女であり男でもある私は復讐をしていきます

わたぱち

1話 無実の罪


初投稿なので読みにくいかもしれません…
優しい目で読んでいただけるとありがたいです!





「シトラル・サランバール!!お前には本当に失望した!!!ここで婚約を破棄してもらう!」


全員が華やかな衣装に身を包み、社交界デビューと言える学園祭でその場に相応しくない声。
それが会場に凛と響いた。




私、シトラル・サランバールはここエルデ王国の伯爵令嬢。
幼い頃から王太子の婚約者として恥ずかしくないようにマナーや勉学、魔術、帝王学など様々なものを励んできた。
14歳で入学した国立魔術学園では常に首位をキープ。
次期王妃に相応しくなれるように努力は怠らなかった。
完璧なはずだった。
これからの人生は。


今は学園祭と言う王城で行われているパーティーの真っ最中。

「お前の悪事は目も当てられん。証拠はすでに揃っている」

そう冷たく言い放つのはこの国の王太子であり私の婚約者のアルザック・ジオルド・エルデ。

その周りにいるのは次期宰相のガルデ・ジークラルトや騎士団長子息のデュークス・ウルヴァリー。その他この国の重要機関の子息やら令嬢やらが揃っていた。

正直に言うと、残念な頭の人達。

それも何故親はあのように優秀なのに子供がこうなってしまったのか、と問いたいくらいの。

「何のことでしょう?」

「しらばっくれるつもりか?お前は俺と仲のいいシャルルやノア達に嫉妬し犯罪紛いな嫌がらせをしていると聞いた。騎兵、この女をとりおさえろ!」

何を言っているんだと思った。
そもそも私はバカ王子。アルザックに好意など微塵も感じたことがないのになぜ嫉妬しなければいけないのだ。

そう考えていると騎兵がこちらを取り押さえて来た。
取り押さえると言っても軽くてを肩においているくらいで、嫌々やらされているのが見て取れる。

「私はそのようなこと、全く記憶にないのですが」

「お前の言い分など聞くに耐えん、怖かっただろう?シャルル、ノア」

「はい…でも、殿下や皆様がいてくださったので…」 

しおらしくそう言う2人はこちらをあざ笑うかのように見ている。

笑えない茶番だ。
もともとこいつらが夜会などを開いていることも知っていたがここまで来るとは。
しかも、今この国に滞在している国王や王女などのまともな権力者はいない。
体に沁みるような緊張が襲った。


「よってお前は死の森に追放とする!連れて行け!」


私が何かいう前に連れて行きたかったのだろう。
計5人のバカどもは勝ち誇ったかのような顔でこちらを見ていた。

ーーーーーーーーーー

婚約破棄宣言に死の森に追放。
エルデ王国では貴族を処刑することができない。そのため、「死の森」魔物の溢れかえっている森に手に魔法抑制機をつけられ1人で送り込まれる。
それが死の森追放という罰。

丁寧に王立の地下牢に連れて行かれている。
今から行く場所が牢とは思えないほど、それは丁寧に。
地下牢に着くと、かなり広めの牢に入れられる。
牢というよりかは小さな個室のような場所だった。
凛とした顔で近くにある質素な椅子に座ると騎兵は「申し訳ありません」と言ってから扉を閉める。
足跡が離れて行くのを確認すると、大きくため息を吐いた。

不安しかない。

実際私は何もしていないし、罰される理由がない。
しかし、親に甘やかされて育った彼奴らは追放しかねない。

死にたくない。そう願う。
どんなに強がっても怖いものは怖いのだ。

「ディルク…」

呟いた彼の名前は、響くこともなくすぐに消えた。



ーーーーーーーーーー


「はぁ…」


今出てくる言葉といえば「絶望」だろうか。

貴族社会でもバカなことが有名な彼奴らの起こした学園祭でのことはすぐに広まった。
私を哀れむ人はいるが、このことを止めようとする人は1人としていない。
有力な親の後ろ盾もあり私の刑は学園祭の翌日に行われることになった。

そしてその翌日、私は馬車に乗せられ死の森へと向かっている。
手には魔法が使えなくなる手枷をつけられていた。

普通は無人馬車で連れていかれるが、なぜか今回は後ろから光の聖女と崇められているノアルとエルデ騎士団団長の子息のデュークスが付いて来ていた。

正直、嫌な予感しかしない。

馬車にそのままゆられ続けていると、目的地に着いたのか止まった。
ただ、鉄でできている馬車から出れるわけがなくぼーっとしていると扉が勢いよく開いく。


「よお、シトラル。お前にふさわしい様だな」


そう言ってくるのはデュークス。
後ろにはあざ笑うかのような笑みを浮かべたノアルがいた。

手首を強く掴まれ、馬車から引き摺り下ろされる。
そして地面に投げられたあと、腹部にひどい衝撃が走った。

「っ……!」

デュークスが私を蹴っていた。
手、足、顔と次々に痛みが襲ってくる。
手が拘束されているので、抵抗があまりできないのが悔しかった。
朦朧とした意識の中立ち上がろうとすると、がくんと体が落ち、今までに感じたことのない痛みが足首走る。

「ーーーっ!?」

「逃げんじゃねーよ」

顔を上げると楽しそうに笑うデュークスと目が合う。
手に持つ剣は血で濡れていて、私の足首を切った時の血なのだということはすぐにわかった。
あちこちにくる蹴りに必死に耐える。
「アルザックも言ってたぜ?お前の話はとにかくつまらないって」
悲鳴を上げないように、必死に歯を食いしばった。私の小さなプライドだ。

「全く泣かねーな。つまんな」

つまんなさそうにそう言ったあと、彼は私の顔を思いっきりける。

「ぐっ……」

痛みで顔が歪むが声だけは出さないよう努力する。
何回も蹴られ、意識が朦朧としてきた頃だった。

「ノア」

「はーい」

一声デュークスがノアルに声をかけるとノアルの手が光りだす。
光の回復魔法だ。
 光る手で私の傷口を撫でると、それは消えていった。
傷は消えても体力は戻らないため、必死に息を整えていると再び体に衝撃が走る。

「うぁっ!」

それから数時間はまるで地獄だった。
デュークスに切られ殴られ、死にそうになるとノアルに回復魔法をかけられまた殴られる。
その繰り返し。
蹴られている時、何か言われているが全く聞いていなかった。

ノアルの魔力が切れかかったところでこの地獄はストップした。
自身の血で濡れているドレスはひどく居心地が悪い。

「全く声上げないとは本当可愛げねえな」

「あなたに…可愛いと思われたら気持ち悪さで吐き気がするわ…」

重く、動かない体に鞭を打ってデュークスの皮肉を返す。
「はっ、まあ良い。土産を2つ残しといてやるからせいぜい楽しみな」
ポケットからまあまあな大きさの箱を私の前においてからそれを発動される。

「魔物寄せの魔法具だ。あともう1つ」

手に持っていた剣を私の足に振り下ろす。

「ーーーうぐっ!?」

足に焼けるような痛みが襲ってきた。
気を抜いたら意識が飛びそうなほどの。

「悪いなぁ、間違えて刺しちゃったよ渡してやろうと思ってたけど。まあいっかじゃーな」

「かわいそうだよ、デューク」

楽しそうに笑う2人を見て殺意がわく。


「絶対に貴方方全員地獄を見せて上げる…」


淑女にあるまじき言葉遣いだか気にしていられなかった。

絶対に、復讐してやる。

馬車に乗り込んでいく2人を睨みむ。
しかし、進む馬車は止まることなく小さくなって消えていった。



コメント

  • ノベルバユーザー233492

    もう、キャーって悶えながら読んでますw
    更新頑張ってください!

    4
  • 青凛ご

    とっても面白いです!
    どうやってこの人達を復讐するのか、楽しみですw
    これからも頑張ってください!

    4
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