異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します
情報、そして本来
調査を始めさせてから、数日。
そんな期間で簡単にネタになりそうな案件が見つかった。
私の家を襲撃したその少し前に、港で奴らは騒動を起こしていた。
内容は、奴隷にしようと罪をでっち上げようとしていた所を、たまたまその時この国に着いたばかりだった東が割って入った。
そしてでっち上げようとした男を追って、小屋で半殺し......にしたと思われる。
現場には、大量の血飛沫の跡があるのに、負傷者おらず。
詳しく調べ、そこで半殺しにされたであろう人物達を見つけ出し聞いた所、かなり怯えた状態で先の出来事と東に何をされたかを喋った。
これだけでもでっち上げるのは可能だった。
そこに加えて自身の領地への襲撃。あとは、殺人でも入れておけば良かろう。
「旦那様。例の女が来ました。誰かを連れて」
画策していると、テヲロが先日の女の再来を報せる。
とりあえず女を案内した部屋へと向かえば、テヲロが言っていた様に先日同様フードを被ったままの奴と、これまたフードを被った何者か。
しかしどちらが誰か、という点で迷う事はなかった。
何故なら、先日の女が連れて来た者の頭には──人間にはそこから生えているはずのない──恐らく耳がついているからだ。
フードが盛り上がり、耳の形が僅かに分かるくらいの要素しかないが、獣人なのは確かだろう。
奴隷以外で私の屋敷に獣人を入れるなど、まずない。例え許可したとはいえ、買った獣人でないというのは不快で不愉快極まりない。
「此度は何用だ?」
そのため言葉に怒気が滲み出ていようと、それは致し方ないというもの。
「先日申し上げました、訴訟の内容についてです。どうも、何か別の騒ぎを聞きつけられた様で」
......何故、知っている。確かに全く周りに悟らせず、痕跡も消すようには言っていない。
しかしだからと言って、逆に公に聞き回っているはずもない。
それに加えて、丁度情報が集まり切った時に訪れた。
「(やはり、此奴を野放しにはしておかん方が良いな)」
今回の件が片付きそうになったら、そうなるように手を回すとしよう。
そして、終わり次第奴隷にしてやる。
「ああ。運が良いの悪いのか。あの小僧が分かり易いくらい悪行を振り撒いていたのでな」
「それはそれは。でしたら、それも今回の件に織り交ぜてしまうのは、如何でしょうか?」
「......ほう」
そうして女から、もう一つの訴訟の流れと内容を提案された。
数日前のを基盤とするのではなく、今回の調査で手に入った方を基盤とする。
まず、港で物を盗まれた事を私の部下がされたという事にし、そしてあの小僧と盗っ人がその部下を亡き者にしようとした。
そこで部下を助けるために何人かの仲間が助けに入ったが、全員殺される。
その間に逃げた部下が、早馬を使い私の元までやって来た。
そして救助とあの小僧を捕らえる準備をしていた所に、小僧と盗っ人が襲撃して来た。
近衛兵等によって撃退する事は叶ったが、被害は甚大。
早急に事の発端である盗っ人と小僧について調べ上げ、捕らえ、公判へ。
これが本来の一連の流れだった。
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