【ボイスドラマ化全三部作】突然変異~mutation~【Youtube】
第十一話 気丈
そんな二人のやり取りを見ていた本宮は本宮なりに自分を持っていた。
消える直前に強くなると決めた彼女は現れた当初のおどおどした感じもなくなっていた。
ただ、自分から話すことはまだなかなか出来ずにいた。
根っからの性格がおとなしく無口な性格だったためだろう。
そんな彼女にも転機は訪れた。
ある日、西岡と河井がたわいも無いことで喧嘩をし始めたのだ。
「だーかーらー、美香さんがどこでもかんでも物を置くから失くなったりするんでしょ! 俺の管理できる場所にしか物置かないでよ!」
「あなたが管理してたら私の物が必要な時にすぐに出せないでしょうが! もう掃除禁止!」
二人の言い争いはとどまるところを知らず、口喧嘩は激しくなる一方。
「掃除しなかったら足の踏み場もないじゃん! それに俺にできることしろって言ったの美香さんじゃんか!」
「今、できることはじっとしておくことが一番なんじゃない! あなたのせいで環境が丸つぶれだわ!」
そんな二人の間にようやく本宮が口を挟む。
「やめてください、二人共」
「サキちゃんは黙っててよ!」
「そうよ、部外者は引っ込んでて!」
そんな二人の対応にとうとう本宮の堪忍袋の緒が切れてしまった。
「やめろって言ってるでしょ!」
本宮の初めて見せる態度にさすがの二人も唖然とする。
「え? サキちゃん?」
河井がなんとも言えない声で言葉を返す。
「だいたい、掃除は達哉くんが美香さんが忙しくて出来ないからやってくれてるんでしょ!
美香さんは感謝すべきだし、達哉くんも美香さんがすぐに使いそうなものは美香さんに置く場所を聞いてから片付ければいいでしょ!
二人共、勝手すぎ!」
本宮がこんなに感情を出すのを見るのも初めてだったし、あれほど引っ込み思案だった本宮がここまで変わったことに二人は驚きを隠せなかった。
「はい。そうだよね。サキちゃんの言うとおりだ。すいません」
「う、うん。そうね。私もしてもらっておいてちょっと言い過ぎたわ。ごめん」
二人は喧嘩の話なんて、もうどうでもよくなっていた。本宮の変貌ぶりに焦りと人はこんなに変わるものなのだという驚きでいっぱいになっていた。
「よろしい!」
その後、本宮が間に入って仲裁をしていくことになるのは言うまでもなかった。
こうして、川島と西岡は戻ってきた人格とそれぞれの生活をうまく送っていくのであった。しかし、この生活は決して長く続くものではなかった。
水口は加藤に命じられて川島の尾行及び監視を続けていた。そして、とうとうその首根っこを掴むべき出来事が起こった。
川島の自宅から木村や深沢の姿がしばしば見受けられるようになったのだ。
「あいつ、確かに変異している」
水口は一刻も早く加藤に告げねばならないと思い、加藤の元へ向かった。
もちろん、尾行時に得たいくつかの写真とともに。加藤の元へ向かうと加藤は静かにその口を開いた。
「やはり、DSGは完成していたか。そろそろ潮時だ。新山の元へ向かうぞ。もうこちらのモデリングは完成しているのだ。あとは、あいつらの力を使って最後の追い込みを行うだけ」
そう言って、二人は新山の元へと乗り込むことにした。
消える直前に強くなると決めた彼女は現れた当初のおどおどした感じもなくなっていた。
ただ、自分から話すことはまだなかなか出来ずにいた。
根っからの性格がおとなしく無口な性格だったためだろう。
そんな彼女にも転機は訪れた。
ある日、西岡と河井がたわいも無いことで喧嘩をし始めたのだ。
「だーかーらー、美香さんがどこでもかんでも物を置くから失くなったりするんでしょ! 俺の管理できる場所にしか物置かないでよ!」
「あなたが管理してたら私の物が必要な時にすぐに出せないでしょうが! もう掃除禁止!」
二人の言い争いはとどまるところを知らず、口喧嘩は激しくなる一方。
「掃除しなかったら足の踏み場もないじゃん! それに俺にできることしろって言ったの美香さんじゃんか!」
「今、できることはじっとしておくことが一番なんじゃない! あなたのせいで環境が丸つぶれだわ!」
そんな二人の間にようやく本宮が口を挟む。
「やめてください、二人共」
「サキちゃんは黙っててよ!」
「そうよ、部外者は引っ込んでて!」
そんな二人の対応にとうとう本宮の堪忍袋の緒が切れてしまった。
「やめろって言ってるでしょ!」
本宮の初めて見せる態度にさすがの二人も唖然とする。
「え? サキちゃん?」
河井がなんとも言えない声で言葉を返す。
「だいたい、掃除は達哉くんが美香さんが忙しくて出来ないからやってくれてるんでしょ!
美香さんは感謝すべきだし、達哉くんも美香さんがすぐに使いそうなものは美香さんに置く場所を聞いてから片付ければいいでしょ!
二人共、勝手すぎ!」
本宮がこんなに感情を出すのを見るのも初めてだったし、あれほど引っ込み思案だった本宮がここまで変わったことに二人は驚きを隠せなかった。
「はい。そうだよね。サキちゃんの言うとおりだ。すいません」
「う、うん。そうね。私もしてもらっておいてちょっと言い過ぎたわ。ごめん」
二人は喧嘩の話なんて、もうどうでもよくなっていた。本宮の変貌ぶりに焦りと人はこんなに変わるものなのだという驚きでいっぱいになっていた。
「よろしい!」
その後、本宮が間に入って仲裁をしていくことになるのは言うまでもなかった。
こうして、川島と西岡は戻ってきた人格とそれぞれの生活をうまく送っていくのであった。しかし、この生活は決して長く続くものではなかった。
水口は加藤に命じられて川島の尾行及び監視を続けていた。そして、とうとうその首根っこを掴むべき出来事が起こった。
川島の自宅から木村や深沢の姿がしばしば見受けられるようになったのだ。
「あいつ、確かに変異している」
水口は一刻も早く加藤に告げねばならないと思い、加藤の元へ向かった。
もちろん、尾行時に得たいくつかの写真とともに。加藤の元へ向かうと加藤は静かにその口を開いた。
「やはり、DSGは完成していたか。そろそろ潮時だ。新山の元へ向かうぞ。もうこちらのモデリングは完成しているのだ。あとは、あいつらの力を使って最後の追い込みを行うだけ」
そう言って、二人は新山の元へと乗り込むことにした。
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