異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します

りゅうや

宿屋、そしてギルド申請

 
 店長さんから教えてもらったように店を出て左へと向かう。

「....あ、あった!」

 質屋を出てから5、6分くらいのところで「宿屋甘味」と書かれた看板が視界に入った。
 とりあえず中に入る。
 カランカラン!
 扉を開けると鐘が鳴った。

「いらっしゃい!」

 受付のようなところの向こうにいる女性が大声で出迎えた。
 茶髪でショートヘアに赤色の服に水色のスカートの上にエプロンを着た人だ。
 宿屋の中は居酒屋(行ったことないけど)のような造りになっていた。ようするに木のテーブルに交互に丸太の椅子が二つずつ並んだものがいくつも並んでいた。
 俺は受付台まで行く。

「それで、お泊りですか?」
「はい。えっと...とりあえず1ヶ月泊りたいのですが?」
「はーい。それじゃあ30日分で、小金貨3枚になります」
「ではこれで」
「はい、小金貨3枚、丁度いただきます!」

 この宿屋は1日いくらになるんだ?

「すいませんが、ここって1日いくらですか?」
「え⁈銀貨1枚だけど?」

 計算も出来ないの?という顔をされたがこっちの世界のお金の単位なんて知らない。

「えっと、これに名前をお願いね?」
「あ、はい」

 店員さんから紙を渡された。多分名簿帳なのだろう。
 俺はスラスラ名前を書いて、店員さんに渡す。

「ではこれで」
「はい...?悪いけどこれは何て書いてあるんだい?」

 え?...あ、しまった!ついいつもの癖で日本語で書いてしまった。
 最初に見たような変な文字で書かないといけないのか ︎

「あ、すいません!つい癖で!...あの代筆をお願いしても良いですか?」
「ん?別に構わないよ」

 良かった。

「桐崎(きりさき) 東(あずま)」
「キリサキ アズマっと。これで良し!アズマくんって呼ばしてもらうね?私はこの甘味の亭主の娘!カナ・ベルグランドよ。よろしく!」
「は、はぁ...よろしく...」
「夕食はどうすんだい?」
「えっと...まだ決めてないですね」
「じゃあ、うちで夕食にするかい?うちは泊まってくれている人へは朝から晩までいつでもご飯を作るよ!」
「本当ですか ︎では、お願いします!」
「分かった!それじゃあ、夕食が出来るまでに部屋へどうぞ。2階の突き当たりから2番目ね」
「分かりました」

 鍵は...ないよね。やっぱり。
 とりあえず階段で2階へ上がる。

「突き当たって、2番目の...部屋...ああ、あった」

 自分の部屋を見つけてドアノブを回してドアを開けた。そう言えばこの世界ってドアノブはあるんだ。発展しているんだかいないんだか...
 あ、でも明治の後期辺りには今のタイプがあったみたいだし、あっても不思議じゃないのか?
 そう思いながら部屋へ入る。

「おお!」

 思わず声を漏らしてしまった。
 部屋は四畳半くらいの部屋で、左端の方に畳一枚分くらいのベットに、そのすぐ側に2メートルくらいのタンスが置いてある。
 一人暮らしってしたことなかったから、ちょっと気分上がるな。

「そう言えば荷物なんてお金くらいしか持っていないな。明日色々調達しないとな」

 コンコン!
 そう思っているとドアを叩く音が聞こえた。

「アズマくん!できたよ!」
「あ、はい」

 早いな。
 そう思いながら部屋から出て下へ向かう。
 階段を下り、さっきの受け付けのあった1階へ着く。
 俺は階段の近くの席を選んで座る。4人分の席を1人で使えるとは何と言う優越感(ゆうえつかん)。

「はい、今日はカリ肉定食よ」

 そう言いカナさんは俺の目の前にお盆を置いた。
 お盆には白米と味噌汁のような物いや、肉とかも入っているから違うのかな?まあ、よく分からないのとどう見ても唐揚げにしか見えない料理を置く。

「おおぉ!い、いただきます!」
「いただきます?」
「(ん?もしかしてこの世界って食前の合掌とかないのか?まあいいや!それよりも、唐揚げ、唐揚げ!)」

 俺ははし...ではなく木で出来たフォークのようなもので唐揚げを刺して口の中へと運ぶ。
 サクッ!ジュワァァァ!
 口に入れ噛み締めた瞬間サクサクの衣(ころも)が破れ、中の肉の肉汁が溢(あふ)れてきた。
 もう一噛みすると、肉から再び肉汁が溢れてきた。それを何度も楽しむ。
 グクンッ!
 喉の奥を細かくなった衣と肉が一緒に胃袋へと落ちて行く。
 次に白米だ。この世界にも白米があったのはありがたい。何せ白米と唐揚げは最高の組み合わせなのだから。
 白米を口の中へと運び、噛み締める。もっちりとした柔らかな白米を噛み締めていくと甘みを増して行き、さらに美味しさが増す!
 次にこれだ。
 器を口のところまで持ち上げ汁を啜(すす)る。
 スゥゥゥゥ!

「( ︎)」

 鰹(カツオ)のような(ちょっと苦いけど)上品な味が舌を伝って脳を刺激する。
 すごい出汁だ!
 肉や野菜もしっかり煮込まれていてとても美味しい。
  て言うかこれ、すまし汁に近い気がする。

「はぁ、腹減った!カナちゃん、今日の献立(こんだて)は?」
「今日はカリ肉定食よ!」
「「「「!しゃぁぁぁぁ ︎」」」」

 1階の奥、階段のある方の奥から強そうな男の人たちがゾロゾロ出て来て、カナさんに今日の献立が唐揚げ、じゃないカリ肉だと聞くとはしゃぎ出した。

「(まぁ、こんだけ美味しいんだし無理もないか)」

 俺はその男たちを無視して食事を続ける。
 うん!美味い!
 .....

「ふぅ、ごちそうさま」

 手を合わせて合唱をする。
 辺りを見回すと色々な男たちが集まって飲みながら騒いでいる。まるで酒屋みたいだ。

「カナさん!ここに置いておくよ?」
「うん!ありがとう!」

 俺は食器を受け付け台の上に置き、そのまま2階へ行きお風呂へ入ろうと思ったが替えの下着や服がないので、明日にして寝ることにした。
 ベットに倒れるように寝ると、柔らかく沈んだ。

「あぁー....このベットすごく寝やすい...」

 俺の意識は闇へと落ちていった。

 ______________

 俺は目を開ける。
 小鳥のさえずりとかはないが辺りが明るいので朝なのだろう。
 着替えてって着替える服がないんだった。
 さて、どうしたものか...あ!

「そう言えばカナさん。朝食も作ってくれるって言ってたな」

 よし、さっさと1階へ向かおう。
 階段を下り、1階へ着くと男の人が13人くらいが既に食事をしていた。
 いやそれより気になるのは、何で半分以上の人たちみんな防具着て食事してるの ︎

「はぁい、アズマくん。今日の朝食はカスミドパンだよぉ」
「あ、どうも」

 カナさんが運んで来たカスミドパンとはまぁ、パンケーキのようなパンにハチミツのようなってか、まんまパンケーキだわ。

「うーん...ねえ、カナさん」
「ん?何だい?」
「そこら辺で防具を着けながら食事をしている人たちって?」
「ああ、あれはみんなギルドで仕事をしている人たちよ」
「ギルド?」

 ギルドってあれか?ゲームとかで村人からの依頼(いらい)やクエストを受けて達成したら依頼料をもらうって言うあのギルド?

「そのギルドって、どこにあるんですか?」
「えっと、ギルドは...」
「はぁ、食ったし行くか!カナちゃん、ここ置いとくぞ!」
「あ、うん!あ、そうだ!ちょっと待って!」
「ん?何だい?」
「この子をギルドに連れてってあげてくれない?」
「ああ、別に構わないぜ」
「そうかい?ありがとう!じゃあ、あとはよろしく」

 そう言いカナさんは食器を持って受け付けの裏へ行く。多分あっちがキッチンなのだろう。

「さて小僧(こぞう)、行くぞ」
「え....あ、はい」

 40歳後半くらいの袖なしのジャッケットのようなもの、しかも服の真ん中は切れていて10センチくらい離れているものに膝くらいの短パン姿のおっさんは剣のようなものを持って店の扉を開けた。
 カランカラン!
 小僧って...
 てか、俺まだ朝食食べてないし。パンケーキ久々だから食べたかったな......

「ごめん、カナさん!今行くみたいだから行くけど、俺の分後で食べるから!とっといて!」

 キッチンに向かってそう告げて、おっさんを追う。
 カランカラン

 ______________

「おおぉ ︎ここがギルドか!」

 ギルドは町中の中心くらいにあって、甘味からだいたい1キロくらい歩いたところにあった。
 大型のビル、だいたい高さ40メートルくらい、縦横は20メートルくらいと言ったところかな?
 スカイツリーに似た形で正三角柱といった形だ。細い4本の柱と言うか脚というかそんな感じで半径8メートルくらいの半円形の穴が開いており、そこを潜って2メートルくらい行ったところくらいに横10メートルくらいの長方形の壁の真ん中くらいに横4メートルくらいで高さ3メートルくらいのこれまた長方形の扉が付いていた。
 それが4面に分かれて同じように設置されている。
 その周りにはたくさんの人が中へ入ったり出たりしていた。

「ほら行くぞ。小僧」
「小僧はやめてくれ」

 おっさんがギルドへ入って行ったので慌てて俺もギルドへ入る。
 おおぉ ︎中もすごい人だ。あっちを見ても、こっちを見ても人しかいない。
 その中には獣人も結構いる。

「ほら小僧!あそこで申請(しんせい)して来い!」
「だから小僧はやめてって!」
「あと俺はこの後クエストを受けてくっから。一人で帰れるだろ?」
「ああ。ありがとう...」

 辺りを見回していた俺におっさんが人がかなり集まっている方を指差す。
 おっさんに礼を言って、人を避けながら前へ進む。
 少し行ったところにカウンターの中に入った人たちのところに出た。
 一人女性のカウンターの前まで行く。

「あの、ギルドに申請したいんですけど?」
「かしこまりました。では、こちらの書類にステータス番号を書いてください」

 そう言い、カウンターの向こうにいる女性が紙とペンを差し出して来た。
 ステータス番号?

「あのステータス番号って?」
「はい?...えっと、ステータスの名前の下にある番号のことですが?」
「えっと...まずどうやってステータスを開くんですか?」
「はい⁈...あ、頭の中でステータスと言葉に集中していただければ開くはずですが?」

 何言っているの?って顔をされた。
 いや知らないんだから仕方ないでしょ!
 とりあえず言われた通りにしてみるか。

「(....ステータス!....)」

 すると目の前に半透明のプレートが現れた。
 おお!
 ___________
 ステータス
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 名前:桐崎 東
 ステータス番号:57764
 性別:男
 Lv.1
 攻撃:250
 防御:450
 体力:1600/1600
 魔力:1350/1350

「固有能力」
 魔眼Lv.3
 能力:対象の情報がレベルに応じて把握できる

 千里眼Lv.1
 能力:眼で遠くの景色を見ることができる
 Lv.1:100メートルまで調整可能

 言語解析
 能力:ありとあらゆる言葉が本人の語に変換された状態で聴こえる

 言語読解
 能力:ありとあらゆる言葉が本人の語で読める

 ______________

 おお!なんか凄い!
 ええっと、ステータス番号は...あ、あった!

「代筆をお願いしても良いですか?」
「はい、構いません。...それでは番号をどうぞ」
「57764です」
「...64っと。これでギルド申請は終了ですが、何か質問はありますか?」

 おお!早い!
 質問か...いくつかあるな。

「ギルドカードとかってないんですか?」
「?それでしたら3年前に廃止(はいし)になり、今ではステータスから自身のギルドランクを確認できるようになっております」

 また何を言っているんだって顔をされた。廃止になったのは周知ってことかな?

「クエストって何処で受けれるんですか?」
「ここ...ですが?」

 何で疑問形ばっかりなんだよ!分からなくもないけど。

「何かお受けしますか?」
「あ、いえ別に。ここでは依頼の他に何ができるんですか?」
「世界各地に存在するギルドでは、硬貨を預けることや道具を預けることができます。また、硬貨の交換などもしております。他国での硬貨はギルドで交換することが可能です。今使われている小銀貨や小金貨、大金貨なども他国の硬貨ですので、ギルドで交換することもできます。そして預けた硬貨はステータス番号さえあれば、いつでもどの国のギルドからでも引き出すことが可能です」
「おお!」
「また、クエストの条件以外で手に入った物資はギルドで売ることができますが、持ち込まれた物資の状態によってお値段が変わりますので、お気をつけてください」
「ほぉ」
「クエストの他にも住民の依頼などもございます。始めたての方はこちらがオススメです」
「なるほど」

お姉さんは慣れた感じに説明してくれた。
個人的には魔獣を見てみたいな。

「それとこれはギルドとは関係ありませんが、誰でも自由に挑戦することのできる古の塔、通称ダンジョンなどがあります」
「ダンジョン?」
「ダンジョンではレベルを上げたりする方や、素材調達をする方などが挑戦されています。しかし、このダンジョンですが、活動は自己責任ですので死んでしまってもギルドからはご家族に賠償金(ばいしょうきん)などは出されませんので、お気をつけください」
「は、はい。分かりました」

 怖いこと言うな...
 でもそのダンジョンには行ってみる価値はあるな。家族もいないし。

「分かりました。ありがとうございました」
「また何かありましたらどうぞお越しくださいませ」
「はい」

 俺は女性に背を向けて出口に向かう。


コメント

  • 閲覧履歴間違えて削除してしまった

    sirokuさん自分はそう思ったのでそう言うのは軽率過ぎるかと

    1
  • siroku

    いただきます、しないってわかってすぐに八百万の神とか出てくる時点で主人公変なやつだな

    1
  • ペンギン

    入る店全てでまず最初に女の子が出てくるのはたまたまですか...?

    2
  • Kまる

    丁寧ですね今後が楽しみです
    (なう(2018/09/04 23:36:37))

    0
  • ノベルバユーザー146543

    13メートル歩くのに5分もかかるのはワロタw

    名前のくだりも理解に苦しむが、今後に期待WAKWAK

    0
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