異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します
包み、そして意気込む
「ぶった斬れろっ!」
威勢よく叫びながら爆発ヘアの男がバトルアックスを大きく振り下ろす。
その一撃を後方へ飛んで避けようとした彼女の左脛目がけて爆発ヘアの男の右腰辺りから棒が伸びてきた。
飛んだ直後のため今から体勢の変えようにも間に合わない。
「面白いやり方だ、な」
「!うぐっ ︎」
その棒の腹を横から少々上げる感じで蹴って軌道をズラす。
それにより腹を強めに叩かれた爆発ヘアがくぐもった声を上げて転倒しそうになるのを足を戻して踏ん張って堪えた。
いや、背後の相方が支えている。
唐突に相方のバランスが崩れ、足で踏ん張ったことで後方へ下がり、背後の相手もバランスを崩すかと思ったが、それでも動きに合わせてかちゃんとした体勢で構えている。
ここまで合わせられると能力を使っていそうだな....
「横から何しやがんだ!」
「っと」
味方に支えられたこともあり、すぐに体勢を戻した爆発ヘアがバトルアックスを下から振り上げてきた。
それを身を引いて躱(かわ)し、そして手の中にある水儒核に魔力を流す。さらに能力を使用する。
彼らの脚目がけて氷を走らせる。
「なんだこの氷」
その氷を警戒して後方へと逃げる男たち。しかし俺の目的は絡め取ることじゃない!
「ぐあっ ︎」
「うぐっ ︎」
すると走っていた氷がいきなり形を変え、二本の鋭い氷柱へとなった。
その氷柱が逃げる彼らの脚に突き刺さる。
「サナ!」
「ええ!」
その怯んだ隙を狙って突撃する。
俺は爆発ヘアの方に先ほど倒した男からゲートで取り寄せたロングソードを振りかぶる。
そしてこのタイミングで分かったのだが、魔力を流していないためこの魔道具は今、幻術をまとっていない。
そのためあの時何故剣が止まってしまったのかが分かった。
このロングソード、めちゃくちゃ刃こぼれしまくっている!
いやこれを刃こぼれと呼んで良いのかは知らないが、中央にかけて幅細めのVの字型で刃がなくなっている。それも交互に。
ノコギリのように山が出来ているのではないが、似ているのはどちらかといえばノコギリだろうか?
確かにこの溝に剣が入れば動きが止まるかもしれないが、それでもあそこまで止めれるとは思えない。
まだ何かありそうだが、生憎と今はそんなことを考えている場合ではない。
「人質を返してもらうぞ」
「その武器!っ、舐めんな!」
隙を突いたが、相手さんもそう甘くはなかった。
振りかぶっただけの一撃を左腕の籠手(こて)で受け、今度は相手がバトルアックスを振り下ろしてきた。
しかしその刃が俺の首の横寸前でピタリと止まる。
爆発ヘアの男はその武器と共に氷に包まれている。まあ、こっちもロングソードが氷に覆われているが。
水儒核を持ったままロングソードを持ち、彼がガードしたので魔力を一気に流して氷を剣ごと彼の身体へ向けて走らせた。
さらに彼の脚に突き刺さっていた氷柱の温度を変え再び操った。
そちらはさほど水の量も多くなかったため両脚に絡みつかせるまでの量だったが、それでも十分役に立ってくれた。
それにより彼は止まったのだ。
「このっ!」
「くっ ︎ガキ共が、調子に乗るな!」
視線を横へやればサナの右回し蹴りを棒で押さえている所だった。
「そんなんじゃ、止まらないわよおっ!」
彼女がそう意気込むと、男の表情が険しくなる。
そして彼の表情が変わってからほんの数秒で棒が悲鳴を上げ、ポッキリと折れた。
そして彼女の足は男の頭へとぶつかった。
「ぐあっ ︎」
「ふん!」
「っ ︎」
そのまま彼女は身を捻り、彼を蹴り飛ばした。
男は壁の方へと飛んで行くが空中で身を翻(ひるがえ)し、ギリギリの所で着地した。
「これで終わりよ!」
「ぐぶっ ︎」
しかし既に駆け出していたサナの渾身の右ストレートを顔面に喰らわされた。
その一撃が決め手となったようで、彼は白眼を向いて動かなくなった。
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