異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します
魔道具、そして高価?
私が未来の想像に胸を躍らせていると、法官がこれ以上反論を述べようとしない事を確認し終えた法生司長が、公判の進行を告げる。
「それでは原告証言人の真偽並びに、原告人と法生司長間に結託の有無の確認を実行するため、特例処置として被告弁護人の魔道具使用を許可します。ただし、当該以外での魔道具の利用は、認可しないものとする」
彼は小僧らの懇願を受け入れてしまった。
こうなってしまっては、私らに弁明を打つ手はもうない。
しかしもうこんな下らん公判に興味はない。どうなろうと構わん。
最終的に勝つのは、私なのだからな。
「では、この魔道具を使わせてもらう」
小僧はそう言うと、何処から取り出したのかと疑問を抱く品が、彼の手の上に乗っている。
ちょうど両掌に乗るくらいの大きさの水晶だ。
透明ではなく、海のような美しい蒼。それが中で流れている。
上から下へと流れているが、それが尽きる事なくずっと流れて続けている。
見た事のない魔道具だな。そこそこの魔道具を見てきたし、公判で使う様な代物なら事前に調べている。
彼奴らが繋がりや嘘がどうのと魔道具によって解決するつもりなら、それ相応の物が必要だ。
まさか安物の魔道具と口八丁で乗り切るつもりか?
「真蒼(しんそう)偽紅(ぎこう)の球という魔道具で、嘘を見抜くことが出来る」
「「「「っ ︎」」」」
彼の言葉にへーネルと証言者三人が反応した。
名も知らんな。やはり嘘か。
それにしてもそんな事にも気がつかず、ビクついておる様では此奴は予定通り切り捨てても問題なさそうだな。
彼らが東の出した魔道具に反応してしまった事に対して、サヘルは非道な考えを抱いていた。
「......法生司長。あなたはこの魔道具のことを知っているか?」
「......はい、存じてます。触れた者の真偽を色を持って暴く魔道具。しかし真蒼偽紅の球は珍しい物で、今では所持している国も一、二ヵ国程度です」
「とある場所で手に入れた物だ。知っているなら話が早くて助かる。早速魔道具を使って調べたい」
「それでは魔道具を此方に」
法生司長は知っている物だった、だと?
それも安物なんて物でもない。有している国が片手で数えられる程の品。
恐らく数十、下手をすれば百ダイヤンですら足りぬかもしれん代物。一体そんな貴重な魔道具を何処で手に入れたというのだ?
法生司長の話から察するに、あれは看破の魔道具。
つまり売れば一財産。国に貸与し、それに税金か一回毎に使用料でもかけてしまえば、それだけで不労所得となり得る。
もう一度言おう。一体何処でそんな魔道具を手に入れたのだろうか......
!そういえばあの小僧は、ダンジョン攻略者だったな。
集めた情報の中で一番信用出来ん内容であったため、半頭から抜けかけていたのもあって直ぐに思い出せんかったが、その情報は確かにあった。
冒険者になって直ぐにダンジョンを僅か十五日程で突破し、国王と面会。数年で銀ランクの冒険者となり、屋敷まで手に入れる。
こんな内容を見て、誰が信じる。
しかしそんな貴重な魔道具をここに持ってきてくれた事には感謝しよう。
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