異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します

りゅうや

交渉、そして実績

 
「......私は殺されるのか?」
「せや。嫌か?」
「ふっ、死を望む輩は何がしたいのだろうな。私は死にたくない。まだまだやらねばならぬ事もあるからな。そこで提案がある」
「提案?」
「この公判の目的は、私に刃向かった小僧の絶望を見てから処刑したいが故に決行した。そして今、私の騎士の中でもかなりの実力者である二人が小僧の相手している。だからせめてそれがどうなるかだけでも、見せてはくれないだろうか?」
「......せやなー、確かにそらぁ気になるわなー」

 モリアは納得がいったのか、うんうんっと頷いている。
 このままいけば、少なからず時間が稼げる。その間にこの状況から脱する方法を考えねば。

「でもなぁ、おっさん。その提案は無意味や」
「! な、何故だ! 別段そのくらいの猶予を求めても問題なかろう!」
「いやいや、あっち見てぇみー」
「まさか......っ」

 意味あり気な事を言う彼の言葉に従うように、嫌な予感を抱きながら小僧達の方を向く。
 そこには右腕をダラリと垂らし、逆手で剣を構える女騎士と既に地面に伏している巨漢を前に平然と立っている小僧の姿があった。
 大した怪我を負っている様子もない。

「どうなっている......例え情報通り、小僧が銀ランクの実力があった所で、あの二人は同等かそれ以上の実力はあるのだぞ!」
「実力が同じって、あの小僧はかーなりの実力者だけどねー」
「そんな事は分かっている! あの二人とてワイバーンくらい単騎で討伐出来る実力者だ! なのに何故ああも一方的に......」
「あ、きゃっきゃっきゃっ! そらぁ、負けるわー」

 急に高笑いを上げるモリアに、視線が彼の方を向く。
 そうして彼は此方を小馬鹿にする表情を浮かべながら告げる。

「ギルドが決めてるランクでぇ、ワイバーンってどれくらいか知っているん?」
「......確か赤ランクだったはず」
「なーんや知ってるんかい」
「しかしランク的には一つしか違わんのだ! ましてや此方は訓練を受けた者達! 数も上! なのにどうしてああなる!」
「なんでぇも何も、あの坊やはランクサボっているけーど、実績はワイバーンだって単騎でってのはそうやしぃ、後はガーズ、アンガルラディープ、アシッドスライムぅ......あ、あとジャイアントウルフもか」
「ままま、待て! ガーズ? アシッドスライム? そんな情報は入ってきていないぞ!」
「ガーズはまだあったと思うけどぉ、まあ、どっちでも良いかー。だからおっさんが思ってる以上に、あの坊やは強いで。ずっとな」

 ヘラヘラと笑う男は、細い目をより細めて小僧の方を見ている。





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