異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します

りゅうや

説得、そして説明

 
 一瞬で起きた今の攻防を視認出来た者も出来なかった者も驚いて動くことが出来ないでいた。

「聞いてくれ、こいつらは俺の能力で動くことが出来ないでいる。それに.....」
「んな事信じられるか!餓鬼の能力でワイバーンを動けなくさせられるか!」

 驚いているうちにワイバーンの状況と『ウォーミル』もいつでも発動させられることを伝えようとしたが我に返った討伐隊の一人に遮られてしまった。
 まあ信じられる訳ないよな、ただでさえさっきの俺の証言を俺自身でなくし信用を失ったあげく、ワイバーンが来て焦っている状況なのだから。
 やっぱりこのやり方は無理があったかもな。でも....

「そこまで言うなら試してやるよ」

 俺は遮ってきた男の方へと歩いて行く。
 男は俺と同じくらいの身長だが格好は動きやすさ重視のようでかなりの軽装だ。胸当てと手甲具、そしてレギンス。
 そんな彼は訝(いぶか)しげな目で俺を見てくる。

「なんだよ?」
「ただの実験だよ」

 そう呟いた時には彼の腕をガッチリと掴んでいた。

「!離しや、っが ︎」

 男はいきなりのことに叫ぼうしたが途中で倒れてしまった。

「テメェッ!何しやがった!」
「さては毒だな。卑怯な手ェ、使いやがって!」
「この餓鬼!覚悟しやがれ」
「小僧が身の程を教えてやる!」

 四人の男たち、いつも遮ってきた男の近くにいた四人口々に言うとその中の一人が手を出してきた。
 紫と赤のエアリーヘアのちょっと腹が出ている男。その男が拳で殴りかかって来たのでただ払い流した。
 そしてそいつは流れるように倒れた。
 他の者たちはそれを観て激昂し襲いかかってきたが、その全てを払い流した。
 ただし全員一発しか殴りか蹴りを放つことが出来なかった。
 触ってしまえば『麻痺』を使える。
 身体を動かすことだけを麻痺させてそれ以外はしていない。

「な、何が....」
「やっぱり毒、なのか?」
「だから能力だって言ってるだろ。あんたら動けないだろ?」

 彼らにしゃがんで目を向けると憎しみの目で睨まれた。
 納得してもらうためと分かっていてもやっぱり尾を引くな。

「これをあいつらにも使ってあるから動けない。だけど....
「!なら好都合じゃねえかっ!全員でかかりゃあ余裕で勝てるぜ!」
「いや、それよりも先に俺らで狩っちまえば取り分が増える!」
「しゃっ!なら俺様が一頭丸々貰ってやるぜぇ」
「なっ ︎させるか」
「そいつぁ、ワイらのじゃあ!」

 そう討伐隊と防衛隊の者たちから声が上がり、先頭を入れ替えつつこちらへと走ってくる。
 まだ続きあるんだけど、なんで聞いてくれないかな...
 仕方ないけど全員動けなくさせるか。
 そう考え、行動を起こそうとしたまさにその時だった。

「クエェェェェッ!」
「「「「クエェェェッ!!」」」」
「「「 ︎」」」
「な、なんだよこいつら ︎」

 突然鷲のような見た目だが嘴(くちばし)がパックリと二つに分かれている魔獣、ウィングルの群れが突っ込んできていた男たちに襲いかかった。
 いや、襲ってはいないな。ただ進行を阻止しているようだ。

「おいで」

 バジルがそう言うとウィングルたちが男たちの周りから去り、彼の周りに集まりだした。
 その中の一匹、癖っ毛なのかアホ毛なのかそんなのがヒョンっと出ているウィングルがバジルの肩に止まった。

「おい、何しやがる?」
「何って君達がアズマの話を聞かずにあの子達を討伐しようとしてたから、ちょっと邪魔をしただけさ」

 バジルは笑顔を浮かべて討伐隊と防衛隊の連中に言う。


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