白の花嫁は忌龍に寵愛される
入学式
「貴族の皆様、我がフィーリア学園へようこそおいでくださいました!私、学園長の…」
入学式が始まり学園長の、長い長い話が始まる。前の席のアンドレアは話を聞き流しながら自分の隣の男子生徒に微笑みかけ小声で話している。…可愛いなあ。
「…なぁ、お前」
隣の子に話しかけられた。驚いて目線だけを向ければ茶髪で赤い瞳の元気そうな男の子。この子は…聖騎士長の息子、だったかしら。…ヴィンスの金の瞳の方が綺麗だな。なんて思ってしまったのは口に出さないでおこう。
「お前、ラングリッジ家の姉の方?」
「……えぇ、貴方は聖騎士長様のご子息の…」
「ランスロットだ、よろしくな」
にっと活発そうな笑みを浮かべ私の肩を叩く。…痛い。
「…よろしくするなら、私の妹の方になさってくださいまし。彼女の方が一緒にいて楽しいと思いますわ」
「…あー、そうか。お前あの忌龍の花嫁だもんな。」
…気遣いとかないのかしら。もう気にしてはいないけれど。
「…そうよ、だから宜しくしなくて結構。慰めも必要ありませんわ」
私は忌龍の花嫁になろうと、心はヴィンスにあるのだから…あぁ、早く会いたい。今日はいつも以上に甘やかして欲しい…
「ならその忌龍、俺が倒してやる」
「……」
まぁ、龍を倒すなんて馬鹿みたいなまね、止めた方がいいと思いますけど。ましてや忌龍なんて…。
さて、学園長のお話も終わって…次は教室に移動。私もアンドレアもⅠ組でしたわよね…
「おい、無視するな」
「ごめんなさい、もう教室に行かなくてはならないのです。ごきげんよう」
彼はあくまでも聖騎士長の息子。そこそこの地位はあるけど…まぁ、子供なんてこんなものよね。ヴィンスを見習って欲しいわ。
「お姉様、同じクラスでしょ?一緒に行こ!」
「えぇ、もちろん」
私の手を取って隣を歩くアンドレア。うん、やっぱり私の妹は可愛いわ。そういえば婚約者はいないけど…まぁ、あのお父様が簡単に結ばないでしょう。恋愛婚でもさせる気でしょうね。
「ねぇ、お姉様」
そっとアンドレアが私の耳元でそっと囁く
「なぁに?アンドレア」
「お姉様って、どんな男の人が好み?」
そんなの、ヴィンスに決まってるじゃない。…なんて、知らないわよね。寧ろ知ってたらこっちが驚くわ。
「……長い黒髪、長身で優しくって、紳士的で…金色の瞳の、黒が良く似合う年上の殿方、かしら。」
「…やけに細かいけど、もしかしているの?」
可愛らしい丸い瞳を大きくし私に詰寄る。いつもよりキラキラと輝くその顔は眩しい。
「…まさか。私の理想の殿方よ。」
現実にはいないの。夢の中だけ。
「それに、いても意味は無いでしょう?」
「…うん、そうだった。ねぇお姉様、この前クッキー焼いてね、じつはこっそり持ってきたの。後で一緒に食べましょ?」
少し苦笑してから、またぱっと微笑み話題を変えてくれる。うん、やっぱりアンドレアは素敵ね。
「まぁ、本当?ありがとう…今度レースを作るつもりだから、髪飾りを作ってあげるわね」
「ほんと?お姉様のレース綺麗だから楽しみ!」
「ふふ…そういえば、西の塔のサロンに貴女に興味がある殿方が待っているらしいの。気が向いたら行ってらっしゃい」
「ふぅん、そう…どんな人なの?」
「私より少し背が高くて、クリーム色の猫っ毛に緑色の瞳の…可愛らしい顔立ちの御方よ。きっと新入生ではないから、2年生…かしら?」
「んー…まぁ行ってみる。」
「えぇ、気をつけてね…」
そういった所で教室の前に着く。アンドレアと一緒に教室に足を踏み入れれば一斉に視線がこちらを向いた。
「わ…お、お姉様、早く席に座ろ…?」
不安そうに私を見つめ服の裾を掴む。うん、可愛い。優しく頭を撫でて手を繋ぎ、席に座らせてあげた。
「綺麗…」
「もしかしてラングリッジ家の双子?」
「そっくりだけど、似てないね」
「どっちが花嫁かな?」
「きっと右目が青い方だよ。品がある」
「でも左目の方は可愛いぞ」
きっとこそこそ話してるつもりだろうけど、全部聞こえてる。
えぇえぇ、私の妹は可愛いでしょう?令嬢にしては髪は少し短いけれど、少しお転婆で、明るい表情は愛おしくって、甘い香りを纏っている。…でも今度、もう一度礼儀作法を復習させなきゃね。
「お姉様、お姉様ってお嬢様って感じよね」
「…だって令嬢だもの、これが普通よ。貴女がお転婆なのよ」
「えぇ…もう、ちゃんと礼儀作法覚えるから…」
「前にも聞いた言葉ね」
「もうっ」
ふふ、可愛い。
入学式が始まり学園長の、長い長い話が始まる。前の席のアンドレアは話を聞き流しながら自分の隣の男子生徒に微笑みかけ小声で話している。…可愛いなあ。
「…なぁ、お前」
隣の子に話しかけられた。驚いて目線だけを向ければ茶髪で赤い瞳の元気そうな男の子。この子は…聖騎士長の息子、だったかしら。…ヴィンスの金の瞳の方が綺麗だな。なんて思ってしまったのは口に出さないでおこう。
「お前、ラングリッジ家の姉の方?」
「……えぇ、貴方は聖騎士長様のご子息の…」
「ランスロットだ、よろしくな」
にっと活発そうな笑みを浮かべ私の肩を叩く。…痛い。
「…よろしくするなら、私の妹の方になさってくださいまし。彼女の方が一緒にいて楽しいと思いますわ」
「…あー、そうか。お前あの忌龍の花嫁だもんな。」
…気遣いとかないのかしら。もう気にしてはいないけれど。
「…そうよ、だから宜しくしなくて結構。慰めも必要ありませんわ」
私は忌龍の花嫁になろうと、心はヴィンスにあるのだから…あぁ、早く会いたい。今日はいつも以上に甘やかして欲しい…
「ならその忌龍、俺が倒してやる」
「……」
まぁ、龍を倒すなんて馬鹿みたいなまね、止めた方がいいと思いますけど。ましてや忌龍なんて…。
さて、学園長のお話も終わって…次は教室に移動。私もアンドレアもⅠ組でしたわよね…
「おい、無視するな」
「ごめんなさい、もう教室に行かなくてはならないのです。ごきげんよう」
彼はあくまでも聖騎士長の息子。そこそこの地位はあるけど…まぁ、子供なんてこんなものよね。ヴィンスを見習って欲しいわ。
「お姉様、同じクラスでしょ?一緒に行こ!」
「えぇ、もちろん」
私の手を取って隣を歩くアンドレア。うん、やっぱり私の妹は可愛いわ。そういえば婚約者はいないけど…まぁ、あのお父様が簡単に結ばないでしょう。恋愛婚でもさせる気でしょうね。
「ねぇ、お姉様」
そっとアンドレアが私の耳元でそっと囁く
「なぁに?アンドレア」
「お姉様って、どんな男の人が好み?」
そんなの、ヴィンスに決まってるじゃない。…なんて、知らないわよね。寧ろ知ってたらこっちが驚くわ。
「……長い黒髪、長身で優しくって、紳士的で…金色の瞳の、黒が良く似合う年上の殿方、かしら。」
「…やけに細かいけど、もしかしているの?」
可愛らしい丸い瞳を大きくし私に詰寄る。いつもよりキラキラと輝くその顔は眩しい。
「…まさか。私の理想の殿方よ。」
現実にはいないの。夢の中だけ。
「それに、いても意味は無いでしょう?」
「…うん、そうだった。ねぇお姉様、この前クッキー焼いてね、じつはこっそり持ってきたの。後で一緒に食べましょ?」
少し苦笑してから、またぱっと微笑み話題を変えてくれる。うん、やっぱりアンドレアは素敵ね。
「まぁ、本当?ありがとう…今度レースを作るつもりだから、髪飾りを作ってあげるわね」
「ほんと?お姉様のレース綺麗だから楽しみ!」
「ふふ…そういえば、西の塔のサロンに貴女に興味がある殿方が待っているらしいの。気が向いたら行ってらっしゃい」
「ふぅん、そう…どんな人なの?」
「私より少し背が高くて、クリーム色の猫っ毛に緑色の瞳の…可愛らしい顔立ちの御方よ。きっと新入生ではないから、2年生…かしら?」
「んー…まぁ行ってみる。」
「えぇ、気をつけてね…」
そういった所で教室の前に着く。アンドレアと一緒に教室に足を踏み入れれば一斉に視線がこちらを向いた。
「わ…お、お姉様、早く席に座ろ…?」
不安そうに私を見つめ服の裾を掴む。うん、可愛い。優しく頭を撫でて手を繋ぎ、席に座らせてあげた。
「綺麗…」
「もしかしてラングリッジ家の双子?」
「そっくりだけど、似てないね」
「どっちが花嫁かな?」
「きっと右目が青い方だよ。品がある」
「でも左目の方は可愛いぞ」
きっとこそこそ話してるつもりだろうけど、全部聞こえてる。
えぇえぇ、私の妹は可愛いでしょう?令嬢にしては髪は少し短いけれど、少しお転婆で、明るい表情は愛おしくって、甘い香りを纏っている。…でも今度、もう一度礼儀作法を復習させなきゃね。
「お姉様、お姉様ってお嬢様って感じよね」
「…だって令嬢だもの、これが普通よ。貴女がお転婆なのよ」
「えぇ…もう、ちゃんと礼儀作法覚えるから…」
「前にも聞いた言葉ね」
「もうっ」
ふふ、可愛い。
コメント
RAI
続きが気になります
更新楽しみにしています
ノベルバユーザー315802
とても続きが気になる!
楽しみにしています!