異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します
安心、そして一休み
ゲートを潜り、村へと着く。
そして俺の視界の先に広がるのは───
「普通に復興し直してる」
全員が協力し合って復興する様は先日来た時にも見たが、今目の前の光景は少々違う。
男性がいない今、重い木材の運搬は女性数人から数十人で一本を運んでいる。
また屋根などには少々ガタいの良い女性が行なっている。しかしその女性の近くにデカい槌があるのが、とても気になる。
それ使って打ち込んでいるのか?というか、あの人筋肉すごいな。サッカーボールくらいはあるぞ!
他にも料理や洗濯、数人の子ども世話、伐採などの仕事。
それら全てを女性や少し育っている子どもが行なっている。
その中でニーナを見かけたので彼女へと駆け寄る。
「ニーナ」
「あっ、アズマさん」
彼女を呼びかければ、作業の手を止めこちらに顔を向けてくれる。
彼女の手元には包丁が握られており、下には切られた食材が置かれている。
どうやら彼女は料理を手伝っているらしい。
「先程ユキナに連絡してもらった所だったんですが、早かったですね」
「ああ、そこまで人数がいなかったからな。それよりそっちも大丈夫だったみたいだな」
「はい!アズマさんが見たと言っていた方達は、ギルドから復興の依頼を受けた冒険者さん達でした」
「なるほど」
出会したタイミングが悪かったが、追撃者たちではなかったのは良かった。
ならあとは警邏に誘拐と破壊などの報告。人質は.....キリたちと相談するか。
「他の皆はどこにいる?捕まっていた人たちのことで話がしたいんだ」
「えーっと、お姉ちゃんが確かユキナと一緒に伐採しに森のもう少し奥の方へ。キリが、建築の手伝いをしているので、家の方を探せば居るかと」
「分かった。ありがとう。ニーナは出来ればこの辺りにいてくれ」
「はい。あ、良ければ味見していきます?」
そう言って彼女は、隣にある鍋から木製の食器に煮物を装(よそ)い、差し出してくる。
そういえばユキナが作ってくれた料理を食べてからかなり時間が経ってたな。集中していると空腹を忘れそうになる。
「ありがとう、いただくよ」
俺は彼女が差し出す椀(わん)を受け取る。
そして乱切りにされた食材をスプーンで掬(すく)い、口へと運ぶ。
まず先に舌から伝わってくるのは調味料──醤油に近い何か──の苦味と渋み。それを噛んだ野菜の甘みと旨味が打ち消してくれた。
しっかり煮込んでいるからか、根野菜も柔らかく味が染みている。
そして野菜の歯応えを楽しみ、それを飲み込む。
「うん。すごく旨いよ」
思ったことを正直に伝えると彼女は嬉しそうに頬を緩ませた。
「ありがとうございます!」
そう答えた彼女の尻尾は、横にブンブン振られており耳もピコピコ動いていて可愛らしい。
そんな彼女を見ながら食べる食事は、また格別だ。
そうして全部を食べ終えお腹も少し膨れたので、皆を探しに行く。
最初は、サナとユキナからだな。遠い方からの方が良いだろうし。
そう決め『魔眼』に流す魔力を増やす。
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