じゃない♪」
赤ずきんは一口、毟った林檎の実を齧った。
「‥‥何これマズっ!?  ペッ!」
赤ずきんはあまりものその林檎の不味さに悶絶した。
「口の中がパサパサになった上にお負けに渋い!  こんなもの、食べられたもんじゃないわ!」
赤ずきんが一人で立腹している中、その背後には‥‥
??「お嬢ちゃん、そいつはいけねぇ」
【続】
赤ずきんの頭上に厚い雲で隠れていた太陽が顔を出した。
鬱蒼と草木が生い茂る林の中、赤ずきんは獣道らしき細い道を見付けた。
「こんな草ぼうぼうの道を歩いてたら、折角お婆さんから頂いたフードがボロボロになってしまうわ。それに、あちらこちらで虫がうじゃうじゃ湧いていて気持ち悪いし」
獣道を歩き続けると赤ずきんは不意に地べたに転がっている林檎を見付けた。
「これは‥‥まだ腐ってない。」
前かがみになりながら赤ずきんはその林檎を手に取ると、ふと、頭上を見上げた。
「林檎の樹‥‥」
数多もの草木に囲まれながらその異様な存在を放つただ一本の林檎の樹。
長期に渡り手入れをされてないせいか、心做しか枝という枝が伸びてしまっている印象を受ける。
「此処‥‥ほんとに誰もいないのかしら‥‥  フフッ」
悪知恵が働いたのか、赤ずきんは自分の身辺にある林檎の実を一つ毟り、果実を右手で擦りながら少しの間眺めていた。
「一つ位‥‥別に良いわよね‥‥。バレなきゃ犯罪じゃない♪」
赤ずきんは一口、毟った林檎の実を齧った。
「‥‥何これマズっ!?  ペッ!」
赤ずきんはあまりものその林檎の不味さに悶絶した。
「口の中がパサパサになった上にお負けに渋い!  こんなもの、食べられたもんじゃないわ!」
赤ずきんが一人で立腹している中、その背後には‥‥
??「お嬢ちゃん、そいつはいけねぇ」
【続】
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