白の花嫁は忌龍に寵愛される

せれぶ

初めて祝われた誕生日

「……」

きょう、わたしが5さいになった日、なのに、
お母さまとお父さま、それにしつじさんも、めいどさんも、わたしだけちゃんといわってくれなかった…
アンドレアだけあたまなでなでして、おでこにちゅーして……でも、わたしだけプレゼントわたしておわって…

…ううん、わたしはきぞくだから、プレゼントがもらえるけど、へいみんのおかねが少ない人はもらえないって絵本に書いてあった!こんなのわがままだよね、だってお母さまはわがまま言うとおこるもんね。…アンドレアはわがままいうけど…しょうがないもん!だってアンドレアかわいいし!
それにわたしはきりゅうのはなよめだから、きらわれてるんだもんね…
うん、そう、だからわたしはしょうがないもん。いつもみたいに早くねなきゃ…

ゆっくりとベッドに足を乗せたら、かちゃんっとまどの方から音がした。

え、…風とか…?でも、今日、風ふいてたっけ?おそるおそるまどを見たら、いきが止まった気がした。


「…」


知らない男の人がまどの前に立ってた。

くびがいたくなるくらいせがたかくって、つやつやしたよるみたいにまっくろなかみのけは、じめんにつきそうなくらい長い。
おはだがびょうきの人みたいな色だったけど、なんだかすごくきれいに見えた。
絵本のまほうつかいさんがよくきてるみたいなまっくろでぶあつそうな布をたくさんまいてて、なんだかこうもりさんみたい。

男の人はじーっとわたしを見てる。とりあえず、この前おしえてもらったしゅくじょのれい、をしよう。
ちょん、とスカートをゆびさきでつまんでゆうが?にあたまを下げるの。
そのままちらっと男の人を見たら上の方にあった頭がすぐそこにあった。


「!」


男の人はおひざをついてかたほうの手をむねにあててる。
だから頭がすぐそこにあったんだ…それでも少し見あげるくらいなんだけど。
男の人がかおを上げたら目が合って男の人のうごきがぴたっととまったけどすぐにうごきだした


「我はヴィンセントだ」

「……アンジェリーナ、と、もうします」


習ったばかりでたどたどしく?なっちゃったけど…これで合ってるはず!
そう思って男の人…ヴィンセントさまを見上げたらみけんにシワがよってた。…なんか、まちがえちゃったかな


「どうして先程悲しそうにしていた。誰かに虐められたりでもしたか」


あれ、さっきのは気にしてないのかな


「ぇ、あ…だ、だいじょうぶ…ですわ」

「…楽な話し方でいい。話しづらいだろう?」

「…でも…」


しゅくじょはこう話さないとだめ、って先生が


「…ここはお前の夢の中だ、何も気にする必要は無い。」

「…ゆめ?」

「あぁ、夢だ。きっとお前は気づかないうちに眠ったんだろうな。」

「……」


そっか、こんなきれいな人、見たことないもん。ゆめならいそうだなぁ…


「なんでも好きに話すといい。」

「なんでも…」


それだったら、いいのかなぁ…?


「あぁ」

「…えっと、ね、みんな、おめでとうって、いってくれないの…」

「?おめでとう?」

「今日、わたしのたんじょう日なの。」

「な!すまないプレゼントを持ってきていない!」


お目目をかっとひらいてるヴィンセントさん


「…持ってきてくれるの?」

「当然だ!…話を戻そう。それで、何故祝ってくれぬのだ?」

「……わたしがね、きりゅうのはなのめだから、って」

「、……そうか」


ヴィンセントさんはゆっくり下をむいてかなしそうな顔をした。
…なにか、しつれい?なこと、いっちゃった…?


「ヴィンセント、さん…?」

「…アンジェリーナ」

「なぁに…?」


ふわってヴィンセントさんがわたしのあたまをなでてくれた。
なでなでしてくれた。


「…忌龍はアンジェリーナを愛している。それに忌龍は人を食わぬし、毒だって意味もなく使わぬし、何でも壊す訳では無い。相手が何もしてこなければ何もしない龍なのだ。」

「…そう、なの?」

「あぁ…だが、気に病むことはない。周りのものがどう言おうと忌龍はお前の味方だ。
何かされたら私に言うといい。アンジェリーナを慰めよう。
もちろん、我儘もやって欲しいことも、全部言え。できることは全て叶えよう。」

「…ほんと?」


かなえてくれるの…?


「…ヴィンセントさん、わたしに、おめでとうっていって…」

「あぁ…おめでとうアンジェリーナ、生まれてきてくれてありがとう。」


おめでとうって、言ってくれた…!


「…えへ、ふふ、しあわせ……」

「っ…それと。プレゼントは明日まで待ってくれないか?素晴らしいものを持ってこよう。」

「プレゼント?…ゆめ、じゃないの…?」

「それはだな…魔法でアンジェリーナが起きた時にそこにチェストがあるだろう?その1番上の段に入れてやろう。
それと、取られては困るからプレゼントは誰にも見せてはいけないから気をつけるんだぞ」

「わかった!」

「それではまたな。…愛してる、アンジェリーナ」


ちゅっ、てヴィンセントさんがわたしのおでこにちゅーをしてくれて、なんだかほっぺがあつくてゆげがでそうだった。

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