(自称)小説家が異世界召喚されて勇者として無双するかと思いきや商売とバイトでしか無双出来ていません!

平涼

捕まる!

 俺は赤髪のお姉さんの後ろにいる騎士たちに簡単に捕まり、ギルドに連れ戻された。

 「......あのですね。逃げていてなんですが俺捕まるような事した覚え無いんですけど」

 「昨夜から街で有名でしたよ。どうやら幼女をドラゴンに変身する事や色んな在り得ない事が出来る人がいると」

 俺には身に覚えがあり冷や汗が流れる。ていうかどうして俺だって分かるんだよ!畜生!

 「そんな魔法が使えるあなたは一回取り調べを行います」

 「断る」

 「駄目です」

 俺の即答にこのお姉さんも即答で返す。

 「俺が何かやらかしてから言えよ!」

 「そうよ!光也は人をヌメヌメにして風呂に入ることぐらいしかやってないわ!」

 リザの弁護と言う名の追い打ちをかける。

 「お前ちょっと黙ってくれないか?」

 「何でよ!私は光也を助けてあげようと思っただけなのに!」

 「逆効果だから!」

 「こっほん。ついてきてくれますね?」

 そのお姉さんの声に俺は頷くしかなかった。

 「はい」

 そうして俺は取り調べを行われることに決まった。

 アルバイトや仕事関係の張り紙も普通にギルドで貼るらしいので俺はそれをリザと貼りに来た。

 暇なのでリザが付いて行くとなったらこんな事になるとは思わなかった。

 「それでは今から取り調べを行います」

 俺は留置所に連行された。リザの最後にバイバイと手を振っていたのが一番腹が立った。

 「はあ」

 正直に言えば俺は何も悪い事はしていないからどうしたらいいか分からない。

 ただ一つ気になるものがある。

 「これ何ですか?」

 俺の隣には何やらクイズ番組で見るようならバツが付いた物がある。

 「これはあなたが邪な思いに対して反応する魔法道具です」

 「要するに嘘を見抜くって事ですよね?」

 「そうとも言いますね」

 「あれ?もしかしてちょっとカッコつけて言ってみたかったんですか?何かすいませんね」

 俺の若干ここに連れてこられた腹いせに言ってやるとお姉さんは若干顔を赤くした。

 「流石鬼畜と言われるだけはありますね」

 そんな事を呟いた。

 「ちょっと待て。俺はそんな人間ではない」

 「しかしあなたは街で女襲いの鬼畜野郎と言われていますよ?」

 俺はそれに一つ身に覚えがあった。冒険者ギルドでリザが借金をした時にあいつがそんな事を言ったのを思い出す。

 .......帰ったら絶対あいつは懲らしめよう。そう決意して続きを聞く。

 「それで取り調べって何するんですか?」

 「そうですね。まずあなたのその危険な魔法について教えてください」

 「むやみに個人情報を教えたらいけないと母に教わっているもので」

 そう!個人情報はむやみに教えたらいけないのだ。

 「そうですか。ならば邪な事があると思われ、裁判になるかもしれませんね」

 俺は今聞いてはいけない言葉を聞いた気がする。

 「裁判あるんですか?」

 「ありますよ。何言ってるんですか?」

 なんてこった。こたつすらないこの世界で冬はどう過ごすのか疑問なこの世界でまさか裁判はあるのかよ。

 「それだと当分家に帰れませんよね?」

 「当たり前です」

 「創成魔法です」

 俺はその言葉で正直に話す事に決定。

 「その創成魔法とは?」

 「創造したものを具現化することが出来るんですよ」

 「それは恐ろしいですね。何でもですか?」

 「はい。ですけど魔力の消費量が半端じゃないんでほぼ出来ませんけど」

 そこで何やら一人でぶつぶつと裁判も起こした方がいいんじゃないかとかそんな物騒な言葉が聞こえる。

 俺は何だか恐ろしくなってきて、

 「あの、もう終わったんなら返してもらえませんかね?」

 「まだです」

 まだあるのかよ。もう家に帰ってだらだらしたいんだけど。

 「あなたのその魔法で魔王軍幹部も倒してしまったんですか?これがここに連れてこられた理由の一つなので答えていただきたいです」

 「大活躍でしたよ!」

 ブー!

 そんな音が聞こえる。

 そしてお姉さんの眼が俺を疑わしい物を見るような眼になる。

 あれ?そういえばあんまり活躍してないですね。

 「正直に言えば、一人目は普通に俺が倒して、二回目は足止めも出来ませんでしたね」

 それにブーという音はならない。

 「一人目は魔人騎士のアラスですよね?騎士でも、強者の冒険者も勝てなかったアラスをどうやって勝ったんですか?」

 「戦略的に攻めて勝ちました」

 ブー!

 静かな時が流れる。

 「おかしい!この魔法道具壊れてるだろ!」

 ブー!

 「ブーブーうるせえ!なんだよこれ。ブーイングか!これ壊していいですか?」

 「駄目に決まってるでしょ!」

 正直に言えば今は手と足に鎖が繋がれていて身動きが取れないから無理なんですけどね!

 だが俺はアラスを倒したあれは恥ずかしいので話を逸らした。

 「それよりも何ですか。危険な魔法持っちゃってる罪って!他に何か無いんですか!?」

 「危険な魔法持っちゃってる罪なんですから仕方ありません」

 この世界ほんと適当すぎだろ。

 「ていうか、お姉さんもこんな適当に俺を連れて来て良いんですか?俺別に悪い事してないのに」

 俺の何気ない一言でこの場は変わる。

 「はい。あなたが危険な魔法を使う者だと聞いたので」

 ブー!

 「おい」

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