異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します

りゅうや

女騎士、そしてリンチ

 
「再度申します。道を開けねば、反逆者と見做し刑を執行します。三度目はない、そこを開けなさい!」

 顔は見えないが声から女性と判断出来るその騎士は、張りのある声で門番に命じる。

「門兵よ! 絶対に中に入れるでないぞ!」

 しかし門番が答えるよりも先に彼らに声をかける者がいた。そう私である。
 公判の最中にこんな問題が起こるなどあってはならない。だから一応言っておく必要がある。

「......こちらももう一度言いましょう。公判の最中に許可なく立ち入る事は、誰であろう・・・・・と禁止されています! お引き取りください!」

 そしてその言葉に従ってか、攻撃されたにも関わらず彼は素直に引かず、臆する事なく言ってのけた。

「......承知しました。それでは、今より刑を執行します。構え!」

 門番から引く気が感じられないため諦めた女騎士が号令をかける。
 その声に従い、四方にいる内の門のある方にいる騎士全てが武器を一斉に構える。
 そんな彼らの洗礼された動きは見事に揃っていた。

「第二部隊は反逆者の処理を! 第一部隊は第二の処理の後、内部に侵入し全員拘束せよ! 始め!」

 彼女の怒号に等しい指示に従い、武器を構えた騎士達の内半の騎士十数名が列から抜け、門の方へと向かう。
 そんな彼を避けるために先程門番に近づいた騎士二人は場所を移す。
 そしてあっという間に門番二人は騎士達によって囲まれた。と言っても、十数名の内五人までしか囲えない。
 それ以上の人数を入れてしまうと、逆に騎士達が動けなくなってしまうからだ。
 残りの者はその騎士達の間を掻い潜って逃げない様に二重に覆う形で待機している。

「......うおおぉぉお! エーデンの騎士共があぁぁあ!」

 その状況に気圧されたのか、雄叫びと共に真正面右に立つ騎士に槍を突き出す。
 互いの距離は一メートル前後くらいしかなく、槍はそれに等しい長さだというのに門番は器用に操り、その距離でも背後の門にぶつける事なく、喉元目がけて槍を走らせる。
 しかしそれが当たるよりも先に門番の身体を武器が刺す。剣が、槍が、腹に、太ももに、肩に、腕に。
 騎士達が持つ武器が彼の身体に刺されている。

「あがあぁ......クソ......が......」

 刺された武器が抜かれると彼はそれだけ言い残し、崩れ落ちる。

「ひいっ ︎  お、お願いします! いいい、命だけは、命だけはお助けをっ!」

 相方の惨状を見て恐怖したもう片方の門番は、その場に尻餅を着いて命乞いを懇願する。
 やられた方の門番と比べると勇ましさは感じられない。完全に戦意を失っている。
 しかしそれは無理からぬ事。第一、誰だって痛いのは嫌である。余程の者でもない限り、志願はしないだろう。

「その者は構わんで良い! 第一部隊、突入!」

 横にズレた先程の女騎士が、再度指示を出す。
 その言葉を受け、彼らの背後に控えていた十七名の騎士が動き出す。
 それに合わせて、第二部隊の騎士達も行動を起こす。
 三名の騎士によって門の前で倒れる門番を移動させ、五名の騎士が先に入り込み残りの門番を拘束する。
 中にいた門番達も先の一戦に心を折られ、素直に捕まる。
 そして開け放たれた門からフルプレートアーマーの騎士達が続々と侵入し始める。



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