誰かの一人言

rain

雪の花







―――…静かな雪音が聴こえると、
思い出すのはあの頃で。




きらりきらりと輝る音
ふわりふわりと舞う花弁。


暗い闇夜に紛れては
煌々照らす眩しき星。


賑やか集う人の影
幸福溢れるその景色。


淡い温もりを感じては、
終わりの音が迫ってく。




嫌だと心で泣いていた。
叶わぬ願いを抱いてた。




カチコチカチコチ時刻む。
見える針が告げている。



云わなくてはと圧されてた。
言いたくないなと呟いた。



閑散とした土の匂い
崩れていく夢欠片。




壊れてく―――…その想い。








「                        」







泣いてる心を隠しては、
背を向け告げた最期の音。


傷付く音が聴こえてた。
崩落音の止まぬ空。



雪の花は枯れていく。
謝罪したところで埋もれてく。



最期ぐらいは遺したい。
笑った花は溶けていく。






雪が想いごと花を呑み込んだ――――…。










***







――――季節は幾度も過ぎていく。






ひらりひらりと舞う花弁、
淡い空に映る自分。



雪を溶かして春が来て、
見上げた桃色花弁に息を吐く。



あの頃見たこの景色、
今となっては夢の中。



移り変わるこの世界、
変わらないのはこの想い。



淡くも消えぬこの想い、
消せなくて花は泣いている。



雪に埋もれて闇夜の中、
花は切に願ってた。



奇跡が偶然の産物なら、
運命は奇跡の産物か。



“どうかお願いもう一度”

願った想いは糸を引く。






りん……と聴こえた運命音。





揺れる髪が風靡く。
見えた姿に涙する。



どうしてと花が泣く。
なのに心は淡いまま。



伸ばされたのはあの温もり。
花は花弁に乗せて呟いた。







「                      」






運命は始まった。



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