(自称)小説家が異世界召喚されて勇者として無双するかと思いきや商売とバイトでしか無双出来ていません!

平涼

クエスト

 俺達は逃げることをせずにゴブリンと戦う羽目になった。

 俺は一応確認する。

 「シャル。お前一人だったら怪我もせずに倒せる数は何体ぐらいだ?」

 「全部倒せるわよ」

 .......こいつ一人で置いていってやろうか。

 俺はその気持ちを必死に押し込み、アイナに聞いた。

 「アイナ。お前のB級魔法だったらゴブリンは倒せるか?」

 アイナは少し怖気付きながらも、

 「ゴブリンなら一撃で倒せると思います」

 「なら、お前の魔力量なら何体ぐらい倒せそうか?」

 「大体五体ぐらいだと思います」

 五体か。これは本当に厳しくなりそうだ。

 「シャルは取り敢えず、十五体相手にしてくれ。リザはシャルの援護。俺とアイナで五体を相手にするぞ」

 皆はそれぞれ動いた。

 まず、リザとシャルに15体ぐらいのゴブリンを引き離してもらう。

 ゴブリンは団体戦では強いが個人戦は弱い。

 俺はゴブリンが十五体程動いたら残りのゴブリンの前に立つ。

 「かかってこいや!この豚もどきが!」

  俺はゴブリンに挑発し、 剣を構える。

 この剣はアイナとシャルからパーティを結成してから貰った。

 リザは借金で買えなかったそうだ。

 俺はその剣を構えゴブリンと対峙する。アイナには魔法を放てる準備をさせいつでも放てるようにしておく。

 作戦は俺がゴブリンと戦っている最中、俺が危険な目に合いそうになればアイナが魔法を放つというものだ。

 俺はゴブリンとなるべく団体で戦わないよう、避けながら単体で戦う。

 ゴブリンは知恵が周り団体戦が強いというのが俺の知識だ。多分この世界でもあっているだろう。

 背後は取られないように動くが、五体もいれば後ろをとられるのでそこはアイナが倒してくれる。

 小説家の俺はずっと家に引き篭もっていたから体力がギリギリだった。

 バイトはやっていたけど飲食店だからな。体力そんな使わないんだよ!ほんとにきつい!

 「はぁ......はぁ......はぁ......」

 俺は何とか勝てたが倒れてしまう。

 なんで俺はこんなに頑張って戦ってるんだろう、そう思わずにはいられなかった。

 けどそんな事をしている場合じゃない。シャルとリザが俺よりも多い数を倒しているのだ。俺達も助けに行かないといえない。

 そう思った時だ。直ぐにシャルとリザも現れた。

 俺は唖然としてしまう。

 「お前らもう十五体倒したのか!?」

 「ええ。だから言ったじゃない。倒せるって」

 ........そういうのってちょっと強気で言っちゃう的なあれじゃないのかよ。

 俺が頑張ったこのやる気を返してくれ。

 そして、俺達は何とか無事街に帰って来ることが出来た。

 報酬はゴブリンの数が多かった事、それを報告してなかった事により報酬が上乗せされた。

 「報酬は十万円になります。色々と不手際がありまして大変申し訳ありませんでした」

 受付の人はそう言った。

 「みんな無事だったので大丈夫です」

 本当に良かった。もしこいつらに何かあったら俺のが弱いからな気もするからな。

 それから皆と解散した。

 俺は今受付の人に借金をして、宿を借りているのでそこに帰りたいのだが、やる事がある為まだ帰れない。

 俺が冒険者になった後も少し受付の人と話した時に寝る場所が無いし今日は野宿ですよと言うと、どうにかしますと言って、お金を貸してくれた。

 初めは私の家に泊まってもいいですよ?、なんて言ってきたが、流石にそれは俺の理性もあり勘弁してもらった。

 なので俺は急いでお金を稼がなければならない。

 自堕落な生活を送るためにもまだまだ稼がなければならない。

 俺はそう思いまた明日から頑張ろうと思っていた。

 〜翌日〜

 俺の目の前には百五十万の借金の小切手がある。

 「お前らほんと俺を舐めてんのか!」

 俺はそう叫ばずにはいられなかった。

 すいません。受付のお姉さん。お金はまだまだ返せそうにないようです。

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