Little Red Riding Hood

闇狐

一章「岬にて(1)」

あれから赤ずきんは三日三晩狼の群れを探し続けた。
しかし、皮肉な事にそこに狼の群れはおろか、長期に渡る猛吹雪のせいで視界は完全に遮られていた。

「‥‥もう、何よ!  これじゃ狩りもまともに出来ないじゃない!」

赤ずきんは呆れ返り、ふと、湖の岬に目をやった。

「‥‥彼処なら‥‥狼の肉は手に入らなくても‥‥魚釣り程度なら出来るかもしれないわね」

無意識に、一歩、また一歩と、赤ずきんの足は岬の方に向かって行った。

覚束ない足取り。しんしんと降り積もった白銀の雪に時より足を取られながらも、彼女はその歩みを確かなものとしていった。

【続】

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