異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します

りゅうや

討論、そして事前に

 
「それで、これからどうするの?」
「予想よりも早かったですから、完全に時間がなくなってしまいました」
「.....!そうだ、キリの能力で見つけられないか?」

 頭を悩ませていると、そんなアイデアを閃いた。
 しかしその問いを受けたキリの表情は優れない。

「それが、私もさっき同じ事を思って試したの。でもこの人だって思って訊いても、知らないの一点張りなの」
「でもほ、ん当に、知らな、そうじゃ、なかった。多ぶ、ん何かべ、つの理ゆ、うがあると、思う」
「....恐らくですが、その大貴族というのが関係しているのではないでしょうか?」
「それって、手を回しているってこと?」
「まあ、貴族ならそのくらい出来そうだな」
「となると証言をしてくれそうな人に協力を仰ぐのは難しそうね」
「そうだな。さて、どうするか...」

 再び頭を悩ませる。

「そういえばエルフの里から持ってきた魔道具って、どんな能力なの?」

 そうしているとサナがそんな質問を投げてきた。
 そういえば説明してなかったな。

「その魔道具に触れている間はその人の嘘を暴く、という能力だった」
「素直に触ってくれるかしら」
「無理だ、とお、もう」
「裁判官に魔道具を使うように言ってもらうのは?」
「恐らくそれも無理だと思います。本来ならこちらから魔道具を使用する場合は、事前に公判所に提出しておかなければならないと聞きます」
「そんな決まりがあるのか...」
「すみません。余裕があると考えていたので、直ぐにお伝えしていませんでした」
「いや、色々とバタバタして言う暇もなかったろうし気にしないで良い。それに余裕がなかったのは想定外だった訳だし」
「そうよ。アンタレス王国ではそういう規定だったのは初耳だったもの」

 ニーナが申し訳なさそうな顔を浮かべたかと思えば、顔を俯せて謝罪を述べてきた。
 そんな彼女にキリが励ましの言葉をかける。
 そんな規定があったこと自体知らなかったのは黙っておこう。

「とりあえずは、使えそうなら使おうってことで」
「出来る事を願いましょう」

 可能性は低いが、これはもう願っておくしかない。
 それにしても──

「証言もなく、魔道具も使えそうにないとなると、本当にどうしたものか」

 このことは本当にどうするべきなのか思いつかない。八方塞がりにもほどがある。
 証拠がなければならないというのに。

「相手の落とし所を拾うしかないのかしら?」
「それでも勝てるか怪しいわね」
「な、らまたエ、ルフの里、で何、か探して、みると、か?」
「あの長がまた貸してくれると良いけど…」

 ここから明日に備えて眠るまで、ずっと討論を続けた。



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