(自称)小説家が異世界召喚されて勇者として無双するかと思いきや商売とバイトでしか無双出来ていません!

平涼

風呂へレッツゴー!

  俺は火魔法を当てられたがそれ所じゃない。ヌメヌメして最悪なのだ。現在シャルはご飯を作っており、ミリアはもうリビングでそれを待っている状態だ。

 「なあ、アイナ出来れば俺に先に入らせてほしいんだけど。開けるぞ?服着たよな?お邪魔します」

 俺はアイナの答えを待たずに洗面所に入った。

 「何勝手に入ってきてるんですか!?」

 「もうなヌメヌメがやばいんだ。今すぐ風呂に入らないと俺は死ぬかもしれない」

 「私も同じですよ!というか光也さんがあれ出したからこんな目に合ってるんじゃないですか!取り敢えず下着なので今すぐ出て行ってください!」

 そんなド正論を言われると何も言い返せないじゃないか。だが今はそんな正論に構っている暇はない。

 考えろ。俺は結城光也。知力Sの頭だけはいい男だ。ここで知力を使わずにいつ使うって言うんだ。

 「お前何歳だっけ?」

 「十四歳ですけど。ていうか寒いのでって何してるんですか!」

 「服脱いでるんだよ。俺は今から風呂に入るから!」

 相手が十四歳と分かり俺のストライクゾーンから少し出ている為何の心配もない。

 それが分かり俺はすぐさま服を脱いでタオルを巻いて風呂場に入った。

 「光也さんがそんなクズとは思いませんでした!最低です!」

 おっと。このままじゃアイナに当分の間口を聞いてもらえない可能性がある。

 「ならお前も一緒に入るか?」

 「何言ってるんですか!?」

 「そのヌメヌメしたまま違う服着るのも嫌だろ?」

 「確かにその通りなんですけど。それをやった張本人に言われたくないんです!」

 「大丈夫だって。お前十四歳なんだろ?俺がお前に襲うこともあり得ない。俺の中で十四歳はミリアと変わらないしな。.......体型も」

 「今何か聞こえてはいけない単語が聞こえた気がしましたが?」

 案外アイナは耳が良いらしい。

 「......アイナのスタイルが良いって言ったんだよ」

 「まあ、確かにその通りですし襲われそうになったらシャルがいるから大丈夫な筈だし、もう私もずっとこんなヌメヌメなままも嫌だし......」

 なんか洗面所からぶつぶつ聞こえるんだが。

 「絶対に私の方見ないでくださいね!」

 「大丈夫だって。お前の体型に俺は興味を示さないから」

 「それはそれで腹が立ちますけどね!」

 そう言ってタオルを巻いて入ってきた。

 俺は表面では普通だが、内心相当はしゃいでる。

 完璧だ。女子と一緒に風呂に入る日が来るとは思わなかった。

 まさかここまで自分の作戦が上手くいくとは思わなかった。正直に言えば俺が風呂に入れるだけで満足だったんだが、ちょっと欲が出てしまって、言ってみたもののまさかここまで上手くいくとは思わなかった。

 俺の知識が凄いと今初めて実感できた。自分ながら恐ろしいな。

 アイナも少し恥ずかしそうにしながらも風呂に入ってきた。

 「そんな恥ずかしがることも無いだろうに」

 「リザからあんな事聞いたら誰でも少しは警戒しますよ」

 「だからあれは全部嘘だからな!あいつはとんでもない嘘ばかりつきやがる」

 するとアイナは笑い出す。

 「何で笑ってんだよ」

 「いえ。最近は楽しい事ばかりだなと思ってるんです。リザもシャルもあんなに楽しそうなのは初めてなんですよ?」

 「リザはいつもあんな感じじゃないのか?」

 「違いますよ。いつもは少し私達に気を遣っている感じでしたよ。けど最近はそんな感じも無くて。シャルも最近は元気ですしね」

 「リザにも驚きだが、シャルは全然俺が会ってからも変わってない気がするんだが」

 けどそういえば最近はあっちからも話しかけてくれるような気もするような。

 「シャルは最近変わり始めましたよ。あのギルドの一件からですね」

 俺はすぐに思い当たった。だがあの時の事は掘り返さないで欲しい。俺はあの次の日、二日酔いとその一件で恥ずかしくて仕方なかった。

 「あれは忘れられませんよ。私も嬉しかったですよ。あの時は本当にありがとうございます」

 素直な笑顔で俺にお礼を言うアイナ。

 だが俺は今大変やばい。

 なんだろうか。急にアイナの事が大人の女性として見てしまうんだが。よく見たらアイナは胸は無いがもの凄くスタイルがいい。

 これはいけない。絶対にやばい系だ。

 「なんで俺達一緒に風呂に入ってるんだろ......」

 「今それを言うんですか!?」

 「さっきの笑顔で俺お前と風呂入るのもの凄いやばい気がしてるんだが」

 「なんで笑顔でそんな事になるんですか!どうしますか?もう上がりますか?」

 そう。ここで上がってしまえば楽だろう。緊張しなくてもいいし。だが俺は思った。今このチャンスを逃せば女子と入れるなんて事はあるんだろうか。いや。決してないだろう。だからこそ俺は決めた。

 「もう少しだけ入っていくよ」

 「なんだか今の光也さんにはもの凄い身の危険を感じるんですけど」

 そう言って、少し下がるアイナ。

 「酷い言い草だな!俺もそこまで言われると傷つくんだけど!」

 「だってさっきから光也さん、私の体ずっと見てますし」

 図星だった。女子は視線に敏感というがまさかここまでとは。だけどここで俺が認めてしまえばこいつはすぐに上がってしまうだろう。折角初めて俺にいい事があったんだ。もう少しいい事が続いてもいいと思う。

 「べべ別にみてないし!俺がお前の貧相な体を見るわけないだろ!」

 「最低です!女子に対してそんな事を言うなんて!」

 「女子っていうからにはなそれだけの魅力持ってこい!お前には一ミリも女の魅力が無いぞ!」

 「言いましたね!先程までの感謝の言葉を取りやめたいぐらいですよ!光也さんだって男の魅力が一切ありませんよ!」

 こいつにそれを言われるのか!

 「お前とんでもない事言いやがったな!」

 「そっちこそ!」

 俺達は風呂の中という事も忘れて二人で押し合いをしていると、互いに笑い出してしまった。

 「何やってんだろうな。俺達」

 「ほんとですよ。何やってるんですかね」

 「ちょっと私も頭に血が上ってしまいました。すいません光也さん」

 「いいよ。こっちこそ悪かったな。俺は気にしてないから」

 「何を気にしてないの?」

 これはアイナの声ではない。

 俺は何故か背後を見ることを躊躇われる。

 どうしよう。俺は後から冷静になった。

 どうしてあの時にすぐに上がってしまわなかったのだろうか。

 俺は恐る恐る後ろを見るとそこには仁王立ちしているシャルの姿が......。

 「光也さんが悪いです」

 アイナは俺を指さした。確かに俺が悪いんだけども!ここでそれはやばいと思うんだよね。

 「......落ち着こうシャル。人間は話す事の出来る生物だ。話し合おう。暴力は何も生み出さないぞ」

 「何か言いたいことがあるの?」

 そう言いながら指をポキポキ鳴らすのはやめて欲しい。

 「えーとですね.......」

 どうやら俺にはいい言い訳が思いつかなかった。

 「どうやら無いようね。最後に言いたいことは?」

 「痛くしないでね?」

 俺はそれが最後となり思いっきりぶん殴られて風呂が終了した。

 今日俺はアイナからの好感度が上がり、シャルの好感度が下がってしまった気がする。リザは知らない。

 人は欲を出しすぎると失敗するという事を今日身を持って知った俺であった。

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