女であり男でもある私は復讐をしていきます

わたぱち

14話 また絡まれました


さてさて、この前の学力テストではガルデに勝てた私は魔力テストを受けた。
結果は想像の通り他を圧倒して主席。
まあ、神の加護があって普通なのがおかしいのだけれど。

そのせいで、私は今日も学園に着くなり絡まれていた。

しかも相手が最悪なのだ。

エルデ王国王太子のアルザック・ジオルド・エルデ。
アルラート教最高神官子息のヴァイル・エルドレット。


最悪なメンバーが揃った。

「何かございまして?」

心当たりはないことは無い。
これは3日前の出来事だ。


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総合テスト最終順位が張り出されたその放課後。
生徒会室に新生徒会メンバーが呼び出されたのでガルデとともに向かっているときだった。

「副会長おめでとうリリア、流石だね」

「ふふ、ありがとうございます」

意外なことにかなり仲が良くなり、皆から距離を置かれている私からしたら最も親しい存在といっても過言ではない。
本当にありがたい。
異性でありながら一緒にいてくれていることに感謝しているとすれ違った何かに肩がぶつかった。
ジーンとした静かな痛みが肩に走る。

そう、ノアルだ。

彼女はわざとらしく尻餅をつき、涙目で周りに聞こえるように痛いと叫ぶ。

「ひどいっ…わざと転ばさせるなんて…!」

ノアルと共にいたシャルルがまた、わざとらしく周りに聞こえるように叫んだ。
そのせいで周りの生徒の視線がここに集まる。

なんの茶番だ。
こっちが叫びたい。
ガルデだって目がとにかく怖くなっている。
前まではあっち側だったのに、としみじみ思う。

「申し訳ありません、不注意でしたわ。こちらをお使いになって」

まあ、目の前で人が転んだらハンカチを差し出したほうがいいだろうと思いノアルにハンカチを手渡す。

すると想像していた反応と違っていたのか一瞬間抜けな顔をした後、ノアルはきっとこちらを睨みガルデに近づきながら高い声で甘え始めた。

「ガルデさまぁっ、リリアーナさんがわざとぶつかってきたんですぅ!魔力テストが実力じゃ私に敵わないから嫉妬してぇ…」

笑顔を保った顔が引きつりそうになる程気持ち悪い。
ガルデもいつものポーカーフェイスが完璧に崩れている。
そりゃそうだ、気持ち悪いのだから。
周りも冷めた目でシャルルとノアルを見ている。
元々2人は貴族社会では人気がないのだ。
なんせ、容姿端麗文武両道のシトラルを殺したのだから。
まあ、そのことに気がついていないのは本人だけだが。

「…リリア、怪我はない?かなり痛そうな音がしたから念のために医務室に行っておく?」

「大丈夫ですわ、生徒会室に向かいましょう」

抱きつこうとするノアルからある程度の距離を取り私に笑顔でそう言ってくる。
その態度にまた2人は間抜けな顔をしてからこちらを睨んでくる。

「リリアーナさんはわざと私にぶつかってきたんですよ!」

ガルデに訴えるようにシャルルがまた叫ぶが、それを完璧に無視し私たちは生徒会室に向かった。


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これが3日前の出来事だが完璧にこれだ。
どうせあの2人がこいつらに何か言ったのだろう。
アルザックはシャルルの婚約者だしデュークスはノアルとも親密な関係だから。

「私の婚約者に危害を加えたと聞いたが、それなりの覚悟はあるのだろうな」

貫禄をある風に装っているがお前の素性なんて知ってるんだよと魔法で半殺し程度にしてやりたかったが思っていることとは正反対に目を潤ませた。

「申し訳ありません…、生徒会メンバーの顔合わせがあったので急いでいましたの。怪我でもなさられました…?」

こんな美少女に涙目で上目遣いをされたら私でも許してしまう。それに魅了魔法が付いているのだ。
案の定2人は顔を赤くして固まっている。

「いや…その、分かってもらえればいいんだ。あと、話は変わるのだが来週私の家で夜会を行うのだが、よければ来てくれ」

態度が先ほどと打って変わり何故か夜会に誘われた。

「え…、…行かせていただきますわ、お誘いありがとうございます」

「エスコートは任せてくれ」

先ほどから一言も話していなかったデュークスが口を開いたかと思えば急にエスコートに誘われる。
エスコートなんて恋人か夫婦か婚約者同士がするものだ。
何故あって数分で誘うんだ。

「…考えておきます。では、失礼いたしますわ」

ニッコリと笑い颯爽とその場を後にした。

淑女らしく優雅に歩いているが、内心走りたい。
あまり気にならなくなったが周りから視線をつねにかんじるのでそんなことはできないが、そう思いながら教室へと向かった。

ドアを開けると本を読んでいたガルデが私に気がつき読むのを中断して寄ってきた。

「おはよう、顔色がひどいね。…デュークスにでも会った!?」

私の顔をまじまじと見ると心配そうに聞いてくる。

「おはようございます、ご想像通り2人に引き止められましたわ」

その迫力に若干戸惑いながらもそう言うと、顔を青くしながら「何もされなかった?!」と問い詰められた。

「特には、でも来週の夜会に誘われました」

それを聞いてガルデは大きくため息を吐いた。

「僕もそれには行くけど…気をつけて」

「勿論ですわ」

その夜会はシトラルが死んでから6人とその他の気に入っている人間で行われているものらしい。

楽しみなものだ。

内心そう笑った。



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