女であり男でもある私は復讐をしていきます

わたぱち

24話 学園祭までに友達が欲しい


「学園祭…ですか?」

「ええ、そうですよ。盛り上がりますが生徒会主催なので大変ですがね」

誰もが好感を持てるような爽やかな笑顔でエッテリオさんは言う。
学園祭。それは二日間にかけて行われる学園の一大イベントのことだ。
各クラスの出し物も見どころの1つだが最も注目を集めるのは「トーナメト式剣闘大会」。
有志で参加者を集め、魔法や剣などで学園最強を決めるイベントである。
主に男子生徒、それも体育会系の2、3年生によって繰り広げられる戦いの盛り上がりは口では言えないほど凄まじい。

「エッテリオさんは出られます?剣闘大会」

その問いにエッテリオさんは少し恥ずかしそうな笑みを浮かべながら答える。

「優勝はできないでしょうがね、参加はしますよ」

謙虚に話しているが、私は知っている。
彼は去年、準決勝まで進んでいるのだ。
まあ対戦する相手が相手であったため手加減をして負けていのだが。

「応援してます、頑張ってくださいね」

「それはディルクに言ってあげてください。では」

次こそは全力を出し切ってほしいという思いで口にした言葉は、変わらない綺麗な笑顔でかわされる。
私とディルク。
そのペアは先週の買い物の件もあり、主にノアルによって瞬く間に広がった。
たださえ女子の友達がいない私が女生徒から遠巻きにされさらに孤立してきている。

問題はそこにある。
悲しいし、非常に緊急事態だ。

私はシトラルの頃味わえていない友情などの青春を思う存分に楽しみたいというのが切な願いだ。
王太妃教育なんてものをしなくてもいいのだからずっと我慢していたことをやってみたいというのは誰だって思うものだろう。
つまり、学園祭も剣闘大会だって女子の友達と回りたいのだ。

女子の。

なのに1人も本当の意味での友人ができていないという事実。
ガルデにもテトラにも言われているが、それには心にぐさりとくるものがあった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー


「出場者の関係から司会進行はガルデとリリアにやってもらう。平気か?」

「大丈夫ですわ」

「平気です」

揃って返事をした私達を見てディルクは満足そうに頷いた。
剣闘大会を友人(女子)と見るという夢は壊れたが司会なら仕方がない。
特等席でガルデと見させてもらうとしよう。

「じゃあ、これが原稿だ。目を通しといてくれ」

そう言って渡された少し厚い原稿。
それをパラパラ軽く目を通していたが、とあるページを見て手が止まった。

「2人ペア…?」

トーナメント表で書かれているのは一人一人の名前ではなく2づつの名前。
去年までは単独だったのに、と思いながら順番を確認していたら肩に影がかかった。

「私情も挟んであるが参加者が増えたのが主な理由だな。楽しみにしといてくれ」

どこか裏がありそうな笑みを浮かべたディルクに耳元で囁かれる。その生暖かい吐息がかかり肩を揺らした。
口に出ていた自覚がなく、固まっているとその様子に何を思ったのか彼は珍しく笑みを浮かべながら目を細めていた。

「楽しみに…しときますわ」

「ああ、更に力が入るな…」

穏やかにそう呟きながら私の髪を一房優しく掴みリップ音をたてながら口付けをしてくる。

「えっ、ちょ、ディルク様…!」

音と目の前で広がるその光景に耐え切れなくなり彼の肩を軽めに押し、離れようとした。
すると逆にその手を取られ、俗にいう恋人繋ぎ、という状態になってしまった。向かい合った状態で先ほど更に顔が近くなっている。
自身の顔が赤くなるのが分かるくらい熱い。

「リリア、こっち向いてくれ」

無意識のうちに顔を背けていたのか、ディルクは額辺りを私の首元に埋めていた。

「ちょ…ディルク様…っ」

近づいてくる顔に目を瞑る。
その時だ。


「甘い雰囲気の中、水を差し大変申し訳ないのですか生徒会室なのでお控えください」


その、まさに水を差すセリフに内心良くやったと思いながら目を開た。
すると咳払いをしながら顔の赤いエッテリオさんがディルクを止めいる光景が広がっている。

冷静になって周りを見渡すと、ガルデはすぐ隣で顔を赤くしながら目をそらしているし、他の生徒会メンバーはそそくさと他の部屋に移動している。
そして新入生メンバーは赤い顔でチラチラこちらを見ていたが目が合った瞬間顔を逸らす始末。
今していたことの恥ずかしさが身にしみてわかった。

「ーーーーーーっ!」


恥ずかしさのあまり両手で顔を覆っていると、ガルデが肩を軽く叩きながら言ってくる。

「いや…仲が良さそうで安心したよ…なんかね…」

その声色から見ていなくても顔が想像できて腹が立ってくるが今はそれどころではない。
自分は何をやって…という後悔が押し寄せてくるばかりだ。
これでは、友達を作るどころか逆に引かれるではないか。

「穴があったら入りたい…」

「リリア!魅了!!漏れてる!」

その日は急な目眩や動悸などで不調を訴える生徒が続出したそうだ。
男女問わずに。

コメント

  • 虹ウサギ

    こんなに面白いのに何で更新ないの!?
    めっちゃ続き読みたい!ゆっくりでいいので更新まってます!

    0
  • ノベルバユーザー223483

    面白くて1日で全部読んでしまいました!
    更新待ってます

    2
  • 花波真珠

    とても面白いですね!!
    続き待ってます!
    よかったら私の小説もみてください!

    3
  • 青凛ご

    ずっと更新待ってます…!
    続きを投稿してください......!!

    4
  • わたぱち

    リリアーナが信頼できると思っている人に対して気を抜いていて分かりやすいから…ですかね。
    ガルデには自分から告白していましたが。

    4
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