短編︰東方禁恋録

乙音

第6話 霊夢の涙

それから魔理沙と喋ること30分。
正直何を話したか殆ど覚えていない。

博麗大結界が緩まった……それは
博麗の巫女が亡くなった事を示す。

それならば紫さんの慌てていた理由も辻褄が合う。
けど……問題は、霊夢だ。

霊夢は、きっとこのことを悲しむだろう。
10歳といえどまだまだ若い。

お母さんがいなくなることにこの上ない悲しみを
感じるであろう。

なにより、私がそれの経験者だから。
私の両親が死んだとは限らないが、もう何年も話していないし会っていない。

死んだも同然だ。
だから、その苦しみがわかる。

最も、私はもっと幼い頃に死んだが。
でも、霊夢にはお母さんとの思い出がある。

よくお母さんとしたかくれんぼ、お母さんの作った美味しいおにぎり、
いつでも優しく、それでいて悪いところは叱ってくれていたお母さんとの思い出がある。

私には、そんなもの無かった。
お母さんとの思い出なんてなかった。

最早赤の他人が死んだのと同じくらい何も思うことがなかった。
私が苦しかったのは、お母さんが亡くなったからではなく、味方がいなかったからだ。

頼れるものがなかったからだ。
けれど、その苦しみも霊夢や魔理沙とあった今無くなった。

でも、霊夢はどうだ??
大好きなお母さんが亡くなった。

この心の傷が癒える事は一生ないだろう。
ずっと心に穴が空いたままだろう。

……きっと、それは私よりずっと苦しいのだろう。
ならば、霊夢の心に空いたその穴を埋めることは出来ないのだろうか。

答えは否。
きっと出来る。

私なら、出来る。
前に霊夢に救ってもらったから。

前に、霊夢は私を助けてくれたから。
今度は、私が霊夢を助けるんだ。

もう、人の助けを待つような子供ではない。
自分一人では何も出来なかった幼い私ではない。

霊夢と同じことをしてあげる。
霊夢に寄り添ってあげる。

私のすべきことは、それだけだ-


◆◆◆

そして、それから数十分。
ようやく、ようやく、私の恋焦がれた声が聞こえた。

「あ、あい…………っ!!!」

その声の主は言わずもがな、霊夢だった。

「霊夢、どうだっ……た……」

私は、後ろを振り返って絶句する。
何故なら、霊夢が真っ赤に泣き腫らした顔で駆け出してきたからだ。

おまけに鼻からは僅かに鼻水が垂れ、
充血した目からは枯れんばかりの涙が溢れている。

「あ…………あぃ、ぅぁ…………お母さん…………がぁぁぁぁっ!!!!」

発狂にも近い声で、霊夢が私に駆け寄る。

「……大丈夫、だい…じょうぶ、だからね……」

私は、霊夢をギュッと抱き締め、頭を撫でる。
かつて、霊夢がそうしてくれたように。

そっと、優しく、抱き締める。
霊夢は、私の胸の中でわんわんと泣き出した。

いつも他の人より少し背伸びして、大人っぽかった霊夢の
子供らしい一面に、私はホッとする。
 
「うぁ…………ひぐっ……私、私……お母さんと……
もぅ……あぇないの……ひぐ、かな……」

「だいじょうぶ、だから。
ずっとこうしててあげる。
ずっと、ずっと、私がいるから。」

「……ほん、と……?
約束……だからね!
破ったら、許さないんだからっ!」

霊夢はそう言って、花の咲いたような笑顔を浮かべる。

「うん、絶対、だから!」

私も、ニコッと微笑む。
私はこのとき、絶対にこの約束は果たされるものだと、そう信じていた-



……書き終わってから気付いたんですけど、魔理沙空気ですね((
今更ですけど、紫とか霊夢凄いキャラ崩壊してる気がする←

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