白の花嫁は忌龍に寵愛される

せれぶ

隔離されたお部屋

「ん……」


太陽の光が目に入って思わず目を覚ましふと横を見ればちょうどメイドが顔を出した頃だった。


「アンジェリーナお嬢様、学園に着きました」

「わかったわ」


ささっと髪と服を整え御者に手を借り馬車から降りる。
お母様は相変わらず顰めっ面…最近、この顔以外見たかしら。


「早く行くわよ、ラングリッジ家に精々恥をかかせないでちょうだい」

「もちろんです、お母様」





「……ね、お姉様」


お母様とお父様が別の部屋に行った時こそっとアンドレアが話しかけてきた


「どうしたの?アンドレア」

「この学園、お屋敷よりも広くってなんだか新鮮っ」

「そうね…」


きょろきょろと周りを見渡し瞳を輝かせているアンドレアはきっと私達と同じ新入生であろう周りの子達の視線を集めている。


「…さ、早くお部屋に行きましょう?30分後にはホールに集まっていなくてはならないのだから」

「うんっ!」


そう言って辺りをキラキラとした目で見ながら自室に駆けていく。さて、私の部屋は…私だけ別の塔だ。
隔離された一室。でも、これも素敵かも。
周りから離れていれば、きっと彼も来やすいだろう。


「…ヴィンス、」


そっと砂時計にくちづけ、チェストの1番上の引き出しの奥の方にしまった。
さて、荷物も置いたし早くホールに行かないと。

少し急ぎ気味で歩いていればちょん、と肩に触れられた。後ろを振り向けば髪が猫っ毛でクリームを色をした、男の人…男の子がいた。私の目線のちょっと上にある優しそうな緑色の瞳には私が映っている。


「ねぇ、君ラングリッジ家の姉の方?」

「え、えぇ…そうよ。あの、早くホールに行かないと…」

「あ、そうだね…入学式が終わったら西の塔のサロンにおいでよ。少しお話したいんだ」


…アンドレアの事、かしら。別に彼女に直接言えばいいのに。


「…アンドレアの事なら、本人に直接どうぞ。私は恋愛のお手伝いなんてしないわ」


早く、怒られる前に。早くホールへ行かなくちゃ。
男の子の手を振り払って足早にホールへ向かった。



「…君に興味があったんだけどな、」


彼女のさらさらとした白髪が、風に揺れるのだけが見えた。

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コメント

  • おちゃハム

    髪が神になってる気がします!
    続きが楽しみです!

    1
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