異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します

りゅうや

魔力切れ、そして増えた

 
 重たい瞼を開けると、青い空が視界に映る。
 外、か....?
 重く、まるで全身に誰かが乗っかっているのかと思えるほど重たい身体を起こす。
 視界に映る景色が変わり、大量の木々が映る。
 うん、外だな。どう見ても。それもどこだか分からない場所だ。
 あの長、俺が気絶している間に遠くへ追いやったのか。

「.......」

 なんてのは冗談だ。
 自分の身体の、自分の能力のことなのだからよーく分かっている。
 俺はつい今し方まで気を失っていた。
 前にも経験したので分かるが、気を失うと言語系の能力以外の全部の能力が解除されて目覚める。
 それなのに今はどうか?目を覚ませば勝手・・に『千里眼』が発動している。
 能力を解くと、最後に長と話をしていた部屋に寝かされいらようだ。
 牢樹と呼ばれていた樹の中にいた時とは違い、麻で出来た布がかけられている。
 これは、認められた....のか?
 そう疑問に思いながら、先ほど見ていた夢について考える。
 内容はしっかりと憶えている。まるで本当に見ていたかのように鮮明に憶えている。
 ただの夢なら良いが、あそこまで生々しい夢は珍しいと思う。サナに矢が刺さった際の血はとてもリアルだった。
 なんだか嫌な予感がするな。
 そんな不安を抱きつつ、今度は自分の意思で『千里眼』を発動させる。
 調整はこの部屋を抜けるくらいで良い。そして上を向いて太陽を探す。
 うーん、話し合いを始めてからだいたい五時間くらい経ったかな。
 キリたちと別れてからすでに一日が経過している。彼女らは恐らくもう一つ反応があったエルフの里へ向かっているはずだ。
 情報収集にどれくらいかかるか分からないが、ある程度の場所はキリが頼りになる。
 そして彼女の魔力量と全員の移動速度なども込みで考えるなら、もうそろそろ着いている頃だろう。
 幸い、今回の件で必要な魔道具はここにあるそうなので、認められているのなら上手く借りてすぐにでも向かおう。
 そう方針を決めてから、身体を起こす。
 怠い、重い....
 なんでこんなに疲れているんだ?魔力を吸い尽くされただけ......って、そういえばこの世界に来てから魔力切れなんて起こったことなかったな。
 いつもは切れるほど使わないし、まず切れることもない。だから辛さを知らなかったが、多分これが普通なのだろう。
 だとするとキリ、無理してないと良いけど。
 そう思いながらどれだけ減ったのか確認するために、久しぶりにステータスを開示する。

 ___________
 ステータス
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 名前:桐崎 東
 ステータス番号:57764
 性別:男
 Lv.95
 攻撃:6936
 防御:8399
 体力:16294/20064
 魔力:452/31309

「固有能力」
 魔眼Lv.9

 千里眼Lv.8
 Lv.8:1,000メートルまで調整可能

 言語解析

 言語読解

 ドレイン

 ウォーミル

 麻痺

 促進の魔眼
 能力:視ているものの時間を促進させる

 退化の魔眼
 能力:視ているものの時間を退化させる

 真実のまなこ
 能力:視ているものの偽りを解く

 水流操作
 能力:水を自由自在に操れる

 ______________

 おぉー、本当に魔力が吸い尽くされたみたいだな。今までここまで減ったことなかっ.....た....から......

「っ ︎ ︎」

 魔力がすっからかんになったのを確認してから、目線を下へやれば、いつの間にか能力が増えていた。しかも四つも。
 そんなの驚かないはずがない。驚きのあまり声が出なかったのが幸いだが、もし出ていれば迷惑でしかないほど叫んだだろう。
 いや、実際今も理解が追いつかず慌てふためきそうになっているのをグッと堪えているだけだ。
 一度ステータスを閉じる。

「すぅ.....はぁ......すぅ....はぁ......」

 目を瞑り、深呼吸を数度繰り返す。
 冷静に、取り乱しそうな心を落ち着ける。

「──────ステータス」

 そしてゆっくり瞼を開け、再度確認する。
 結果は、変わっていなかった。

「すぅ.........可笑しいぃぃだろおぉぉおおぉぉぉぉぉぉっ.....!!」

 結局叫んでしまった。
 しかし言い訳をするならば、こんなことは初めてだからだ。
 今までも能力が増えたことはある。
 だが、ここまで一気に増えたことはないのだ。ましてや最近ステータスを開示していなかったとはいえ、その期間なんぞ、せいぜい二ヶ月だ。
 もう一度言うが、その間にこれだけ増えたことはなかった。
 なので俺が叫ぶのは無理もないということだ!
 よし、長に怒られた時の言い訳は成り立った。これで大丈夫なはずだ。
 そう意気込み、こちらに近寄って来る足音の人物たちを待ち受ける。



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