(自称)小説家が異世界召喚されて勇者として無双するかと思いきや商売とバイトでしか無双出来ていません!

平涼

シャルと仲直り

 あの風呂場の一件からシャルが口を聞いてくれなかった。最近はなんだかんだで仲良くなれたと思っていたんだが。

 ただ、アイナからは以前よりは仲良くなれたと思う。

 「光也さん!クエストに行きましょう!」

 こう自己主張が出来るようになったのだ。

 だが、そんなアイナのお願いも俺は聞かない。

 「お前ら何回言わせるんだ?俺はお金が無くなるまでは自堕落に過ごすって決めてんだよ。リザを見てみろよ。これがニートの見本だ。これを見習え」

 リザは俺が具現化したポテトチップスをソファーで寝ながら食べてぐうたらしている。俺も流石にここまではなりたくないので日々魔法の特訓をしているが、こいつらには見本になるだろう。

 「誰がニートよ。あんたこそニートと同じじゃない。このロリコンニート」

 「誰がロリコンニートだ!借金女が!」

 「私は知ってるんだからね!アイナをヌメヌメにして更には風呂にまで一緒に入るよう計画していたなんてロリコンニートの知力が初めて怖いと思ったわよ。もしかしたら私も襲われるかもしれない。ああ怖い怖い」

 こいつぶん殴ってやりたい。だが今回は本当の事が入ってるから否定は出来ないが間違ってるところは絶対に否定しなければならない。

 「誰がお前なんて襲うか!お前なんて襲った時には俺に借金が入ってきそうで怖いわ!それになあのヌメヌメにあったお前には一切俺は興奮しませんでした!一回女の魅力を鍛えてから出直してこい!」

 -アイナ

 「あの所々で私がロリコンと思われてるところがとてつもなく気になるんですが。それに.......」

 今光也はリザには興奮しなかったと言った。てことは......。アイナは二度と光也と風呂に入ったらいけないと思ったのだった。

 -光也

 「あんたには聖者パンチを食らわせてやるわ!」

 「おいおい。笑わせるなよ。借金パンチの間違いじゃないのか?聖者(笑)さん」

 俺は何とか襲ってくるリザを食い止めると、

 「光也さん!これはシャルとも仲直りできると思います!」

 「どういうことだ?」

 今はシャルはミリアと散歩に出かけていない。だがその仲直りが出来るという所に興味が湧いた。

 「シャルも一回クエストとかに行ったら機嫌が直ると思います」

 「お前がクエストに行きたいだけじゃないのか?」

 それにギクとアイナから聞こえた気がした。だが俺もシャルと仲直りしたいし偶には受けるか。

 「よし。じゃあ簡単なクエストでも受けるか」

 「けどおかしいのよね。何でシャルはいつもすぐに許すのに今回は怒る期間が長いのよね」

 「俺がそれを知りたいんですけど」

 リザが言うにはシャルは今まで怒ってもすぐに許してくれていたらしい。だけど今回は俺が許してと言っても知らないの一点張りだ。流石に俺も猛反省している。

 シャルが帰ってきたので俺が土下座でもう一度謝った。

 「ほんとすいませんでした!」

 すると、シャルは俺の方を向いて無言。それが一番怖いんですけど......。

 俺は冷や汗をかきながら待つ。今他の二人は俺が謝って許してもらうまで上で待っている。

 「あれは事故なの?」

 「はい。事故です。俺もまさかあんな事になるとは思いませんでした」

 すると、無言。もうほんと反省してるからこの無言をやめて!

 「あ、ああの風呂はどうだったのよ」

 俺は土下座でシャルの顔が怖くて見えない。これ声を震わせる程怒ってるだろ。もう正直に話そう。

 「えーとですね。俺も早めに風呂に入りたい。アイナも入りたい。なので俺が先に入ってやろうと思い風呂に入った所、ちょっとこれ一緒に入れるんじゃないかなとは少しだけ思いました。すいません」

 自分で言ってて俺がクズ野郎なんじゃないかと最近思ってしまう。

 「もういいわよ」

 俺はすぐにシャルの顔を見る。

 ......全然許している顔には見えないんですがね。

「なあ。許してくれたのか?」

 俺が立ち上がってシャルに聞くと目を逸らされた。

 「ええ。許したわよ」

 そう言いながら顔を逸らす。

 「なんで顔を逸らすんだよ?」

 俺がそこを向くと、顔を赤くして怒っているシャルが、

 「近い!」

 俺はぶん殴られてしまった。

 だがそれで本当にすっきりしたのかいつも通りになった。

 「よしシャル。クエストに行こう!」

 するとシャルがすぐに食いついた。

 「ドラゴンね!」

 「お前さ毎回思ってたんだが、ドラゴン飼ってるのにドラゴン倒すっていいのか?」

 「それはそれ。これはこれよ」

 「そうか。まあ行かないんだがな」

 シャルは少し落ち込んだが、久しぶりにクエストに行けるという事でやる気満々だ。

 俺達はギルドに行って最近荒野のモンスターがいなくなっているという事で、荒野を見てきてくれないかというクエストを受けることに決めた。

 これは危なそうに見えるが俺的には最高だった。

 俺は創造魔法で望遠鏡を具現化する。それで遠くから荒野を見て何か危なそうなモンスターがいれば逃げる。弱そうなモンスターがいれば退治して終わり。これは完璧だろう。

 そう思っていた。

 「私は魔王軍幹部の一人!ベラよ!」

 俺はそれを聞いて改めて思った。

 もうクエストには行かないと。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品